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第7章 9話

 会議室にはティア先生、レヴィ、レイコさん、ヨルムンガンドちゃん、ピースケと『千葉ダンジョン』の幹部が勢揃いだ。僕が進める戦略の説明と、世界を騙す動画制作、出演するモンスターを決めなければならない。


 説明を終えるとみんな驚いているようでしばらく無言の時間が過ぎていった。


 「そりゃ、驚くよね。『てんとう虫』さんの活躍は予想を超えてきたというか……」


 「お、お兄さま、もちろん『てんとう虫』さんにも驚かされましたが、一番はお兄さまの戦略に皆びっくりしているのです」


 「そうです。タカシさん、今の『千葉ダンジョン』はいい意味で安定してポイントを稼げています。ニワトリの数も増えれば更に安定します。日本政府も『千葉ダンジョン』を恐れて攻めてきませんし、私はこのままゆっくりとポイントを増やしていくものだと思ってました」


 「レイコさんは反対?」


 「い、いえ。正直面白いと思いました。現実味もあるし、上手くいけば日本政府にも入り込めるかもしれません。凄いこと考えますね」


 よかった。めっちゃ反対されたらどうしようかと思ったよ。ティア先生とヨルムンガンドちゃんは……興味なさそうだから大丈夫だね。


 「レヴィも賛成でいいのかな?」


 「はい、お兄さま。都合のいいように話を進めるためにも小型核兵器を使用してドラゴンを既に倒したことにしておきましょう。核を使用した部隊はもちろん全滅したことにしましょう」


 「なるほど。確かにその方が話を作りやすいね。なんとしても日本政府には核兵器使用の許可を出させたいね。ハリス司令官に猛プッシュしてもらおう」


 「レヴィ。私、核兵器とやらもなんとか跳ね返せそうな気がするわ」


 本当にやめてください。


 「お姉さま。そんなことして、もしもの場合は『なりたこラーメン』二度と食べられなくなっちゃいますよ」


 「……まぁ、無茶はあまりよくないかしら」


 「ところで、動画に登場するモンスターは何がいいと思う?」


 「タカシ様ここは『グラスウルフ』で問題ないかと」


 「『グラスウルフ』も悪くねぇ。でもよぉ、ドラゴンの出るダンジョンなんだろ? なら、ここは『ワイバーン』一択だろ」


 さっきまで興味なかった組が何故だかすこぶる熱い。


 「わかってないわね、ヨルムンガンドちゃん。『ワイバーン』なんて選択したらカメラワークが大変かしら。あいつら基本空飛んでるんだから」


 「そ、そうなのか! で、でもよ、『グラスウルフ』だとインパクトがちょっと弱くないか?」


 「ふんっ。インパクトは数の暴力で補うのよ。私なら10万の『グラスウルフ』を登場させるかしら」


 「す、すっげーな!」


 おい、なんだそのウルフの大群は。巨編スペクタクル映画でも作るつもりか!


 「ば、場所はどこにするんだよ! 10万もいたら大変だぞ」


 「そうね。やはり画面映えするのは海かしら。広大な海原を泳ぐ10万の『グラスウルフ』。その群れはもはや波なのか『グラスウルフ』なのかわからないわ」


 海で泳ぐとか『グラスウルフ』の俊敏性がいきなり失われているじゃないか。


 「なかなか考えられているじゃねぇかよ! そ、それで敵はどこからくるんだよ」


 「敵はここでは出ないわ。ここはあくまでも『グラスウルフ』の生態を紹介するシーンなのよ」


 生態を紹介するのになぜ海!!!!


 「お、奥が深いな動画制作。設定ってやつが必要なんだな」


 「ようやく理解してきたようね、ヨルムンガンドちゃん。客を飽きさせないために途中でレヴィとレイコの水着シーンを5分置きに挟むわ」


 「なっ! や、やられたぜ。だから海だったんだな」


 「でもまだ足りないかしら」


 「ま、まだ足りないのかよ。もう十分だろ」


 「わかってないわね。世論はグルメを欲しているのよ。美味しい食事シーンを入れることでグルメ好きのM層、F層も獲得できるかしら」


 「なんだよMとかFって。くっ、俺の負けだ。『ワイバーン』には申し訳ねぇが、『グラスウルフ』で決定だな!」


 M層が男性でF層が女性だったかな。F1層が20歳から34歳までの女性だったはず。というか、なぜティア先生が業界用語を!!


 「タカシ様、『グラスウルフ』を10万頭出してもらえるかしら」

 「マスター! 新しい階層を、海の階層を造ってくれよ!」


 「却下」


 二人してそんな泣きそうな顔してもダメですからね。

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