第四十話:新人いびりは先輩の使命
魔王「久しぶりだな。ここも」
村長「本当ですね。なんだか、我が家に帰ってきたような安心感があります」
魔王「まあ、作者も受験生だからな。いい加減、勉強に専念してるんじゃねえのか?」
村長「・・・・・・そうですね。ホント、そうだといいんですけどね」
「あ~おく~、広~い空がー・・・・・・えーと・・・えー・・・なんかこう・・・・・・すごいなー」
「・・・・・・なんですか。そのふざけた・・・・・・歌、ですか?耳障りなので止めてください」
狭いバルコニーで、早朝のモーニングコーヒーを片手に空を見上げて、気持ちよく歌を歌おうとしていると、正面で同じくコーヒーを啜るリリアに冷たく突き放された。あ、熱々のコーヒーでも温まらないほどの冷気を感じる!天界の天使は化け物か!?
「耳障りって・・・・・・酷いよリリア!リリア酷い!」
「・・・・・・煩わしい」
ものすごく冷たい目を向けられた。そ、そんな目で見なくてもいいじゃないですか。
よよよ~、と嘘泣きしてみたが、リリアは気にも留めてくれない。本当に冷たい。
「ところでリュージ。準備は整っているんですか?」
相変わらず冷たい目を向けつつも、俺の身体を確認するように見つめる。
「大丈夫だよ。それよりも、自分の心配をしろって」
「・・・・・・私が?」
あぁ、そうでしたね。アナタ、俺が気にする必要もないくらいに最強だもんね。強いもんね。私強い子元気な子だもんね。
「それに、それを言うなら貴方の方でしょう。リュージは自分の心配だけをしていればいいです」
なんか一見ツンデレみたいな台詞だが、決してそんなことはないので俺は気にしない。か、勘違いなんてしてないんだからねっ!まあ、心配はしてくれているんだろう。多分。
でもまあ、リリアの言う通りではある。今回の戦い、懸念すべきは俺のみ。前回の戦いで証明されてしまった通り、フィールを含めた新パーティーの場合でも、俺は最弱だったのだ。俺、勇者なんだけどなぁ・・・・・・。
悲しみにくれながら空を見上げる俺にリリアは、ようやく温かみの戻った瞳を向けて、話を進める。
「というかリュージ。貴方、いったいどうやってドラゴンと戦うつもりなんですか?」
「え?そりゃオマエ、こう、刀でさ・・・・・・なんかこう、ズバッと?」
それ以外にあるんだろうか。残念ながら、俺の流派には、刀からビームを出したりはできないのだから。醤油とかも出ない。
という答えに納得できなかったらしく、微妙な表情をしながらリリアが続けた。
「そういうことではなくて。その・・・・・・どうやってドラゴンのところまで行くつもりですか?」
・・・・・・分からない。リリアがいったい何を言いたいのか、俺には全くわからない。これは、俺の知能が低いのか?俺の知能指数の問題なのか?IQか?IQなのか?最近流行ってる、子供をIQだけで判断しちまう、ちょっとアレな教育の影響がここまで来たか?数値だけが人間じゃない!って言ってるやつの大半は、その人間が出来ていないことに対する言い訳である。ソースは俺。
で。全く理解できていない俺を見て、リリアは本格的に、自分の息子を心配するお母さんみたいな表情を見せる。ごめんなさいね、出来の悪い子で。
「いえ、ですから。空を飛んでいるドラゴンを相手に、刀1本の貴方は、どうやって攻撃を加えるのですか?と」
「・・・・・・・・・・・・おぉ」
なんだコイツ、賢い娘か?賢者なのか?あぁ、俺がアホなだけでした・・・・・・。
確かに、リリアの言うとおりだ。空を飛んで攻めてくるドラゴンに、俺はいったいなにをすればいいのだ。俺がどれだけ刀を振るおうが、ドラゴンはその上を悠々と越えていくだろう。目にも留めないだろう。
「そっかーそうだよなー、そうなるよなー。どうしようか・・・・・・ミーシャさんに頼んで、空を飛ぶ系の装備を手配してもらおうか・・・・・・いやでも、そんなの絶対に邪魔だろうしな~」
困った。本当に困った。
完全に手詰まりだ。改めて空を見上げて、思考を放棄する。あー、空が広いなー。俺も、この大空を飛んでみたい。だからボクは、パイロットを目指す!
「いえ、あの・・・・・・。リュージ、帰ってきてください」
「――――――はぁっ!あ、あぶねー・・・・・・。とりあえず、空軍に入隊して今は亡き愛する彼女のために大空へ飛び立つところまでは想像できた・・・・・・」
「なにを1人で別の物語に逃避しているんですか。いえ、それよりも、解決策についてですが。リュージのその・・・・・・【覇刀流】でしたか?そこには、遠く離れた標的を狙える技はないんですか?」
「えーなにそれー。俺が使うのは刀ですよー近距離武器ですよー?そんなこと出来る訳がないじゃないですかー漫画の読み過ぎだぜリリアちゃーn痛だだだだだ痛い痛いゴメンなさい!」
俺の頭部をアイアンクローしながら冷たい瞳を向けるリリアは、リンゴでも潰せるだろうかと思えるほどの握力を維持しつつ、絶対零度の冷気を纏わせた言葉を紡ぐ。
「――――――次はありませんよ?」
「・・・・・・はい」
俺の命は、まさに今、風前の灯というヤツのようです。
「いや、しかしだな・・・・・・。真面目に答えるとしても、いい答えは返せないぞ。あとそれもう止めてください怖いから」
「・・・・・・どういう意味ですか?」
ぱっと、頭部から手が離れる。あぁ・・・・・・怖かった。いつ俺の頭がグシャッといってしまうかと気が気でなかった。俺は生きているぞ。
解放された幸福を噛み締めつつ、真面目に回答する。俺の命のために。
「つまりな。そういった、たとえば空飛ぶ相手を攻撃する技は、確かに俺の流派に存在する。でも、俺には使えない、ってことだ」
「リュージが使えない人であることは重々承知していますが」
「そういう意味じゃないです。隙あらば俺を貶すの止めてくれません?」
「すいません。つい、癖で」
「ホント、止めてくれませんかねぇ!」
毎度毎度、自然に俺の心を折りにかかる。最悪の癖だ。
「で、話を戻すがな。俺には使えないんだよ。そういう、遠距離系の攻撃は。出来てせいぜい、二刀で使った大砲みたいな、ギリギリ中距離が良い所だ」
今思えば、やっぱりちゃんと習っておけばと後悔するばかりだ。だって父さんが、『遠くを飛んでる敵を攻撃できるスゲー技を教えてやるよ!』とか抜かしやがったから、ちょっとイラッと来てぶん殴ってしまったのだ。いまどき、遠く離れた相手を攻撃しなければならない状況とかどんなだよwwwとかバカにしていたのが、こんなところで仇になるとは・・・・・・。
1人悔やんでいると、俺の表情から察したらしいリリアは、何かに気付いた様子でハッと顔を上げる。
「――――――い、今の悔しそうな表情、もう一度見せてくれませんか!?」
「オマエはどこに向かおうとしているのだろうな、リリアよ」
出会った頃のキミは、そんな娘じゃあなかったはずなんだけどなぁ・・・・・・。いったい、何があったのだろうか・・・・・・。これはあれか。付き合っていた頃はいい子だったあの子が、結婚したら態度が変わってしまうという、定番のアレだろうか。辛いなぁ・・・・・・。
「・・・・・・まあ、なんとかするさ」
とりあえず、気丈に答えておく。ここで悲観的になったって意味がない。
「幸い、この世界には魔法がある。俺の世界には無かった、魔法って言うとんでもツールがな。ソイツを使えば、なんとかなるんじゃないか?というか・・・・・・なんとかする」
「・・・・・・はぁ。とりあえず、手詰まりではないようで安心しました」
どうやら俺の言葉に納得、というよりも、そもそも確認を取ることだけが目的だったようで、リリアは嘆息したのち、表情を緩めた。
・・・・・・なんか、リリアが笑ったところ、久しぶりに見た気がする。
◆
で。とりあえず大口を叩いてみたのはいいが、直接的な解決策が見つかっていないという事実は変わらない。
研究室(客室として使わせてもらっている)に戻って考えはするが、特に思いつくこともない。適当に魔法製作でもしてみるが・・・・・・。
リリアと話した通り、魔法に頼るという方法も、確かにある。
が、しかし。その方法ではどうにもならないことは分かる。
そもそも、俺が作る付け焼刃の魔法で、本物の化け物と張り合えるわけがない。でもまあ、たくさんあっても損をすることはないだろうなーってことで、とりあえず色々と作っている。
「うーん・・・・・・。いやしかし、どうなんだろうなー、これ」
「あん?どーしたよ、リュージ」
正面のイスに腰掛けながら、正体が全く分からない謎の食材が挟まったハンバーガーを齧るシエンは、興味なさそうに声を掛ける。
だったら話しかけるなよ、と思ったが、しかしそれでも一応答える。俺って優しいね。
「いや、この魔法なんだけどよ。なんつーか、空飛ぶドラゴンに対して飛行魔法って、対抗できるわけがない気がしてよー。まあそもそも、その飛行魔法が完成してねえんだけどさ。どうやって飛ぶんだよ」
「まあ、自由に飛行できる魔法とか、いまだに稀有だからな。それを一から、完全な独学で編み出したりしたら、それこそ世紀の大天才ってやつなんじゃねえの?」
なるほど。じゃあ、俺では作れんな。
いやしかし、そうなればやっぱり、遠距離攻撃の手段を入手するしかないのだが・・・・・・。
「オマエ、炎飛ばせられるだろ?」
「いや、炎って言ってもな・・・・・・。空を飛ぶドラゴンを狙い撃ちするような精度はないからな。そもそも、そんな高度まで届かないしな、飛距離的に」
今の俺に作れる魔法は、威力度外視で射程をギリギリまで伸ばしたとしても、空飛ぶ魔獣までなんて届かない。使えても近~中距離程度なんだ。つまり、剣技の射程と変わらない。
だから、あくまで俺自身が、空高く飛び上がる方法があれば解決するんだがなぁ・・・・・・。
どーしようかなー、と考え込んでしまう。
そんな俺を見兼ねてか、食べ終わったハンバーガーの紙屑を捨てつつも、俺を慰めにかかる。
「まあ、なんだ。オマエってよ、それなりに主人公属性持ってっから、最終的には何とかなんじゃねえの?」
「慰めじゃねえのな。随分な丸投げじゃないですか」
しかもなんだよ、主人公属性って。そんなもん、主人公なんだから当たり前だろ。いや、わからんけども。
シエンのアドバイス(?)に安心、というより、なんかバカらしくなって逆に吹っ切れた俺は思わず笑ってしまった。
「つーか、そんなもんに頼ってらんねーって。俺が主人公だってんならそれこそ、自分で考えて何とかしないといけねえだろ?」
「・・・・・・格好つけてるとこ悪いが、決まってない気がする」
「マジでか!?」
おっかしいなー。今のは完全に決まったと思ったんだけどなー・・・・・・。
◆
「・・・・・・ふぅー」
息を整え、刀を構える。背中に回した刃に、魔力を集中させ、術式を展開させる。
「行くぞ・・・・・・集中しろ」
声に出して、自分に言い聞かせる。俺の集中力の高まりに連動して、魔方陣が高速で回転し、その効力を発揮し始める。
青く輝く光のオーラが刀身を包み、さらに刃を延長させるように伸びていく。が、その長さは10メートルにも満たない。その上、耐久度も低い。全力で振るえばへし折れてしまうほどに。
だからこそ、さらにもう一工夫。
「覇刀流【銃】・・・・・・改め【狙撃】」
音速で振るわれる光の刃は、当然その衝撃に耐えられるはずもなく、刀身より先の部分が折れる。
(今だ!)
光の刃が離れる瞬間、もう一つの術式を展開。物質を加速させるこの魔法を使って、へし折れた刃を撃ち出すっ!
結論から言えば、まったく使えなかった。
ナーガの城壁を模倣した仮想戦闘室に腰を下ろし、自らの刀を見つめる。
「うーん・・・・・・。アイディアは良かった気がするんだけどなー。やっぱ、飛距離と威力が問題か・・・・・・」
出力が足りていない。物質を加速させるんじゃなくて、減速を減らす方向で考えるか?いやでも、どっちみち弱いんだよな。なにか、もうちょっと欲しいんだが・・・・・・。術式の公式っていうか、法則を発見出来ていない。
サタラやフィール、シエンやリリアにも助言を乞うたが、俺の作る術式はオリジナル要素が多すぎて、他人が下手に干渉することができないらしい。変に手を出すと、暴走するかも知れない、とかなんとか。
どうすっかなー。なんかこう、手っ取り早くパワーアップ、とは言わないが、もう一押し、力が欲しい。なんかこう、突然俺の中の主人公パワーが覚醒して、光の力でパワーアップとかならねーかなー。
・・・・・・ならねーかなー。光の力の象徴であるエクスは今いねえし。俺が持ってんの、闇の力宿した元パンツのブラックボックスだし。
・・・・・・あれ?これ、使えるんじゃね?
「リリ姉ぇー!リリ姉ぇー!!!」
「どっかのキャラと被るでしょうがぁああああああ!!!」
全力の蹴りだった。上半身が爆ぜるかと思った。
「げはっ、げふっげほっ!おぉえぇええ!!!」
腹を抱えて息を整える俺を、しばらく冷たい目で見つめた後、溜め息を吐きつつ呟く。
「それで?いったいなにを騒いでいたんですか」
「いや、あのね?ほら、これなんだけどさ・・・・・・」
俺は、自分の部屋に戻って取ってきた、手のひらサイズに収まる、漆黒のキューブを見せる。
「・・・・・・リュージ、落ち着いてください。いくらなんでもダメですよ。物語的に」
「え、なにが?」
「私は認めませんよ、闇堕ちなんて」
恐ろしい勘違いだった。うわービビッたー。
「違げーよ、そうじゃねえよ。ちょっ、とりあえず聞いて?」
道を誤った息子を諭すお母さんみたいな目をしたリリアを宥めて、俺は明確な説明をする。
「だからほら、カクカクしかじかでな。このキューブの力を活用できねえかなーっと」
「あぁ、そういうことですか」
説明を聞いて一応は納得したらしいリリアは、俺の話を頭の中で反芻させたあと、俺に助言をくれる。さすが、我がパーティーのお母さん。
「・・・・・・そうですね。個人的には、あまりオススメは出来ませんね。私たちの敵である闇の力を内包した武器である、ということを差し引いても、リュージの身体のことを考えると、安全も保障できませんし」
「俺の身体?」
怪我ならとっくに治ってるけど・・・・・・。あれかな。テメェじゃあ扱いきれる代物じゃねえんだよ勘違いすんなよ雑魚が出しゃばるなってことかな?・・・・・・やべっ。ちょっと泣きそうだ、俺。そんなにダメかなぁ、俺。確かに、ダメだけどさぁ。お前らと比べたら、すげー弱いけどさー。
項垂れているとリリアは、膝を抱える俺の肩に手を置きながら、いやいやと首を振る。
「違いますよリュージ。そういう意味ではありませんよ。いいですか?確かに貴方は弱いです。雑魚です、最弱です。唯一対抗できるかもしれなかったフィールにも惨敗するほどの弱さです。でも大丈夫。最近の主人公は、だいたい弱いですから。主人公の俺TUEEEEEEキャラ以外も珍しくありませんから」
「なんのフォロー!?」
フォローにもなってねえし!なんだよコイツ、身投げしちまうぞ俺!
気合一発と窓に手をかける俺の背中に、なおも変わらないテンションでリリアの声がかかる。
「そうではなくてですね。そもそもリュージはこれまで、エクスという光の象徴を相棒として常に側に置き、力を合わせて戦ってきました。つまり今のリュージの身体は、いってしまえばすでに、光の力に適応したものに変貌しているはずです」
「へ、へぇー。あれって、そんな効果があったんだ。なにそれ、違法のお薬みたいなもんなの?もうそれ以外受け入れられない身体に改造されちゃったの?」
「まあ、どうなんでしょうね。いえ、あくまで憶測ですよ。必ずそうなるという確証もありませんし。ただ、いままで光しか受けていなかった貴方が、信頼もなにもない武器が保有する闇に適合できるかどうか」
・・・・・・あぁ。
「なんだ、そういうことか。大丈夫だよ、俺なら。なんかこう、全てを受け入れる系の男だから、俺は。ほら、スゲー寛容だから」
腐っても主人公だぜ?明るかったりも暗かったりも、ぜーんぶ受け止めるからね俺は。
「そうですね。リュージは受けですから。ヘタレ総受けですからね」
「あれ?意味変わってね?」
全てを受け入れる男ではあるつもりだが、完全に受動態になっている気がする。いや、そういうんじゃなくてさ。なんかこう、包容力があるっていうか、度量が大きいとか、そういう意味で言ったわけでね?
「・・・・・・まあ、とにかく。物は試しってことで、やってみるわ」
キューブを弄びながら、俺は歩き出す。こういうものは、たいていなんか問題が起こるからな。爆発とか、精神干渉とか。そういうのを警戒して、広めの庭に出るってのは、悪い考えじゃあないと思う。
被害を受けるのは、俺1人でいい。
そんな風に格好をつけながら、俺はリリアの元を後にした。
「・・・・・・・・・あ。そういえばリュージ。キューブの封印の解除方法、知っていましたっけ?」
◆
「開けぇええええええ、ゴマぁああああああああ!!!」
・・・・・・反応がない。ただのキューブのようだ。
格好つけたのはいいが、封印の解除方法がわからなかった。どうせ魔法的なあれだろう、と思って調べてみても、なにも分からない。どうやら封印の際、俺たちの力まで使ったリリアが施したのは、ただの魔法ではないらしい。
なので俺は今、知りうる限りの魔法の言葉を叫んでいるのだが、いっこうに反応がない。
「・・・・・・どうしたもんか。あそこまで格好つけた手前、戻って聞くわけにもいかんしなぁ」
漆黒に光るキューブを、俺はどう扱っていいのかと持て余す。
方法がまったく分からない。自分も封印の一役を買っていたはずなのに。なにこの疎外感。スゲー寂しい。
若干気持ちが沈み、風に流れる葉っぱとかを眺めていると。
「はっ!もしかしたら、コイツにもいるかもしれない!」
そう。俺は気付いてしまった。そうだよ、いるかもしれないじゃん、コイツにも。なんかこう、精神的なものが!
聖剣であるエクスカリバーにも、意思があったんだ。それと対を成す魔剣にも意思があったって、なんの不思議もないはずだ。
と、いうわけで。
えーっと。コイツ、なんて名前だっけ?たしか・・・・・・。あぁ、そうだ。“レーヴァテイン”だった。
「さあ、それではみなさんご一緒に。すぅ・・・・・・・・・レィイイイイイヴァt『うるさぁああああああい!!!』っひゅぶばはああああ!?」
吹き飛ばされた。なんだ、何が起こった?今起こったことをありのままに話すぜ?全力で名前を叫んだら突然怒号が返ってきて同時になんか黒い衝撃波で吹き飛ばされた!何を言ってるか分からないと思うが、正直俺も何がなんだかわからないから大丈夫誰か助けてっ!
「痛い!なんかスゲー痛い!何だこの痛み。傷ついてるわけじゃなくて、一点に強打させるわけでもなく、ただただ痛い!なんかこう、表面が痛い!ジンジンするよぅ!」
スゲー痛い。皮膚が真っ赤になった!なんて嫌な攻撃!
「いや、ていうか・・・・・・あれ?なんだ、今のは。喋ったよな、コイツ。はっ、まさか!やはり俺の推測は当たっていて、コイツにも意思があったんだな!それで、俺のウザさに反応して攻撃してきたわけだな!なるほど納得だぜ!なあなあそうなんだろ!おいおいせっかく喋ったんだからもっと駄弁ろうぜぇ~!」
二度目の衝撃波。ついに俺は、病院の壁にまで飛ばされた。うん、なんだろう。ものすごい衝撃なのに、痛みが皮膚にしか来ない。不思議だ、これが闇の力か・・・・・・。
『いや、なにを悟ってるのよ。別にその痛み方、ただアナタを痛めつけたいからやってる攻撃ってだけで、アタシの特性ってわけじゃないからね?そこまで嫌らしくはないわよ、アタシも』
なんだろう。久しぶりに、こういうノリになった気がする。なんかこう、初対面から失礼なヤツとの対話みたいな。
『アナタ・・・・・・なに嫌そうな顔してるわけ?今現在の不快度で言ったらアタシのほうが断然上なんだけど』
そんな台詞を聞きながら、改めてキューブを見つめるが・・・・・・、ふむ。言葉を発する時は、キューブが若干震えるわけか。ケータイのブザーみてぇだな。
いや、それよりもだ。
話が通じるのならば、さっそく交渉に移るか。
「ところで、レーヴァテイン・・・・・・さん?ちゃん?くん?まあ、なんでもいいか。レーヴァテインよ」
『悩んだ末の呼び捨てとは、アナタなかなかにウザッたいのね。知ってたけど』
「え?い、いや、もうこの際気にしないでおこう。話進まないし・・・・・・。んで、だ。オマエに一つ、聞きたいことがある。それは――――――」
『知ってるわよ。手伝えってんでしょ、アンタの仕事を』
俺の言葉を遮るように、キューブが震えた。なんだ、何故知ってるんだ?
『分かるわよ。アタシを誰だと思っているの?と、言いたいところだけど。残念ながらそれは関係ないわね。なんで知ってるかって?そんなのは単純明快。ずっと“視ていた”からよ』
「・・・・・・ずっと俺が所持していたから、ってことか」
『まあ、その通りね。そして、アタシの返答は“ノー”よ。残念でした。この世全てが主人公の味方になってくれるとは思わないことね』
まあ、想定はしていた。俺だって、別に全部がうまくいくとは思ってなかったし、思うつもりもない。俺は比較的楽観主義だから、確かにいいほうにいくってのを想像してたけど、まあそうだよな。
だからこそ。ここからだ。ここから俺の――――――
『――――――説得パートが始まるって?どうせアナタはいつも通り、こういうときは言葉でなんとかしようとするんでしょ?止めてよ、そんなの望んじゃいないわ』
「・・・・・・ホント、よく視てたんだな」
そこまで読まれてるとは、本当によく視ている。怖いくらいだ。
でも、でもだ。
どれだけ俺の行動を視続けようが、監視して観察しようが。それはすべて、俺が選択した『結果』だ。結局は、そこしか視ていない。視れていない。
「オマエは知らねぇよな。俺がいったい、どういう考えの元で行動してきたか。わかるわけがねえよな。オマエが見てきたのは、俺の表面だけだって。こうなった場合、俺がどういう行動をとるか、今までの結果を当てはめて想像することしか出来ねえよな」
一歩。踏み出す。わずかに、キューブに近付く。
しかし、俺の歩みを止めさせる。
『わからないわよ。アタシはアナタのことなんて、なにも理解できていないんだから。そして、アナタも知らないでしょう?』
キューブを中心に。黒い影が、霧が漂う。それは次第に形状を整えていき、槍のように鋭く尖った、鋭利な刃物となった。
『知らなかったでしょう?アナタが今まで、聖剣エクスカリバー、エクスに守られていたなんて。意識的にしろ無意識的にしろ、相反する闇の力を押さえ込んでいたことを。そのおかげで、今までアタシを縛っていたアナタの命を奪う機会を見出せなかったことを』
『知らなかったでしょう?エクスが消えてからのここしばらく、アタシが虎視眈々と、アナタと二人きりになれる機会をずっと窺っていたことを』
鈍くきらめく漆黒の刃を増やしながら、キューブは、レーヴァテインはなおも呻く。
『知らなかったでしょう?アナタは丸腰アタシは万全。今すぐにでも、アナタを殺せるってことを――――――』
「――――――どっせーい!!!」
蹴り飛ばした。キューブ本体を。
遠くに飛んでいくキューブに引き摺られるように、漆黒の刃も遠くに離れ、自然と霧散した。
『・・・・・・あれ?』
さらに駆け、キューブが地面に落ちる前に足を滑り込ませた俺は、高笑いしながらレーヴァテインを蹴り上げる。
「はははははははっ!分かったか小娘!これが力だ、これが俺だぁ!テメェがどれだけ思考を巡らせようが策を弄そうが!本体がキューブ状に封じられてちゃあこのザマよ!」
『ちょっ、まっ!』
上空へ飛び上がり、万有引力に従って落下を始めるキューブに向かって魔法を行使する。
空を飛ぶ方法を考えている過程で作った、単発的な魔法。というか、もっと単純な手遊び。
【加速装置】指定した箇所に、魔力を放出する門を開き、そこから自身の魔力を放出させる。【狙撃】のときに使ったのはこの魔法だ。欠点といえば、そのとき俺が作り出せた魔力の最大値が限界出力になるってところで、現時点の俺の力では、せいぜい一発、人の身体を衝撃を与える程度の出力しか出せない。
が、しかし。
「手のひらサイズのキューブ飛ばすなんて訳ねぇんだよ!ははははは!」
『ちょっ!高い、高い高い怖いぃいいいいい!!!』
ボンボンと魔力を放出して、キューブを一定以上の高さから落とさないように気をつけながら、吹き飛ばさないように気をつけながら、高く低く弄ぶ。
『怖い怖い怖いホントに怖い!ごめんなさいごめんなさいアタシが悪かったわよ!謝るから、協力するから下ろしてぇえええええ~!!!』
こうして俺は、正式に魔剣を手に入れる事となった。なーんか、重いなー。
魔王「さて。久しぶりに戻ってきたわけだが、今回のゲストは誰なんだ?」
村長「そうですね。では、早速紹介しましょうか。どうぞ~」
皇帝「神は帰ってきた!」
魔王「そうか。ゴミはあるべきところへ帰れ」
皇帝「なんでよ!」
村長「・・・・・・あのー、アリサさん。アリサさんは今回のゲストじゃないですよね?どうして来たんですか?」
皇帝「え!?ニーナもそっち側なの?」
魔王「分かったら帰りやがれバカ。テメェなんてお呼びじゃねえんだよ」
皇帝「収録終わったら覚えてなさいよ。休憩室で血祭りに上げてあげるわ」
魔王「・・・・・・よし。バカは失せたな」
村長「あの~、ケンカはダメですよ?」
魔王「分かってる。今日は休憩スペースにはいかねえよ。んで、本当のゲストはこっちだろ?」
村長「そ、そうです!本当のゲストはこの方です!」
医者「・・・・・・この医者という表記。なんとかならないのかね」
村長「えーっと・・・・・・科学都市ナーガの病院に勤務している、リュージさんの命の恩人でもある、ミーシャ・ワシリーさんです!」
医者「ふむ。よろしく」
魔王「まあ、なんだ。仕方ねえよ。いいじゃねえか、医者って。カッコいいじゃねえか高収入の象徴だぜ?」
医者「ふむ。いや、なんていうか、キミに慰められるとは思わなかった。意外に気遣いが出来るのだな、シエン君は」
村長「・・・・・・あの」
医者「ニーナ君、だったかな?始めましてだね。私が、医者のミーシャだ。ちゃんと対面するのは初めてだな」
村長「そうですね。ここ、打ち合わせとかあまりしないですし。スタッフさん雑ですし」
魔王「スタッフっていうか、原作者の1人しかいないけどな」
村長「そういうものですしね」
医者「ところで、今回はいったいなにをするんだい?」
村長「えぇと、それが・・・」
魔王「なにも決まってないぞ」
村長「あぁ!なんで言っちゃうんですか!」
魔王「いや、別に隠すことでもないだろう」
医者「そうだぞニーナ君。無理して私に気を使う必要もない」
魔王「というか、サクサク進めないとな。いい加減、このあとがきで時間をかけ過ぎてる」
医者「そうだな。本文のほうは一週間前に出来ているのに、あとがきが終わらずにここまで延びているというのが現状なのだから、こんなところで時間をかけるべきではないだろう?」
魔王「そうだな。というわけで今回は、作者の近況についての話題にしよう」
● 高校最後の文化祭が終了した件
村長「へー。文化祭があったんですかー。楽しかったんでしょうね、高校最大のイベントみたいなものですし」
魔王「あぁ。まあ、楽しかったみたいだぞ?やっている間はな」
医者「ふむ。というと?」
魔王「終わった直後の寂しさが半端じゃなかったらしい」
村長「あぁ・・・」
魔王「遊びと仕事に力を入れすぎてナンパをする時間もないし、直後に予定していた打ち上げは原因不明の延期に持ち込まれるし良く見たらカップルいっぱいだし自分は男と一緒だしこれからのイベントっていったら受験だし人生は長いし彼女欲しいしで、色々とブルーだったらしい」
村長「・・・」
医者「まあ、分からなくもないがね。そういう感情は」
魔王「しかし、あれだな。そのナンパを犠牲にした働きっぷりのおかげか、仕事のほうは上々の結果だったらしいな」
村長「文芸部、でしたっけ?部で作った作品集が完売したとか」
魔王「まあ、売り方はナンパっぽかったけどな」
医者「元来人見知りの激しい作者は、あえて馴れ馴れしく接することで緊張を打ち消そうとしているらしい。だから、過去にスタッフとして受験生と会話したときも、ナンパ禁止令がわざわざ発令されたりするのだ」
村長「ははは。でも、分からないでもないですね、そういうの。緊張したときとか、一周回って人格を変えちゃったりするの。私もたまにありますし、そういうの」
魔王「あぁ。なんか、真面目なときとかな」
村長「止めてくださいよ!思い出すと恥ずかしいんですからぁ!」
医者「まあ、新たなキャラを上書きする、というのも、精神安定法の一つだしね。自分の行動を、他人の行動と思い込むようなものだろう」
魔王「ふーん。緊張するやつって大変だな」
村長「シエンさんは、もうすこし緊張感を持ってくださいよ・・・」
魔王「今回はここまでだな」
医者「そうだな。いい加減に終わらせないと、いつまでたっても更新できん」
村長「ま、まあ、今回は仕方がないですね。それでは皆さん。また次回!」




