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第三十六話:俺の趣味はナースじゃねえ


魔王「全然バトルに入らなかったな。なあおい、どう思うよ」

??「え、えぇ・・・と・・・・・・は、はうぅううう」

魔王「あー、おい。大丈夫かよ。そんなに緊張することないぞ。ほら、深呼吸だ」

??「ひぅっ!は、はい!・・・・・・あ、あれ?深呼吸ってどうやるんでしたっけ?」

魔王「・・・はぁ。ダメだこりゃ。じゃあとりあえず、後書きへ続く!」


 

 お医者様から直々に、『命を懸けろ』と言われてしまった俺、リュージこと折坂竜司は現在、懸命にリハビリに取り組んでおります。

 あぁ別に、リハビリが殺人的すぎて命の保障ができませんってオチではないですよ。

 なーんて、どこに向けてかわからない説明をしつつ、俺は身体を動かしていた。とりあえず、感覚を取り戻さないとなー。なんて思っていても、やっぱりそこは病み上がり。筋肉も抜けちゃってるしでさあ大変。エクスもいなくなっちゃったしなー。


 ・・・・・・・・・一応言っておくけど。エクスがいないって話を聞いたのは一週間ほど前ですからね?別に、ついさっき知ったわけじゃないですからね。なんなら俺、その事実を知った直後は、なにも出来ないくらいに傷悴してました。


 というわけで。ここからは回想シーン。前回俺が、ミーシャさんに命を燃やせ!じゃねえや、命を懸けろって言われたところから。


 ◆


「命・・・・・・って、え、なに?俺、危険な手術とかされるんですか?」

 嫌だ手術コワい、とか思っていると、ミーシャさんはイヤイヤと首を振る。

「そうじゃないよ。キミには少し、手伝ってもらいたいことがあるんだ。あぁ、もちろん。その怪我が完治してからで構わない。といっても、もうほとんど治っているがね」

「え?いや、だって、ほら。俺の身体、全然動きませんけど?」

「そりゃそうさ。動かれたら困るから、固定しているわけだし。まあ、筋力やらは、当然リハビリが必要だがね。キミの身体、いったいどういう仕組みなんだい?回復力というか、自然治癒力が高いというか・・・・・・」

「えーと・・・・・・?」

 ミーシャさんの言葉は、どこか要領を得ない。ようするに、俺の身体やべーってことか?やべーって、本来マイナスの言葉なんだけどね。うん、今はどうでもいいか。

「まあ、なんだ。簡単に言えば、身体のコンディションをベストな状態に保つ能力が高い、というのかな?」

 なにそれどこの吸血鬼。俺も金髪幼女に噛み付かれたい。噛み付く際にわざわざ正面から抱きつくあたり、何らかの意図を感じてとりあえずうらやましい。金髪幼女、金髪幼女~――――――――――――。


 ―――――――――金髪幼女?


「―――――――――金髪幼女ッ!!!」

 思わず叫んでしまった俺を見て、ミーシャさんは何故か、絶望した表情を見せる。

「す、すまない。専門ではないにしてもそれなりに脳医学にも精通した私でも、もう手遅れだったのかもしれない。・・・・・・いや、先ほどの話を参考に考察すると、つまり今のキミの脳がベストコンディションというわけか・・・・・・・・・!?」

 まさに戦慄といった表情を見せるミーシャさんだが、いや今はそれどころじゃない。

 どうして忘れていた、何故気にならなかった。身体の一部、いや半身を失ったかのような、この絶対的な喪失感・・・が!

 俺が急に黙り込んだことで、いよいよ本気で心配になりだした様子のミーシャさんは、探るように声を掛ける。

「え、えーと・・・・・・大丈夫かい?」

「大丈夫じゃないです!」

 身体が動くのなら、おそらくミーシャさんの肩を思い切り掴んでいただろう。

「アイツは、アイツはどこですか!?」

 俺の剣幕に思わずビクリとしながらも、ミーシャさんはなんとか、搾り出すように返事をする。

「リュージ君。その・・・・・・アイツとは?」

 その言葉に、俺は。信じたくない出来事の確認のために。神経が麻酔に支配されているのとは別に、俺の中から確実に今、失われてしまっているものを、正確に認識するために。あってはならない現実を受け入れるために。

 ・・・・・・俺は。


「エクスは・・・・・・・・・エクスは、どこにいますか?」


 俺の問いに。ミーシャさんは、驚きながらも不思議そうに。


「すまないがリュージ君。・・・・・・その、エクスというのは、いったい誰のことだ?そんな子は、今うちにいないぞ?」


 瞬間。目の前が真っ暗になった。


 ◆


「・・・・・・つまり、エクスはいなくなった、と」

 俺の静かな確認に、リリアも比例して、静かに返す。

「えぇ。誰も、彼女がいなくなった瞬間を見ていません。そのとき、私たち三人は一緒に行動していましたから」

「それでやっぱり、あの一連の事件には、魔人が絡んでいた、と」

 予想通りだった。というか、それ以外は考えられなかったし。

「エクスは、魔人に攫われたか、もしくは何らかの干渉があって動けない状態にある」

「はい。リュージの言うことが正しいのであれば、彼女が果てたという可能性は否定できます」

 そう。エクスは、少なくとも死んではいない。生きている。

 どうして、と問われても、上手く答えられる自信はないが。

 それでも、無理矢理に答えるとしたら。“感じる”と言えばいいのか。

 俺が感じた喪失感は、つまりエクスとの繋がり自体が消えたわけではない。ただ、極端に弱まっているのだ。おそらく、エクス自身の力が。

 ただ、たしかに今は、わずかではあるがまだ、感じている。エクスは、確実に生きている。

 だから俺は、確信を持って告げる。

「あぁ。エクスは大丈夫だ。弱ってはいるみたいだが」

 俺の言葉に、リリアは落ち着いた表情を崩すことはなかった。

「わかりました。リュージ、まずは貴方の回復を待ちます。その間、貴方は大人しくしつつ、エクスの様子を探ってもらいたいのです」

「探るって・・・・・・どうすればいいんだ?」

 探索魔法的な?そんなの持ってませんけど・・・・・・作るの?

「貴方とエクスは、心で会話が出来るのでしょう?」

 ・・・・・・あぁ、そういえば。道理で寂しいと思ったら。そうか、俺はエクスに飢えていたのか。

 しかし・・・・・・あれ?一向に繋がらないぞ。電波が弱いのか、まあここ病院だからなー。

 いやいや、なに納得しようとしてるんだよ。諦めるなよ、通信障害とか適当な言い訳をするなよ俺。

「むむむ・・・・・・」

 言ってはみたが、うーん。マジで繋がらない。

 どうしましょうか、と表情で尋ねると、リリアは溜め息を吐く。

「そんなにすぐ結果が出るとは思っていませんよ。気にする程度で構いません。貴方の感覚で言えば・・・・・・そうですね。メールが来ていないか携帯をチラチラと確認する、みたいな感じです」

 それ、結構忙しそうですけど。そんなんだから、携帯依存症とかが、世間で騒がれるんだろうな。どっちでもいいだろうが。偉い人には、それがわからんのです。スマホ依存症とか、テレビが日本に出現したころに全員で寄ってたかって見まくったのと同じ現象だろうが。いちいち難癖付けてくるんじゃねえよ。まあ、俺はそんなにスマホ使わないからいいけどよ。電話とメールと、たまにネットくらいだったか。

「気にはしておくよ。いつ繋がるかわからないし。アンテナとか立てばいいんだけどさ」

 言うと、リリアは微笑を返す。

「お願いします。といっても、貴方はまず、自分の身体を治す方が先ですけど」

「あぁ・・・・・・リハビリとか、メンドクセェなぁ」

 呟くと、互いに笑いが漏れたのだった。


 ◆


 こちらでも、やれることをやっておく。といって、リリアは病室を後にした。

 その後しばらくして、サタラとシエンが見舞いに来た。

 二人とは、本当に他愛のない会話をした。この町のなにそれがウマイとか、どこそこが凄いとか。

 サタラによる子供のような(事実年下だが)、擬音やらを混ぜながらの説明だったのでイマイチわからなかったが、とりあえず凄いのは伝わった。身体全部を使ったジェスチャーを織り交ぜながらの説明に、自由になった両腕を使ったジェスチャーで応戦する。そして、それを見つめるシエンの瞳が妙に温かくて、ロリコンかコイツ、という疑惑が一瞬生まれたが、よく見ると違う。

 どこか、小さな子供を見つめるような、我が子を見守るような温かみがあった。おぉ、お前にそんな優しい親心があったとは。意外だぜ。

「そういえばさ、フィールがずっと気にしてるぜ?操られていたとはいえ、オマエを殺しかけちまったことをさ。オレも同じだったからさ、アイツはそんなこと気にしねえって言ったんだけどよ。ほら、ああいう性格だからよー」

「いや、ああいう性格って・・・・・・なにいつの間に仲良くなってんだよ。俺のが先に知り合ったのに。別にいいけどよ」

 しかしまあ、なんとなく想像はつくな。俺の中に残っている僅かな記憶の中の【フィール・パーチカル】は、確かにそういうヤツだった。気がする。

 あー、と俺が天井を見上げながら思い出していると、少し後ろに下がっていたシエンが口を開く。

「まあ、気にすることもないだろう。そういう時は、勇者様がなんとかしてくれるさ」

「いや、あの。肩書きに依存しすぎでは?」

 と言ってみたものの、確かにこれは、俺とフィールの問題だ。俺がなんとかフォローするべきだろう。

 はぁー。と溜め息を吐き、頭をボリボリと掻く。

「まあ、しょうがねえか。わかったよ、俺が話してみるよ」

 答えると、シエンはニヤリと笑う。

「ふははっ。頼もしいなぁ、勇者様?なあサタラ」

「あぁ。リュージは頼もしいぞ。ヘタレだけどな、ヤるときゃヤるやつだぜ」

 呼応して笑うサタラに。俺もニヤけてと返す。

「あぁ。任せろ」


 こうして、俺とフィールの、第二回戦が始まる。


 ◆


「やはり、最後に一度、ちゃんと言わせてほしい。申し訳なかった」

 神妙な顔で頭を下げるフィールに対し、ここで無下にしても平行線になるだけだし、それにこれは彼女の真剣な想いだ。だから俺は、しっかりと正面を向いて答える。

「あぁ、わかった。許すよ」


 たった数行で終わってしまった俺たちの戦いだが。実は数ページ程度に渡る話があったということを、ここに明言しておこう。基本的には『まあまあ』『いやいや』みたいな譲り合いだった気がするが。


 で。一区切りついたところで、今度は俺のターン。しっかりと、伝えるべき点は伝えなければ。

「あーっと、その、なんだ」

「あぁ、なにも言わなくていい」

 俺の言葉を、しかしフィールが遮る。その瞳には、強い意志が宿っていた。

「ワタシは、キミを恨むなんて愚かな感情は抱いていない。また、かの魔人とやらにもな。すべては、ワタシ自身の弱さが招いた結果だ。反省こそすれ、恨み憎しむなど以ての外だよ。というかそもそも、キミにはまったく原因がないではないか。原因は、魔人の魔法の後遺症。キミには何の責任もない。なのに、何故気にする?たとえ魔法が使えなくとも、別に生きていけないわけでもあるまい。世の中、100パーセント全員が魔法を扱えるわけではないからな。どころか、魔力を持たずに生まれる人だっているのだ。別段、この世界で不便があるわけでもないだろう」

 と、言いはするが、やはりその表情は、どこか寂しそうだ。

 がしかし。彼女自身がそう言うのだ。俺からは、これ以上は何も言ってはいけないのだろう。気にするも、罪悪感を抱くことも、結局は俺のエゴ、感情の押し付けにしかならないのだ。

 だから俺は、大人しく頷くしかないのだ。

「わかった」

「うむ」

 頷き、二人で笑いあう。よし、このままで行こう。この穏やかな空気のまま・・・・・・。

「ところで、どうしてナースの格好をしているんだ?」

 核心を突かんばかりの俺の問いに、しかしフィールはキョトンと返す。

「ふむ?いや、これはだな。ミーシャ女医がキミのためにと。なにやら、治療の一環らしいぞ。とにかく元気が出る、と言っていたな」

 あのクソ医者・・・・・・!元気になるって、そういうことかよ!あぁ確かに元気出ましたけど!でもアンタの思惑通りとかじゃないからな!これはあれだ、別のミーシャさんの策が無くても反応していたわけで別にアンタの作戦が成功したとかじゃ・・・・・・・・・。

 何を言っているんだ、俺は。全部あの人のせいにしとけばいいじゃないか。

「・・・・・・なに考えてんだ、俺は・・・・・・」

 思わず涙が出てきてしまった。とりあえず、これだけは言っておこうか。

 ありがとう、ミーシャさん。アンタ、よくわかってるよ。

 これから俺は、ミーシャさんのことを、【名医】として仰ぐことに決めた。


 ◆


「では、話を戻しても構わないかな」

 フィールが出て行くと、どうやら外で待っていたらしい【名医】ミーシャさんが交代で入ってきた。

「いやその前に、さっきのはいったいなんだったんですか」

 問うと、ミーシャさんはムフンと胸を張る。お、おぉ・・・・・・結構ご立派でございますね。

「キミを元気にしてやろうと思ってな。心身ともに」

「・・・・・・えぇ、まあ事実元気になっちゃいましたけど。けど何故にナース?俺、別にナースコスが好きなわけじゃないですが。いやまあ、嫌いじゃないけど」

「ここは病院だぞ?ナースがいても変なことはあるまい。というか、あれは一応、ちゃんとした正装であって、決してコスプレなんかじゃないぞ」

「ナースじゃないヤツがナースの格好をしたら、そりゃもうコスプレだ」

 ちなみに、メイドの魂を持たないメイドもコスプレである。

「ていうか、ミーシャさんが着ればよかったじゃないですか。なんでフィールに?」

 俺の疑問にミーシャさんは、白衣をバサッと広げて答える。

「私は医者だぞ?ナースの格好をするわけにはいかないだろう。いわばコレが、この白衣こそが、医者たる私の正装だ」

「はあ、正装ですか」

 学生の制服、みたいなものかな。

「あぁ。そしてコレは、医者である私の誇りでもある。誇りで正装。だから私は、どこへ行くにも白衣を羽織るぞ。買い物も旅行も、結婚式も葬式もな」

「いや、そこはちゃんとした正装をしろ」

 TPOは守ってくださいよ。

 本日何度目かわからない溜め息を吐く。

「それで。いったいどういう意味だったんですか?あの『命を懸けろ』っつーのは」

「ふむ?失敗すれば死ぬ覚悟で、物事に打ち込むという意味だが」

「言葉の意味を聞いたんじゃねえよ!内容を聞いてるんだよ!結局、契約書も詳しく見せてもらってないですし」

「あぁ、あれか。あれは、遊びで作ったものだよ。適当にそれっぽく、カタターっと打ち込んでね」

「そりゃまた手が込んでますね。もういいから内容を教えてくださいよ」

 話が進まないから。

「あぁ、じゃあそうだな。いい加減、話を始めようか。時間も無いしな」

 言って、ミーシャさんは白衣の中に手を突っ込み、一枚の写真を取り出した。

「・・・・・・写真もあるのかよ、この町には」

「おや?知っているのか。まあ、これは外部輸出もしている技術だからな。知っていても不思議ではないか」

 ミーシャさんは、その写真を俺に差し出す。

 受け取って、見る。そこに移っていたのは―――――――――。

「―――――――――ドラゴン?」

 それも複数。写真に写っているだけでも十数体、しかも強そうだ。

「ミーシャさん、これは?」

「あー、そうだな。まあなんだ。わかりやすく言えば、今度の対戦相手だよ」

「は?対戦?」

 なんのこっちゃ。

「ここに写っているドラゴンたちはな、この町のすぐ近くにある山岳からやってくる。そして、ここらを一通り荒らして帰るんだ。どうやら、彼らにとってはストレス発散というか、スポーツのようなものみたいだ。だからこそ、こちらも全力で相手をしてやらねばならない」

 要するに、人類VSドラゴンの戦争ってことか。なにそれ映画みてぇ。ハリウッドで一本取れるんじゃね?

「つまり、それに俺が駆り出されるっつーことですか」

 俺の言葉にミーシャさんは、満足げな表情を見せつつも、付け加える。

「正確には、キミたち全員だよ。リュージ君、リリア君にサタラ君、シエン君と・・・・・・フィール君だ」

「へー。・・・・・・へ?フィールもですか?」

 だって、アイツは魔法が使えないし・・・・・・。という俺の疑問は簡単に予想できたようで。

「まあその疑問ももっともだろう。私としても、病み上がりのキミたちをいきなり投入するということには、かなりの抵抗を覚えているよ。リリア君たちの承諾がなければ、絶対にありえないことだ」

「リリアが?ていうか、どうして俺たちが参加するんですか?」

 問うと、ミーシャさんは苦笑いを浮かべながら、言った。


「キミたち、治療費が圧倒的に足りないんだよ」


 あぁ、そういえば。俺たち、確かに金欠でしたね。大会で得た賞金も、そのほとんどを使い果たし、ただでさえ金欠だったのに、死の淵から生還するような治療を施されたんだ。五人分の宿代も出せないくらいに金のなかった俺たちに、そんなもの払えるわけがない。

 命を救った代金は、命で払え。というわけか。

「・・・・・・わかりました。やりましょう」

「本当にいいのか?別に、断ることも出来るんだぞ?まあ、その場合は別の仕事をしてもらうことになるが・・・・・・」

 心配してくれるなら、そもそも進めないでくれませんかね、楽な道を。堕ちちゃうでしょうが。

「いや、だってこの仕事なら、一発で借金が吹っ飛ぶわけでしょ?だったらやりますよ」

「・・・・・・そうか」

 納得した様子のミーシャさんは、イスから立ち上がる。

「フィール君からは、すでに了承を得ている。おそらく出撃は一週間後辺りになるだろう。さっそく明日から、リハビリに励んでくれ。今は、しっかりと休みたまえ。それがキミの仕事だ」

 そういって、病室を後にした。


 1人になった病室は、先ほどまでとは比べ物にならないくらいに静かだった。

 窓から見える大木の枝にとまる小鳥がピッピーと鳴く姿をボケッと見つめつつ、そういえば本当の1人というのは久しぶりだな、と思った。

 以前は、どれだけ物理的な距離が離れていても、どこか、すぐ近くにエクスがいるように感じていた。

 暇な時は、よくくだらない冗談を言い合った。

 ・・・・・・アイツ、今頃はどうしているのだろうか。


『うん、ボクかい?ボクは今、空を眺めているけれど?』


 ・・・・・・ちょっとセンチメンタルになっていた俺が、アホみたいじゃないか。

 脳内、というか心に響いた懐かしい声に、俺は嘆息しつつ、呟く。

「―――――――――そいつは良かった」


 本当に、元気なようで良かった。



魔王「つーわけで、また俺だ。このブースは、いつ来ても新鮮でいいな」

??「あ、あの・・・、だからって壁に張り付くのはどうかと・・・」

魔王「え?悪い、なんだって?」

??「あ、いえ!すいません私が悪かったです!そういう文化もあるかもしれませんし」

魔王「なあおいニーナ君よ。いい加減、緊張を解いたらどうだ。まあ、初めての後書きブースを、いきなり初対面の人間とってーのは、かなり酷なことだとは思うがよ」

村長「へふっ!す、すいません!緊張しないように努力します!」

魔王「へふっ、て。どんな声だよ」


魔王「というわけで、シエンだ。よろしく」

村長「ニーナです!本日はお招きいただいてありがとうございます!不束者ですが、精一杯努力させていただきます!」

魔王「・・・もうそれでいいや。忘れている人もいるかもしれないから一応言っておくが、ニーナ君はな、リュージ達が訪れて、かなりの時間滞在していた村の村長をしていた幼女だ。わかったか、画面の向こうの忘れん坊」

村長「いえ、あの・・・私、印象が薄いんで、忘れられても仕方がないといいますか・・・」

魔王「いやあのニーナ君。キミのそれに付き合っていると終わらなさそうだから、とりあえずコッチ進めようぜ。話なら、あとで俺が聞いてやるから。マ○クでいいか?」

村長「やめましょうよそういうの。どこまで許されるか、今の世間って微妙なんですから」

魔王「お、おう・・・。幼女から、世の中について教えられるとは思わなかったぞ」


魔王「で、本日最初のお題はだな・・・」


 ● 絶食系男子は流行るか否か


魔王「・・・なーに考えてんだ、アイツ(作者)は」

村長「あ、あの・・・絶食系ってなんですか?肉食、草食系男子なら、聞いたことがありますが」

魔王「あー、世間にはな、その二つ以外にも、男も女もいける雑食系、外面は草食、中身は肉食のロールキャベツ系男子とか、色んなのがいるんだよ」

村長「ふへー。色々考えるんですね・・・」

魔王「あぁ、若者の考えることはよくわからん」

村長「私くらいの年齢から見ても、未知の存在ですよ、その年代って・・・」

魔王「まあ絶食系っつーのは要するに、女に興味がないみたいな、そういうヤツだ」

村長「なるほど・・・。欲がないんですね」

魔王「まあ、聖職者とかからしたら、素晴らしい精神なんだろうけどな。つーか、作者はロールキャベツだろ、モヤシ入りの。中身にモヤシ混ぜ込んであるっつーか、モヤシの周りを肉で巻いて、その上からキャベツをー、みたいな」

村長「なんか・・・残念ですね、人として。料理としてはおいしそうですけど」

魔王「まあ、絶食系なんつーのは、得てしてだいたい、ピュアな男子とかが言い訳のために創り出したようなもんだろうしな。別に、流行る廃るとかはねえんじゃねえか?」

村長「そ、そうですね。そういうのって結局、その人次第ですし」

魔王「そうそう。外側があんな感じのリュージでも、中身は新鮮モヤシだからな。そういうのに惹かれるヤツもいるんだろうよ。ほら、ここにも」

村長「な、なんで私を指差すんですか!///」


魔王「つーことで、今回はここまでだ」

村長「えっと、次回も私たち、なんですよね?」

魔王「あぁ。さすがに、次は緊張しないでくれよ?」

村長「は、はひっ!全力で、緊張しないように努力します!」

魔王「・・・はあ。これはこの後、全力で特訓だな。とにかく、コレで終わり。次回をお楽しみに」

村長「で、では!皆さん、また次回です!」

魔王「では、さらばだ。また会おう」

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