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第四十一話:得る力

魔王「さて。今回もここか。ていうか、いい加減飽きてきたぞ」

村長「そういうこと言わないでくださいよぅ!」

医者「私はまだ二回目だが、なるほど。たしかにお腹いっぱいだな」

村長「ミーシャさんも!?」

魔王「・・・さて。軽くニーナを弄ったところで、本編にいこうか」

「それで。ぶっちゃけていうとオマエって、いったい何が出来るんだ?」

『それよりも先に、アタシの封印を解きなさいよ』

「それで。オマエは何が出来るんだ?」

『おいこら無視するんじゃないわよ』

 ブラックキューブがなにか喚いているが、そんなことは気にしない。今重要なのは、コイツの気持ちよりも、現状を打破できるかどうかだけだ。

「ほれ、言ってみ?オマエの可能性を。自分になにが出来るのかくらい言えないと、面接ですぐ落とされちまうぞ?」

『だったらいっそ落としてくれないかしら』

「もっかい蹴るぞ」

『・・・・・・アタシに出来るのは、そうね。エクスと大して変わらないわよ。アタシも、剣だけじゃなくて、それ以外にも形状を変えられる』

 ・・・・・・なるほどね。神話上でも、形状が剣であるとは明記されていない理由はそれか。剣だったわけでも、槍だったわけでもなく、コイツという存在そのものが“レーヴァテイン”というわけか。

「んじゃあ、オマエもあれか。エクスみたいに剣を複製したりできるのか?」

 俺の問いかけに、レーヴァテインはわずかな間をとった後に。

『・・・・・・それは出来ないわ。アタシにできるのは、自身の形状を変えることと、影を操ることくらいよ。生み出せる武器が剣だけじゃないっていうのは、まあっ利点ではあるけれど、作れるのは影だからね。範囲が限られているっていう欠点もあるのよ』

「あぁ、さっきのか」

 なんか、闇属性っぽいなー。いや、コイツ完全に闇属性だけどさ。真っ黒だけれども。

「じゃああれか。エクスみたいに、光を出して闇の力を打ち消したりとかはできないのか」

『アタシ自身が闇なのよ?打ち消すなんて、出来るわけないじゃない』

 ですよね。まあ、仕方がないか。コイツはコイツで、強そうだしな。

「んで、レーヴァテインよ。さっきの約束、忘れてないだろうな」

『えぇ、そうね。分かっているわ、協力すればいいんでしょう?不本意ながら、アタシの利益にもなりそうだし。今はとりあえず、自由になれるならなんでもいいわ。アナタの奴隷にでもなんでもなってあげるわよ』

「いや、奴隷ってつもりじゃないんだけど・・・・・・。まあ、レーヴァテインが力になってくれるなら、心強いわ」

 奴隷宣言という言葉に俺が苦笑しながら答えると、レーヴァテインはさらに震える。

『・・・・・・分かったから、とにかくこの封印を解いてくんない?』

 あぁ。忘れてた。


 ◆


「さて。ようやく自由になれたわね」

 そこに立つのは1人の少女。

 褐色の肌に銀色の髪が目立つ、可愛らしい少女。真っ白な肌に金髪のエクスとは対照的な風貌だ。しかし、外見年齢はほぼ変わらないように見える、幼い見た目だ。ホント、小学生にしか見えん。ギリギリ中学生・・・・・・いや、やっぱ小学生だわ。

「・・・・・・なに見てるのよ、ロリコン」

「ロリコンじゃねーよ、フェミニストだ」

「変わらないわよ。ていうかアナタ、時間がないんじゃなかったの?」

 あぁ、そういえば。ドラゴンを倒さないといけないんだっけか。

「見た限り、現段階でのアナタ自身はゴミみたいに弱っちいクソ虫って感じだけど・・・・・・」

「おい。随分言ってくれるなぁ、テメェは」

 レーヴァテインの言葉に俺が顔をしかめるが、それを見ていたシエンは、笑いながら同意する。

「ははは。よくわかってるじゃねえかよ御嬢ちゃん。まあ、コイツの強さは振り幅が広いからな」

「知ってるわよ。なんせずっと見てきたんだから。ていうか、ちょっとそこの魔王。先輩面してんじゃないわよ。言っとくけどね、コイツといる時間的にはアタシのほうが長いんだからね?コイツが帝国で遊んでるときから一緒なんだからね?」

「え、なにツンデレ?オマエ実は俺のこと好きなんじゃ――――――」

「殺すわよ?」

 漆黒の影が、俺の首に巻きついていた。放っておけば数瞬後には俺を窒息へと導くだろう。

「ご・・・・・・ごめんなさい」

「分かればいいのよ」

 レーヴァテインの嘆息と共に、俺の首を締め上げていた影は外れ、溶ける様に霧散した。

 死ぬかと思ったー、と息を整えてゼーハーゼーハーしている俺を見下ろしながら、レーヴァテインは冷たい眼差しを向ける。

「覚えておくことね。アタシは今でもアナタの命を狙っていることを。この馴れ合いだって一時的なものよ。今アナタをここで殺れば、次の瞬間にアタシは、アナタの仲間全員から命を狙われることになる。そんな状況は望ましくない。アタシの望みは、完全なる自由なの。だから今は、アナタを見逃しているってだけなんだから」

 なにこのパートナー全然信用できないんだけど。自分の命を狙ってる暗殺者と一緒の布団で寝るくらい怖いんだけど。

 俺がガクブル震えていると、なおも笑っているシエンが。

「それでよ。結局どうするんだ?ぶっつけ本番?それとも訓練するのか?だったら、相手になるぜ?」

 と提案する。ていうかオマエ、絶対戦いたいだけだろう。新たな力を前に、狂戦士の特性が疼いているだけだろう。獣の疼きが止まらないんだろう?

 が、確かにシエンの提案した通り、俺たちには訓練が必要だ。ぶっつけ本番で、この暗殺者と息が合うとはとても思えん。

「レーヴァテイン。やるか」

 俺の端的な提案に、レーヴァテインは顔をニヤケさせた。

「えぇ。殺りましょうか」

「おいこら意味合い変わってんじゃねえか。だれかコイツを止めてくれ」


 ◆


 病院内の訓練場。

 その中央で俺は、息も絶え絶えに、仰向けに寝転んでいた。

「・・・・・・あのさ、レーヴァテイン」

『なによ』

「俺は確かに、ゴミみたいに弱っちいクソ虫だったわ」

『あぁ、いまさら』

 いやでも。言い訳をさせてもらうならばあれだ。俺が弱いんじゃない。シエンが強すぎるんだ。

 心の中でそんなことを呟いていると、どうやらそれが伝わっていたらしく、レーヴァテインが答える。

『そりゃそうでしょう。この男は、シエンは。いわゆるアナタの目指す到達点ってことになるのよ』

「到達点・・・・・・?」

 どういう意味だ?と問いかけると、なにを今更と言いたげに、レーヴァテインは答える。

『アナタが今使おうとしているアタシの力は闇。そしてシエンは、闇の支配に打ち勝ち、その力を内包するに至った男なのよ?ほら。アナタの目指す男でしょう?』

「・・・・・・ホントだ!」

 そうだよ。よくよく考えれば、シエンっていわゆる、俺の割き行く先輩ってことじゃないか!先駆者だよ先駆者。パイオニア。

「なあ、シエン」

 身体を起こし、壁際でボーっと天井を眺めているシエンに声を掛ける。

「あん?どうした」

 欠伸をしながら、フラッとこちらを向くシエンの目には、まったくのヤル気が感じられない。おそらく、俺との戦闘で、俺が弱すぎて興が削がれてしまったのだろう。いやだなー、こんなヤツを頼るの。

 いや、気をしっかり持つんだ俺。ヤツは仮にも魔王だぞ?闇の力にすらも自力で打ち勝ち、その力を内包する男だぞ?レーヴァテインの言うとおり、確かに現時点ではもっとも頼りになる男だろう。そうだ、頑張れ俺。フレーフレー。

「・・・・・・いや、ちょっとコツって言うか、教えて欲しいことがあるっていうか・・・・・・」

 歯切れの悪い俺を見て、何かを察したらしいシエン。しかし、その表情は変わることなく、相変わらず気の抜けたまま、それでも一応は、ちゃんと答えてくれた。

「あー、おう。言わんとすることはなんとなく察しが付いた。ようするに、この闇の力?だっけか。それの使い方を知りたいってことだろう?そして、俺に言えるのは一つだけだ。俺にはわからん、自分で考えろ」

「・・・・・・ケチ」

「仕方ねえだろ。分からないことは教えられねえよ」

 そういって話を切り上げようとするシエン。そんな彼を止めたのは俺ではなく、俺の手元で姿を変えたレーヴァテインだった。

「随分と冷たいじゃない、魔王様?」

「・・・・・・オマエには言われたくねえな」

 答えるシエンは、どこか不機嫌そうだ。まあ、たしかにその通りなんだけどね。そして、言われたレーヴァテインも頭にきたらしく、頬を膨らませる。

「何よその言い方。アタシだって、こんな雑魚なんて今すぐ見限りたいけど、それでもなんとか我慢しているのよ?仲間なんだから、手を貸してあげてもいいじゃない」

 雑魚って。その通りだけどさ。でも、そんなはっきり言わなくてもよくない?もうちょっとオブラートに包んでくれてもいいんじゃない?確かに、たまに邪魔に感じることもあるけどさ、オブラートって。食べにくいよね、味しないし、くっつくし。昔は苦手だったなー。

「確かに、リュージは雑魚だし、そのパートナーになってしまったオマエの不幸は不憫であるし、まったく同情するしかないが。だとしてもだ。オマエ自身も、もう少しリュージに協力できるんじゃないのか?」

 なんだろう。コイツらは、いちいち俺を攻撃しないと会話が出来ないのかな?

「協力ですって?これでも、最大限の努力はしているのよ。でも、アナタなら分かるでしょう?闇を取り込んだアナタなら」

「・・・・・・やはり、まだなのか」

「えぇ。もうしばらくは掛かりそうね。放っておけば数日で、それなりの成果が上がるはずだけれど、そうもいかないんでしょう?」

「そうだな。時間はない、はずだ」

 ・・・・・・やべぇ。俺の話をしているはずなのに、俺が全く付いていけない。放置プレイ状態だ。寂しいな。俺、こういうことが多い気がする。

「・・・・・・ねえ。コイツ、完全に呆けているんだけど。いいの?」

「あぁー。コイツはいつもこんなもんだ。仕方がない、俺が説明してやろう。この道の先駆者として」

「え?なに、今回は俺も参加できるの?」

 今までの置いてけぼり歴からして、てっきり今回も、俺はまったく理解できないままに物語が進んでしまうのかと思ったんだが。

「むしろガンガン参加してこいよ。当事者だろ。――――――はぁ。まあいいか。ここでそれを議論しても仕方がない」

「そうね。そうしてもらったほうが、アタシとしても助かるわ。下手をすれば、アタシ自身にも危害が及ぶこともあるんだから」

「・・・・・・どゆこと?」

 俺の問いに、レーヴァテインは呆れてため息を吐き、隣に立つシエンに視線を向ける。どうやら、説明しろという意味らしい。それを汲み取ったらしいシエンは「えぇー」と嫌そうな顔をした後、一瞬で表情を引き戻す。いや、誤魔化せないからね?ていうかさっき、俺が説明してやるっていってたじゃん。

「そうだな。どこから話せばいいのやら・・・・・・。あぁ、そうだな。なあリュージ。オマエ、さっき戦ったとき、コイツの力を引き出せたと思うか?」

 その質問に、俺は思わず表情を顰めた。自分で自覚できていたからだ。

「・・・・・・いや。全くだ。表面的な力でさえも、全然活用できなかった」

 そう。先の戦闘で俺がやったことといえば、レーヴァテインという剣を振り回して、覇刀流の技を無理矢理振るっていただけだ。

 剣としてもエクスとは全くの別物であった上に、レーヴァテインの影の力も、ほぼ使っていない。闇の力に至っては、触れてすらいない。

「そうだろうな。まあ、コイツを使い慣れてないってのも大きいだろうが、それよりもなによりもだ。レーヴァテインの闇の力が、オマエの身体に馴染んでいないっていうのが、最大の問題点だ」

「馴染む・・・・・・?」

 それはつまり、俺が慣れていないってのと同じなんじゃないか?

「そもそも、闇の力ってのはな。どうも、それを発するそれぞれによって、波、波長的なものが違うらしい。つまり、俺の中にある闇と、レーヴァテインが保有する闇っていうのは、言ってしまえば全くの別物、別種と捉えてもいい」

 なるほど。シエンを捕らえ、そして今はシエンが内包する闇の力っていうのは、おそらく俺からすればそもそもの討伐対象。神に依頼された、この世界に何らかの影響を与えるものから流れ出た闇なのだろう。

 それとは対照に、レーヴァテインが保有する闇は全くの別物。彼女自身が持っている、彼女だけの闇、ということなのだろうか。

「それで。さっきの馴染むどうこうってのは、要するにあれか。俺の身体が、レーヴァテインの闇の波長に、まだうまく噛み合っていないってことか」

「そういうことよ。闇の力っていうのは、まあ闇だけじゃないけど。そういう力って言うのは、総じて順応期間っていうのが必要なのよ。多分、エクスだってそうでしょう?」

 確かに。言われてみればそうだ。エクスは、出会ってすぐに話しかけてきたわけでもないし、その力を発揮したわけではなかった。なるほど。確かに言うとおりだ。

「アタシの闇にアナタが順応するのに、まあ早くて三日かそこら。一週間掛かるかもしれないけれど、そんなのは誤差の範囲ね。馴染みさえすれば、とくに暴走することもなく力を活用できるはずよ」

「三日?一週間?なんか、思っていたよりもすぐに終わるんだな、その順応期間っていうのは。今の話で考えれば、シエンでさえ、一年くらい掛かったって事になるんだろ?」

 シエンの変貌が闇の力の影響だとすれば、それはおよそ一年前。そして、それに打ち勝ったのがここ最近のことなのだから、シエンの順応には一年ほどの時間を要したということになる。

 そんな俺の疑問に、シエンは自らの見解を述べる。

「多分、俺の場合は例外なんだと思うぜ。俺のは、順応っていうよりも“支配”だからな。波長を合わせたんじゃない。合わさせた《・・・・・》んだ、無理矢理な。それに、状況も違う。俺の場合は、向こうが完全に俺を乗っ取るつもりで、とんでもない力技を繰り出してきたみたいなもんだ。そして、その力技に対して、俺自身も力尽くで抵抗した。だから、噛み合ったわけじゃなくて、互いに磨り減ったんだと思うぜ、溝が」

 あぁ、だからコイツの場合は時間がかかったのか。下手に抵抗せずに受け入れるっていうのが、早期習得の近道なのかな?

 と思っていたのだが。しかしレーヴァテインの話にはまだ、続きがあった。

「そう。自然に馴染ませるのだとしたら、下手な抵抗をしない分は早く済む。間を取って四日掛かるとしましょう。でも、それだと遅いんでしょう?」

「え?遅いってどういう・・・・・・あぁ、そうか!ドラゴン襲来!」

 完全に忘れていた。なんだろう。メインイベントが来る前の前座が濃すぎて、すでにお腹いっぱい、みたいな。

「それがいつ来るか分からない以上、悠長なことは言ってられないでしょう?最悪、今この瞬間にも来るかもしれないんだし、手早く済ませましょう」

「・・・・・・手早くって、どうするんだよ」

 なんとなく嫌な予感がしたが、それでも俺は尋ねる。なぜなら、話が進まないからだ!

 俺の(内心決め顔ぶっちゃけ戦々恐々)様子をみたレーヴァテインは、答えた。

「決まっているでしょう。荒療治に頼るわ。死ぬかもしれないし、アナタの意識が消えるかもしれないし、もしかしたらアナタの仲間が、アナタを殺す状況になるかもしれないけど」

「・・・・・・マジでか」

「分かるでしょう?闇の力っていうのは、たかだか勇者で主人公って肩書きがある程度じゃ克服できるものではないの。しかもアナタは、主人公補正ゼロの出来損ないでしょう?」

「・・・・・・そうだね」

 どうしてみんな、俺の心を削っていくのか。普通に、闇の力はヤベェって言ってくれればいいじゃん。

 落ち込む俺を特にフォローすることもなく、シエンとレーヴァテインは勝手に話を進める。つまり、リュージ改造計画を。

「んで?その荒療治ってのは、ぶっちゃけ力技なんだろ?オマエの協力があっても危ないのか?」

「だから荒療治なんでしょう?アタシが協力したところで、アタシの持つ闇自身がコイツに適応するとは限らないんだから」

「はーん。つまり、俺のヤツと一緒で、結局は力尽くか。んじゃあ、さっさとやっちまおうぜ」

 ・・・・・・もうヤダコイツら。


 ◆


 仮想戦闘室の中心にリュージを座らせる。そのすぐ側に、レーヴァテインとシエンが待機し、その様子を、ガラス窓の向こうから、リリアとサタラ、フィール、そしてミーシャが見守る。

「・・・・・・事情は把握したが、その上で聞くぞ。大丈夫なのか」

 尋ねるミーシャの声には、ありありとした不安が込められている。全員の心情を代弁したかのようなその言葉を、皆が頭の中で反芻させる。重りのようにずっしりと全員の心に沈み込んだその言葉に、反応したリリアが、それでもなんとか、大人的対応を見せる。

「リュージが自分で決めたことですし、私たちには止められませんよ。今の私たちに出来るのは・・・・・・ただリュージを信じることだけです」

 そう。彼女たちが手を出すことは出来ない。これは、リュージ自身の闘いなのだ。


「それじゃあ、さっそく始めるわよ」

「・・・・・・あぁ」

 闇の力を流し込むために、レーヴァテインがリュージの肩に手を添え、念のために側に控えたシエンにも、若干の緊張が募る。

 自らも体験した闇。不安も当然ある。

「リュージ。大丈夫なのか」

「なんだよシエン。オマエらしくもない。心配なのか?」

 当の本人は、まるで気にしていないかのようにリラックスしている。しかし、シエンには分かった。リュージが、あえて気にしていない風を装って、自分の気持ちさえも騙そうとしているのだということが。

「・・・・・・いや、なんでもねえ。くたばっちまえ、クソ野郎」

「はっ!誰がくたばるかよ舐めんじゃねえ。生き残ってやるよ天寿を全うしてやるよ」

 二人のやり取りを見届け、レーヴァテインが力を行使する。暗く淡いオーラを発する手を見つめながら、彼女は最後の忠告をする。

「いい?ココから先は、アタシにもどうなるか分からない。なんの保証もない暗闇よ。それでも力が欲しいなら――――――自分で切り抜けてきなさい」

 言うや否や、レーヴァテインは力を流し込む。

 それに伴い、リュージの意識は落ちていく。暗い、混沌の中へと。


魔王「うーん・・・」

村長「?どうしたんですか?」

魔王「いやな。最近思い出したんだが、そもそもこの後書きに俺が出始めたのって、本編のほうでの出番がほぼ無かったからって理由だったのを思い出してな」

村長「あぁ、そういえば。でも、私よりは出てますよ?」

医者「それはそうだろう。なぜならニーナ君は、もうここにはいないのだから」

村長「過去の人みたいに言わないでくださいよ!私、ちゃんといますから!離れているだけで!」

魔王「まあ、それは置いといてだ。本題なんだが・・・俺、最近本編で出ずっぱりだし、そろそろメンバー交代があってもいいんじゃないか?」

村長「メンバー交代、ですか?」

医者「ふむ。確かに、この二人がずっと、というのも、新鮮味に欠けるのかな?しかし、私個人から言わせて貰えば、二人はなかなかいいコンビだと思うが」

村長「え?そ、そうですか・・・えへへ」

魔王「えへへって・・・。いや、別にこの組み合わせが不満なわけじゃないが。更新速度の問題がな。ゲストを招くといっても、定期的に更新されるラジオとかではないのだし、この小説には酷なのではないかと。更新しない間は、実質最後のゲストがずっと続いているのと同じなわけでだな」

村長「あ、そういうことでしたか」

医者「なるほど、一理あるな。だが、それもさして問題ではないのでは?」

魔王「・・・まあ、ぶっちゃけて言ってしまえばアレだ。作者がな、次回のゲストを考えるのが大変だとうるさいんだ」

医者「なるほど。悪いのは作者か」

村長「よ、よかった~。シエンさんに嫌われたのかと思っちゃいました~」

魔王「いやいや。それはないから安心しろ。というかそもそも、オマエを嫌うようなキャラが存在した場合、関係各所に説教される」

医者「あぁ。最悪、人死にが出る」

村長「えーと・・・あはは・・・」

魔王「まあ、それはいいわ。それでな、作者のために、なにかいい案を出してやろうか、と」

医者「そういう企画なのか、今回は」

魔王「それで、いい案はあるか?」

村長「えーと・・・、そうですね。あみだクジとかどうでしょう」

魔王「あー。あみだクジな。まあ、いい案ではあるが、いちいち考えるのがメンドクサイって苦情が来てるぞ、作者から」

医者「わがままだな、彼は」

魔王「わがままっていうか、クズだよな」

村長「ははは・・・。じゃ、じゃあ普通にクジ引きとかでいいんじゃないですか!?ほら、最初は手間ですけど、一度作れば使いまわせますよ!」

医者「たしかに、長期的に考えれば、それが良策ではあるな」

魔王「じゃあ、それを提示するか。採用されるかはわからんがな」


村長「それでは皆さん。今回はここまでです!」

魔王「そういや、オマエは今回で二回目だから終わりか?」

医者「一応はね。ただまあ、次回以降はクジで決めるのだから、次回もまた私、ということも起こりうるね」

村長「あ、そうですね!次回は誰になるか分かりませんが、楽しみです!やっぱり、こういうドキドキって楽しいですね!」

魔王「まあ、実際にやるかどうかは未定だがな。作者の気分次第だ」

医者「やらないんじゃないか?彼の性格的に。・・・と煽っておけば悔しがって作者が動くだろうという戦法」

村長「あ、あざとい・・・。そ、それでは皆さん、また次回です!」

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