プロローグ
プロローグ
小さい頃、すぐに手をあげる父がとても怖かった。
守ってくれない母を好きになれなかった。
テレビの中の幸せな家庭は現実にはないんだと思ってた。
小学校の高学年の頃には、周りの子を幼く感じる冷めた子供になってた。
ニュースでイジメから自殺した事件を目にしてからは、嫌な事があったら自殺すれば良いのだと思い、安心した。
中学生になると、周りと自分の違いに学校に行く事が辛くて、卒業したくてしょうがなかった。
卒業後は高校進学せずに働きたかったけど、世間体を気にして高校に行かせたがった両親と、受け持ち生徒から進学しない生徒を出したくない担任に折れて定時制に進学した。
でも今思うと、一番充実していたのは、高校生の頃。
昼間バイトして、夕方から学校に通った。
門限が17時だった中学生の頃を思うと、自由に感じた。
遊びたい時は、学校をサボれば21時までは遊びに行けたし、バイトしていたから同世代よりは自由にできるお金もあった。
高校卒業後は、一人暮らしを許してもらえず不貞腐れ、特に就職活動をしないまま、適当に職安で見つけた、通勤20分のスーパーに勤めた。
特に意欲とかもなく、ただ仕事して帰宅する生活を何年か続けた。
恋愛への興味はあったけど、漫画やドラマの中だけのものに感じてしまった。
結局恋愛は諦めて、実家を出る切っ掛けが欲しくて、お見合いサイトで知り合った人と結婚した。
結婚してから初めて気づいた。
私は男性不信なのだと。
それからは、死への憧れが一層強くなった。
結局私は幸せになれないのだと。
死にたい。と1人の時間に感じずにはいられなくて、だからといって、自殺するほどの覚悟はなくて。
事故にでもあわないかと、いつも外に出る時に期待してしまった。
だから、私に向かってくる信号無視のトラックに気付いた時、とても嬉しかった。
私、死ねるんだと。