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第9章 3話

 キュルルー キュルルー ズダーン! キュルルー ズダーン! ズダーン!


 わ、罠が多すぎる。想定していたよりも多すぎる罠に対して、こちらも雷鳥(サンダーバード)を三体に増やして進んでいる。雷鳥(サンダーバード)がいなかったら、僕の頭はたんこぶたらけで、落とし穴にはまりまくって泥だらけだろう。


 それにしても、ここは墓場のフロアなのか。お墓や教会のような建物を多く見かける。そして、ここのモンスターであろうゾンビなのかグールなのかわからない方々がカッチカチに凍っていらっしゃる。えーっと、経験値をどうもありがとう。


 キュルルーキュルン


 時間切れになった雷鳥(サンダーバード)が戻ってくると光のエフェクトと共に消えていった。さぁ、どんどん行こうか。


 雷鳥(サンダーバード)


 やはり、ダンジョンの中で賢者の杖を持ってると魔力に余裕があっていい。魔力回復もさることながら、使用する魔力の節約もできるので魔法撃ち放題だ。


 バサバサバサッ


 二階層目の階段が見えてきた頃に、コウモリさんが数匹飛んできた。おそらく、二階層にいたコウモリさんだろう。僕を見つけるなり慌てたように距離をとる。かなり及び腰なようだ。一階層の状況確認と僕がどこまで進んでいるのかを見たかったのかな。残念ながらもうすぐ二階層です。


 おそらく、リリアさんがコウモリさんを通じてこちらを覗いているのだろう。目だけなのかな。あの慌てよう、ひょっとしたら感覚も共有しているのかもしれない。そうだとすると、突然の絶対零度(アブソリュートゼロ)で一瞬ではあるが怖い思いをさせてしまったのか。少しかわいそうなことをしてしまったね。


 治癒(キュア)!!


 嫌な気持ちもスッキリと久々に全力で治癒(キュア)させていただいた。


 あれっ、コウモリさんが墜落している……。おかしいな、一応改良版治癒(キュア)のはずだが、コウモリさんは体が小さいから影響力が大きいのかもしれない……。ちょっと心配になったので念のため下に落ちたコウモリさんの様子を伺おうと近づいてみたら大変なことになっていた。


 ピクピクッ! ピクピクッ!


 コウモリさん物凄くピクッてらっしゃいます。なんかいつもと違うような。こんなピクリ方するっけ? ん? あっ、し、しまった。賢者の杖を持って全力治癒(キュア)してるじゃないか! どうしよう、リリアさんゴメン。と、とりあえず先を進もうかな。




◇◇◇◆◆



 カールはとても悩んでいた。

 どうもガルフが戻ってきてから姫様の様子がおかしい。すごく青ざめた表情でかたまってたかと思ったら、急に及び腰になったり、そして、今は全身をピクピクッと細かく動かし、目は完全にいってしまっている。何かしらの精神攻撃を受けているのではないか。


そう、あれはガルフがタカシというダンジョンマスターを案内して戻ってきてからだ……。



「おぉ、ガルフご苦労であったな。タカシが四階層に来るとしても何日かかかるであろう。しばらく休んでいるといい」


「姫様、あいつ、なかなか目を見張るスピードを持っていた。俺と同じスピードタイプなんだろう。ひょっとしたらかなりのスピード攻略も考えられるぜ」


「アホか。あやつはどう見ても魔法使いタイプだ。お前の目は節穴か」


「いやいやいや、魔法使いタイプで俺のスピードについて来れる訳ねーだろ。あいつもスピード以外はからきしみたいなこと言ってたぜ」


「あっさり騙されよって、情けない……」


「姫様、もしもどちらの意見も正しかった場合、魔法使いタイプでガルフについてこれるスピードとなると、とんでもないことになるのでは……ひ、姫様! 姫様! どうなされました!」


 姫様が真っ青な表情で固まってしまった。な、何が起こっているのだ。


「リリア、しっかりして! 一階層のモンスターが全滅したわ。ガルフが来てから1分も経ってないよね」


「蓮子様、そ、それは本当でございますか?」

「そうだぜ、さすがに1分じゃ俺やカールでも無理だ」


「嘘じゃないわ。一階層にいるリリアの眷属も殺られたから、あーなってるのでしょ」


 その先には相変わらず顔面蒼白で固まっているリリアがいた。


「眷属との情報共有……ですか」


「どんな殺され方をしたら、あーなるのかしらね」


「ぅぅ……ん……はっ! い、一階層は? 一階層はどうなっておる!」


「全滅したわ。リリア、大丈夫? 何があったの?」


「わ、わからん。こ、これは魔法なのか!? 鋭いナイフのような悪寒を感じた。眷属とのパスはその一瞬で途切れた。す、すぐに二階層の眷属を向かわせて確認しよう」


「姫様、一階層は一体どうなってるのですか」


「こ、これは……なっ! タカシがもう二階層の入口にいるではないか! お、おい、なんだよ、その笑顔は……や、やめろー! く、来るなー!」


「はぁ、あぁう……あぁ、あはぁぁん!!」

 ビクン ビクッビクン!



 な、なんなのだ、こ、これは精神攻撃を受けているのか? 姫様はとても会話できる状態ではない。指示を出さねば、奴に殺られてしまう…………と、とにかく考えろ。奴が来るまでまだ少し時間があるはずだ。


「フランケン! 姫様を寝室へ連れていったら四階層に来てくれ。あまり時間がないかもしれん。ガルフ、我らは先に四階層へ向かう」


「フンガー」「お、おう」


「蓮子様には二階層、三階層に罠の追加で時間稼ぎをお願いいたします」


「わかったわ」

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