スライム飼育
本日は、スライム牧場を経営している、山下浩一(52)さんにインタビューをする。
山下さんの牧場は、街から少し離れた所にあり、移動には馬車が必要だ。
スライム牧場では、一体、どの様にしてスライムが飼育されているのだろうか。
悠「よろしくお願いします。 まず、山下さんがこの仕事を始めたきっかけを、簡単に説明してもらえますか?」
山「お願いします。 私は元々戦士をやっておりました。 戦士は前線で戦うのが仕事ですから、その分、防具が汚れるんですよね。 戦いが終わって宿に戻っても、今度はそういった汚れと戦わないといけない」
悠「僕はパーティーで冒険をしたことがないから分からないんですが、自分の武器は自分が手入れを?」
山「もちろんです。 皆が寝静まった後も、盾をゴシゴシ、なんてよくありますね」
悠「一番疲れていると思うのに、大変ですね……」
山「まあ、疲れているのは皆そうなんですけどね。 腹が立ったのは、私を置いて皆で飲みに行っていた時です」
悠「笑」
山「それで、ある時スライムと戦ったんです。 スライムを盾で押さえ込むようにして、戦ったんですが、戦闘が終わってから、盾がピカピカになっていることに気が付いたんです」
ここまで聞いたらお分かりだろう。
この牧場のスライムは、頑固な汚れを落とす、洗剤として出荷されるのである。
山「本当に偶然でした。 よくよく考えてみたら、スライムって酸性なんですよね」
悠「なるほど。 それで、どうにかして商品に出来ないかと」
山「はい」
次に、実際に牧場へとやって来た。
ここでは、まるでクラゲの水族館のような、少し不思議で、癒しの世界が広がっていた。
悠「塀の中で飼育なさってるんですね。 襲ってきたりしますか?」
山「動物と同じで、ちゃんとしつけをすれば、大丈夫です」
悠「へぇー! 驚きです。 ちょっと触ってもいいですか?」
山「どうぞ」
スライムは、大きいもので、全長1メートル程だ。
悠早は、表面を軽く撫でてみることにした。
悠「おおっ、冷たくて気持ちいい」
山「あまり長時間手を触れてると、指紋が溶けちゃうので、気をつけてください」
悠「頑固な汚れにはスライム。 世の中には色んな商売がありますね。 最後に、山下さんの夢を教えて下さい」
山「そうですね。 今、まだ商品は一つしかないんですが、今後はシャンプーなど、体にも優しい新製品を開発していけたらな、と思います」
悠「完成したら、使ってみます笑 本日は、ありがとうございました!」
山「ありがとうございました」




