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第8章 13話

 首の曲がったイノシシがダンジョンの奥へと走っていく。『佐賀ダンジョン』のミサキを通じてマスターにも知らせなければならない。あれはかなり強いモンスターだった。早く、少しでも急ぐんだ!


 しばらく進んでいくと様子がおかしいことに気付いた『オークソルジャー』が近づいてきた。確か、このダンジョンのボスモンスターだったはずだ。


ブヒッブヒッ(何かあったのか)


 とにかく、イメージを伝える。外にかなり強いモンスターがいる。ダンジョンの中に入ってくるのは時間の問題だと。そして、マスターを頼るようにミサキに伝えてほしい。


ブヒッ(や、やベーな)


 『オークソルジャー』は、すぐに頷くとミサキのいる方へ走っていった。


 よし、あとは少しでも時間稼ぎをしなければなるまい。何が出来るかわからない。少しでも隙をついて次に繋げよう。脳みそを潰されない限りてんとう虫は死なないのだ。



 その頃、外で美味しくイノシシ肉をいただいていた二人組がようやくダンジョンの中に入ってきた。


「姫様、俺が先行するから後ろを頼むぜ」


「あぁ、任せる。あまり暴れすぎるな。ここを傘下にする可能性が高いのだからな」


 翼が無くなり、リリアは再び抜群のプロポーションを見せつけるかのような露出高めの衣装に戻っていた。


「姫様、さっき逃げ込んだイノシシが倒れている。ここで力尽きたようだな」


「もう食べられぬ。食べたいなら一人で食べろ」


「いや、そんなこと聞いてねーよ。それにしても首が曲がってんのに根性あるよな」


「まぁ、味は悪くなかったしな。根性あるやつは美味しいのかもな。カールとフランケンと蓮子の土産にするか。一応、持って帰っておこう」


 闇の門(シャドウゲート)


 呪文を唱えた時、イノシシは魔法をかわすように立ち上がると突っ込んできた。


 すかさず間に入ったガルフはイノシシの首を文字通り蹴り飛ばした。


「こいつ、まだ動けたのか……」


 闇の門(シャドウゲート)


 今度こそ、首の無くなったイノシシは魔法で取り込まれていった。周辺には黄色い花が咲き乱れているが何かに見られているような気味の悪い感覚があった。


「ガルフ、なんだかこの辺りは気分が悪いな。早く先に進むぞ」


「了解した」


 しばらく進んでいくと下に降りる階段が見えてきた。二階層目か。フロアに足を踏み入れると大きな森が広がっている。


「ガルフ、何階層あると思う?」


「そうだな。これで最後じゃねーか」


「奇遇だな、私もそう思う。どうも強者の匂いを感じない」


「それにしてもモンスターが全く出てこないな」


「気配はある。これは、時間稼ぎか……」


 鬱蒼と生い茂る木々を見ながらリリアはため息をついた。まぁいい。時間を稼ぐということはそれなりに策があるということだろう。話ができるマスターならそれはそれで話が早いというものだ。




◇◇◇◆◆



ブヒーブヒー(ミサキ大変だ!)


「侵入者が来たみたいね。しかもかなり強い。おそらくタカシ君の言っていた復活組のモンスターのようね。九州にいたのかなぁ、困ったわね」


ブヒーブヒッ(タカシに連絡しろよ!)


「そ、そうねぇ」


 私は『千葉ダンジョン』に会談を申し入れると、『オークソルジャー』のブーちゃんに指示を出す。


「ブーちゃん、無理をせずに『エント』を使って時間を稼いで。ヒットアンドアウトよ」


 それを言うならヒットアンドアウェイの間違いだろう。アウトってことは特攻じゃねーのと思いながらブーちゃんは部下に指示を出しにいくのだった。



 タカシがやってきたのはブーちゃんがいなくなってすぐのことだった。


「ミサキさん、相手は何人で来てるの?」


「あぁ、タカシ君。来てくれてありがとう。二人で来てるけど強そう。私、どうしよう」


 会議室のモニターを見ると、大森林フロアにて『エント』の時間稼ぎがそれなりに上手くいっているように見えたが、居住区のあるこの階層にくるのはもう時間の問題のように思えた。


「話が出来る相手ならいいんたけどな。とりあえず、一度僕に話をさせて。話が通じないようなら、配下のモンスターと案内人には悪いけどミサキさんには『千葉ダンジョン』に来てもらうよ」


「はい……」

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