観覧車へ行く→
「ど、ど、どういうこと、なんだよおおお!!」
声を上げながら、あなたが入った施設は……観覧車、でした。
一生懸命現状を整理しようとしますが、当然、出来ません。
頭の中がぐちゃぐちゃのまま、ふと見上げると、どこまでも高く、その観覧車は見えました。
目の前には、観覧車に乗るように、裏野ラビットのニッケルさんが、手招きをしています。
「……これに、乗れば、良いんだね?」
あなたの言葉に、ニッケルさんは、答えます。
「これに乗れば助かるって言う訳じゃあ無いけど。
ゴールできる可能性は、あるよ?」
「……充分」
そう呟くと、あなたは、観覧車に、乗り込むのでした。
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観覧車は、どんどんと、その高度を上げていきます。
窓を眺めると、驚くことに。
どこまでも広がる、裏野ドリームランドを眺めることが、出来たのでした。
それは、冗談でもなく、地平線いっぱいに広がる、遊園地。
走って出口を目指すことは無理だろう、と、あなたは思いました。
ふと、目の前の窓を見ると。
そこには、小さな看板がありました。
『いま、何時?』
裏野ラビットのニッケルさんが、おどけたポーズでそんな台詞を書かれています。
看板の右側には、アナログ時計を思わせる、かわいらしい絵が。
左側には、同じ縮尺で観覧車が描かれていました。
何を言っているのか。
少し考えて、あなたは気づきます。
観覧車の数は、12。
時計の示す数も、12。
観覧車の示す数字が、時計の示す数字の、答え、では、ないか?
バタン!!
観覧車の、扉が開きました。
扉から外をのぞくと、頂上に近い位置……時計で言うと、3時くらいの位置に、観覧車が、います。
……もはや、疑う必要も、ありません。
出されたなぞなぞである……つまり。
『いま、何時?』の、答えである、観覧車の問題は。
その正解と思われる時間に、ここから飛び降りろ、というもの、なのです!
真っ暗な空を眺めて、予想をつけるあなた。
「北極星と、月の位置。
あと、夏の星座の配置からして……」
そして。
12時半過ぎで、13時の前。
なんとなくではありますが、そう、予想したあなたは。
観覧車の、一番高い位置の、近く。
そこに観覧車が移動すると。
扉の向こうへ。
……ゆっくりと、飛び降りたの、でした。
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「うん、凄いや!
12時で正解だね」
遠くから観覧車を眺めながら、裏野ラビットのニッケルさんは、一人事を言っています。
「……それで……それが、なに?」
……思い出されるのは、この遊園地の、ウワサ。
『ウワサ7 観覧車から聴こえる声
廃園になった遊園地、
人なんか誰もいないはずなのに……
観覧車の近くを廻ると声がするらしい。
小さい声で、
『出して……』って』
「全く、言い掛かりも良いところだよ。
裏野ドリームランドは、こんなにもオープンなのに!!」
気味の悪い笑顔で、裏野ラビットのニッケルさんは、声を上げました。
そして、地上高くから落下してくる人たちを見ながら。
「でも、なんだか最近、落ちてくる人が多いんだよね~。
なんでか、知らないけど」
と、他人事のように笑いました。
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