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第7章 4話

 まぁ、深く考えるのはやめよう。スキル習得は彼女達のためにもなるのだ。そもそも助けを求めてきたのは彼女達だし問題ない。女子中学生ということを考えてもなんとかギリギリセーフなはずだ。しかもサクラちゃん一人の犠牲で済むのならもうアリだろう。


 「な、何よ。た、タカシは何をする気なのかな?」


 「違うんだ。サクラちゃん。これは必要なことなんだよ」


 ジリジリとにじり寄り追い詰める。サクラちゃんの後ろには岩壁。そして足下に氷結(フリーズ)を撃ち靴と地面をガッチリ固めておいた。


 僕は身動きのとれないサクラちゃんの後ろに回り込むと左手はサクラちゃんの背中に右手は彼女の右手を補佐するように支えた。


 「サクラちゃん。さっきと同じ魔法を僕が君の身体を使って放たせるからしっかり魔力の動き方を感じてね」


 イメージしたものを魔力で操作していくので僕と同じイメージを持てるかが重要になる。先ほど見せたばかりだからイメージはしやすいはず。あとは魔力の動き方は身体で覚えてね。


 「ちょ、ちょっと、あれっ、足が動かない! こ、心の準備がぁぁぁぁ!!!」


 僕の魔力を流し込み、サクラちゃんの魔臓からゆっくりと魔力を動かしていく。サクラちゃんが覚えやすいようにゆっくりと時間を掛けてイメージを固めていく。だ、大丈夫たよね?サクラちゃんの意識があるうちに魔法を撃ってしまおう。

 「うわぁー入って、入ってくるー。ちょ、長い、長いってぇぇぇ!! ふ、ふぁー、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 ズガァァァァン!!


 ふむ。出来たね。


 「はぁ、はぁ、はぁ、な、何なのよ、これ。す、すごい魔法ね」


 膝がガクガクで立ち上がれないため座り込みながらも魔法が当たった場所をジーっと見つめるサクラちゃん。カメラに収めたらきっと高値でコウジさんが買ってくれそうだ。


 「いきなりは出来ないと思うけど何度も練習していけば、きっといろんなことが出来るようになるよ」


 そういって僕は撃ちだした炎弾(ファイアボール)を頭上でくるくる回しながら話す。


 「その炎弾(ファイアボール)はまるで生きてるみたいね。自由に動かせるの?」


 「うん。動かせるよ」


 ゆっくり回したり早く回したりと動かしながら岩壁へとぶつける。


 ドガァァァァン!!


 「と、とにかく練習あるのみね。しばらく通うことにするからよろしく」


 意外にやる気があるようだ。さすが魔法大好きサクラちゃん。しょうがない付き合ってあげよう。僕も改めて魔法を勉強するいい機会だと思うんだ。魔法の可能性ってもっとある気がするし、まだ覚えていない中級魔法とかもこの機会に習得してしまおうと思う。


 「いつでも来ていいから。僕もしばらくは魔法の勉強をしようと思うんだ」


 「それはますます気合いが入るかな。タカシと一緒に練習出来るなら上達も早くなるはずよね」


 ティア達の『魔力操作』スキル向上に繋がるいい練習方法が見つかるといいな。サクラちゃんには体を張ってもらって検証作業を進めさせていただこう。


 「そうだね。早く覚えられるように頑張ろう」



 それからほぼ毎日サクラちゃんは『魔力操作』スキルを習得するために『千葉ダンジョン』を訪れていた。そしてなんと短期間で『魔力操作』スキルを習得し、更にレベル2になってみせた。ティア達ですらまだレベル1なのだから魔法を扱うセンスがいいのかもしれない。


 僕がサクラちゃんにスキルを覚えさせるために行ったことはとにかくイメージの共有。そして僕が動かす魔力の流れをひたすら体で覚えてもらった。


 そして、一番は『賢者の杖』の賜物であると思う。うっかりすっかり忘れていたけど『賢者の杖』は『魔力操作』をスムーズにしてくれる機能がついているチート武器だ。わかりやすく説明をするならば自転車の補助輪的な役割を果たしてくれるのだ。


 つまり、サクラちゃんは補助輪付きの自転車でじっくり練習して進み方や曲がり方を体でしっかり覚えて基礎を築いていったのだ。最早、『賢者の杖』無しでもかなりの精度で『魔力操作』スキルを操れている。


 「師匠、どうすれば『魔力操作』スキルってレベルMAXになれるのかな」


 「レベル2でも充分操れてると思うんだけどね」


 「私の目標は師匠超えなの。とりあえず、ダンジョンの迷路造りをある程度進めてくる。一区切りついたらまた来るね」


 そういえば、いつの間にか師匠と弟子の関係になっていたな。うむ。弟子よ、頑張りたまえ。なんかいいスキルとか覚えて僕にも教えてね。

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