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2話 予定外につき浮いた魂

2話 予想外につき浮いた魂


『思考回路の不思議なら娘さんじゃのう。

面白いのう。普通なら、もう少しパニックになると思うんじゃがなぁ。


ふむ、さっきも言ったが わしは神様のエルじゃ。

娘さんのいた世界に行った時に、うっかり姿隠しするのを忘れたことがあってのう。

それを見た人間達が魔法使いと言い出したんじゃよ。


つい歩くのが面倒で、杖で飛んでたものでなぁ』


う〜ん、うっかり姿隠し忘れて、つい飛んじゃったんだぁ。

もしかして、結構いい加減なのかなぁ。


「神様のエル様ですね。

私は…、名前は…なんだっけ?

あれっ?わかんない…」


なんでっ?死んじゃった事とか事故にあったことはしっかりわかるのに。

それとも そういうものなのかなぁ。


『思い出せんのは当たり前のことじゃ。

本来人間は死と共に、身体も魂も記憶も失うからのう。

全てをリセットして、新しく生まれ変わるんじゃよ。

今はこの空間に魂だけでプカプカ浮いとる状態じゃ。

記憶は魂に蓄積されるが、名は肉体に刻まれるのでな。思い出せんのじゃよ。

だから気にせんで良い』


じゃあなんで私は、魂を失ってないのかなぁ?

疑問が解決しても、次々生まれるから不思議だわ。


「当たり前なら良いです。

なんで本来は失われるはずの魂が残ってて、ここにいるのかは不思議ですけど。

私、どうして魂でプカプカ浮いてたんですか?

死んじゃったはずなのに」


『それはのう。死ぬ予定じゃなかったからじゃ』


「へぇ〜、予定外に死んじゃったんですか、私。

それは助かりました。ありがとうございます」


『普通は怒る所なんじゃがなぁ』


「良いんです。死にたかったので。予定外に早く死ねたんでしたら、ラッキーです。

エル様にお礼も言えましたし、満足なので、魂も取っちゃってください。そうしたら、全てリセットされるんですよね」


『そうもいかんのじゃ。

予定外に死んだんでな。次の身体が用意されとらんのじゃ。つまりな、次に迎えられる身体がないから、魂だけが残り、ここに浮いとるんじゃよ』


…どうしろというのかしら。

もうしばらく、ここで浮いてればいいのかしら。

まぁ、仮の身体ももらったし、きっと誰も知らない世界の仕組みを知れたし、エル様と話してるのも楽しいし。

楽しいか。久しぶりの感覚ね。


でも、食事や排泄はどうなるのかしら?

仮の身体だから、必要ない?

生前の記憶があるだけに、不思議がいっぱいだわ。


「じゃあ、用意できるまで浮いてますね。

どれくらい浮いてればいいですか?」


どうも真っ白な景色で時間の経過がわからないわ。

それとも死後な世界だから、時間なんてないのかもしれないわね。


『そうもいかんのじゃよ。本来はすぐに失うものじゃから、魂だけで存在しとるのは、定めに反するのでな。

とりあえず、本来の身体が失うはずだった寿命分を生きて欲しいんじゃ』

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