7話 記憶の水晶
7話 記憶の水晶
「公爵、よろしいですか?」
それまでずっと無言だった、王子様が初めて口を開いた。
なにかしら?
「どうぞ」
「サラ、記憶のない君からすると少し馴れ馴れしいかもしれないが、すまない。
私には君を公爵令嬢と他人行儀には呼べない。
君は時間が欲しいと言った。
勿論当たり前の事だ。
だけど、一つだけ伝えたいことがあってね。
君の部屋にある水晶のことを」
「殿下、水晶とは婚約の儀の折に下さった水晶のことですかな?
あれは殿下との遠距離通信ができるものだと聞いていますが」
へぇ〜、電話みたいなものかな?
水晶っていうのが、魔法の国って感じ。
「はい。契約した者同士を繋ぐ通信機です。
あの水晶の場合は私とサラのみの専用となっています。
ですが、それ以外の機能もあります。
それは魔力保持者の記憶保管機能です。
サラは眠りに就く前は、毎日その水晶に保管していたはずです」
「それは初耳です。水晶にそんな機能があるなど聞いたことがありません」
他国とはいえ、筆頭公爵のお父様が知らないなんて。
「当然です。魔力量が多量にあるサラだからこその能力ですから。通常の者では、魔量が足りず消えていきますから。ですがサラは魔力量が多く、余裕のクリアだったようですが。
サラ、もし君の失くした記憶に興味があるようなら、試してごらん。
見れるはずだから」
なんて都合の良い状況。




