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第8章 10話

「勇者の状態はどうでしたか?」


 心配そうにレヴィが声を掛けてきた。あの勇者を見た後にレヴィを見ると妙に安心する。美少女に心配してもらえる風景、なんて心を落ち着かせてくれるのだろう。


「スキルが習得しやすい体質みたいで、既にいろいろな耐性スキルとか習得してたよ。勇者の強さの一端を見たね。今は弱点探しをお願いして闇属性を中心に引き続き調べてもらうことにしたんだ」


「そうですか。場合によっては私やお姉さまも闇属性を習得した方がいいかもしれませんね」


「うん。減るもんでもないし、二人に闇属性を渡しておくよ。たいしたポイントでもないしね」


「ありがとうございます。お姉さまは別の意味で喜ぶでしょうね」


「あぁ、闇の門(シャドウゲート)だね」


「はい、闇の門(シャドウゲート)ですね」


 間違いなく、様々な食糧で一瞬にして埋め尽くされるだろう。想像に難くない。逆にレイコさんの闇の門(シャドウゲート)のスペースが少しでも空くことを考えればプラスか。


 レヴィとそんな話をしていたらピースケがやってきた。


「マスター、お帰りっす。勇者は元気にしてたっすか?」


 あひゃひゃ言ってたから元気無くはないのかな……。


「まぁ、元気といえば元気だったかな」


「そんなことより、もう一つのダンジョンが見つからないっすね」


 自分から話を振っておいてバッサリいきやがった。勇者への興味が薄いのだろう。僕もたいして話すことないからいいけど。


「それなりのダンジョンマスター上級者だからね。何かしら狙いがあって隠れている可能性もあるんじゃないかな」


「タカシ様、私はピンときましたわ。大抵の犯人は逃亡する際、知らず知らずの内に北へと向かうものですわ」


 いつの間にかティア先生もいらっしゃったようですね。例のごとく迷推理の時間のようです。あと、ダンジョンマスターは犯人じゃないし逃亡もしてないからね。


「北ってことはコウジさんの『山形ダンジョン』がある方かな?」


「いいえ。もっとグイグイいくかしら。旬は外れるけど大間のマグロは抑えておきたいわ。あとは食の聖地、北海道ね。今の時期なら美味しい牡丹海老はマストね。ウニやイクラをはじめとする海鮮、スープカレーに味噌ラーメン。チーズにバター、ジンギスカン等の酪農関連もいいわ。一ヶ月、いや探索に二ヶ月は必要ね。タカシ様、一緒に行きましょう」


 な、何故、いつの間にやらグルメ旅行に変わっている!? 北海道いいけど、二ヶ月は長過ぎるわ。


「ティア先生、カニを忘れているわ。北海道といったらカニよ! 毛ガニが待ってるわ」


「カ、カニさん食べちゃうのか!? だ、ダメだぞ!」


 レイコさんとヨルムンガンドちゃんもやってきて全員集合してしまった。そして、ヨルムンガンドちゃんはきっと二階層の『ジャイアントクラブ』と勘違いしている。

「ヨルムンガンドちゃん、カニはとっても美味しいのよ。今度一緒に食べましょうね」


「レ、レイコなんて! 大嫌いだぁぁぁぁ!!」

「あっ、ヨルムンガンドちゃん!?」


 ヨルムンガンドちゃんが猛ダッシュで会議室を出ていった。行き先は二階層で間違いないだろう。


「ヨルムンガンドちゃんはタラバ派なのかしら?」


「お姉さま、ヨルムンガンドちゃんは『ジャイアントクラブ』を食べられると勘違いしたのではないでしょうか」


「盲点だわ! ジュルッ。食の探求には犠牲が必要かしら」


「そうだったのね、レヴィちゃん。私ヨルムンガンドちゃんに謝ってきます」

「レイコ、私も行くわ!」

「お、お姉さまは、ややこしくなるのでここにいてください」


「じゃあ、探索の準備をしようかしら」


 いや、行かないからね! 興味はすごくあるけど行かないんだからね!


「それにしても復活組は何でポイントを稼ぎに出てこないっすかね」


「この慎重さが上級者なんじゃないかな。『大阪ダンジョン』の動きはちょっとよくわからないけど、どちらにしても暫くは様子を見るしかないでしょ」


「『大阪ダンジョン』の攻略には動かないっすか?」


「そうだね、少なくとももう一つのダンジョンが発見されるまではこちらからは動かないよ」


 それから一週間が経つ頃、ようやく復活組のダンジョンが動き始めた。

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