第1章 12話
千葉にも野生動物は結構いる。
さすがに熊やイノシシなどの大型の動物はいないらしいが、中型サイズなら割りと生息している。
近年、人里に降りてきて田畑を荒らしている種もいるが基本的に彼らの生息地は人の住んでいない山である。
ネズミやウサギなどの小動物。サルやタヌキからハクビシン、キョンなどもその数を伸ばしている。
ここでひとつ聞いてみたい。
洞窟などの暗く狭い場所を好む動物ってなーんだ?
そう。やつらだ。
実は、すでにダンジョンは開通していたりする。
そして、やつらは開通とともにやってきた。
最初は数匹。ただ彼らは偵察部隊だったのであろう。
じっとりとなめまわすように観察するといったん戻り、またしばらくすると様子を見に来たりを繰り返した。
その後問題ないと見定められると瞬く間に数を増やされ今ではその数なんと約1万匹。
開通3日後にはダンジョンで一番数の多かった『菜の花』を超え、我が千葉ダンジョンの一大勢力となってしまった。
そう。彼らはコウモリさん。
何故さん付けで呼んでいるかって?
「毎夕、食事に出かける際に撃退ポイントもらえるの大きいっすからね」
彼らはお得意様なのである。毎日1万ポイント。チャリン。
今ではダンジョンの入口脇に『コウモリさん部屋』(狭い入口と暗くて広々スペースを確保)を200Pで用意し、糞や尿もダンジョンがキレイさっぱり吸収する最高の環境でお互いウィンウィンの関係を構築している。チャリンチャリン。
「そろそろお食事の時間のようですね」
「お姉さま、今日もコウモリさんのお見送りに行きましょう」
「えぇ。参りましょう」
予想外過ぎる!労せずしてポイント入手。にやにやが止まらない止まらない。心の中でチャリンチャリン音が鳴り響いている。もうコウモリさんダンジョンに名称変更してもいいんじゃないかな。
「さて、ポイント交換『キャットフード3P』」
一応言っておくけど、猫を飼っている訳ではないからね。
山に生息している小動物狙いで、レベル上げを兼ねているのです。しかも自分の部屋、ベッドの上で画面越しに入口を見ている。『ダンジョンカメラ5000P』侵入者を自動追跡し、画面に映し出す。
「おっ、きたきた。ハクビシンか。『土棘』!」
ズシュァッ!
魔法の遠隔操作でサクッと仕留める。人の気配がまったくないから一撃必中で決まる。
画面で確認して、ある程度集まったら魔法発動。
画面で確認して、ある程度集まったら魔法発動。
画面で確認して、ある程度集まったら魔法発動。
もはやレベル上げゲームの感覚である。
そうして上がったステータスはこんな感じ。
タカシ
レベル6
保有ポイント38300
体力110
魔力300
攻撃力30
守備力35
素早さ32
魔法:水属性初級、土属性初級、雷属性初級
スキル:魔力操作レベルMAX
装備:賢者の杖
スキル魔力操作の影響なのか、魔力の上がりが高いです。あと何気に雷属性も取得済みでございます。稲妻もクールに撃っちゃいます。身体強化もきめちゃってます。
なかでも身体強化の効果は凄まじかった。
きっとプロボクサー相手に右ストレート行きます!と宣言してからバチコンあたっちゃう。普通に目で追えない動きが可能になる。
背後から首トンしたいです!
おいおい、どこ見てるんだ。こっちだよ。的な。
ハァーって、残念そうな顔をきめこみたいです。
それにしても、がっつり安全マージンを確保出来つつあります。
まぁ一番は、画面越しに魔法発動させちゃう遠隔操作、いちばん安全。まさにチートです。狭い洞窟を進んでて後ろから前から魔法攻撃とか無敵ですね。
あとは、念のため貯まったポイントを使い、じっくりダンジョン強化あるのみ。階層を増やしさらに安全マージンを確保します。
「お姉さま、そろそろコウモリさんがお戻りになる頃ではないでしょうか」
「えぇ。参りましょう」
チャリンチャリン。




