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第二十七話:魔法は数学 料理は家庭科 若干化学も入ってる


最近、物語を少しずつ出してますが、別にサボってるわけじゃないですよ

「おいおい・・・・・・。なんかデケー火柱が上がってるから急いで戻ってきてみれば・・・。なにがあったんだ?」

戻ってきたサタラがぼやく目の前で、俺はライター的な魔法道具を使って火を起こしていた。ぶっちゃけ本当に、普通のライターである。

違いが良く分からん。つーか、こっちの世界でもライターって呼称だから、別に気にする必要もないわけなんだが・・・・・・。なんだろう、このあたりは一応、しっかりと明記しておかないといけない気がするので、しつこいようだがもう一度だけ言おう。

ライターっていう呼称の、魔法道具です。一つ90チャルである。

「リュージが火をつけようとして魔法を使ったところ、魔力量の調整を誤って火力を出しすぎてしまい、森が火事になる寸前だったんです」

「おー。そりゃマジなほうで危なかったな。つーか、あれ?リリア起こってるな」

「当然ですよ。失敗を責めるつもりはありませんが、成功度が不確定な魔法を使う場所は選んでほしいですから」

「まあ確かに、リリアのいうことはもっともだな。慣れない魔法を、しかも火属性を森の中で使うのはマズイわな。うん、リリアは怒って正解だ」

うっはーボロクソだなー俺。まあ、全くその通りなので、なんの反論もしませんが。何も言えないし。

反省だな、反省。反省の意を示すために、せっせと薪を集めましょうか。火の管理はとても大切なのだよ。

ついさっき、再確認した。

「うんうん。反省することはいいことだよ、リュージ君」

「うおっ!?」

いつの間にか背後に立っていたエクスの存在に、全く気付くことができなかった。

忍びの人間か?

「あぁ、そうそう。とりあえず報告するけど、あっちのほうは特に異常なしだよ」

そうだった。みんな、周囲の安全確認に行っていたんだったか。完全に忘れてたな。

「オレのほうも、異常なしだな」

「私のほうも、目立った問題はありませんでした」

おぉ。みんなちゃんと仕事してきたんですね。完遂したうえで、俺の様子を見るために急いで戻ってきたわけですか。

なんか申し訳ないな。

よし。ここはみんなの働きをしっかり労ってやらないとな。

「うむ。ごくろう」

「なんでだよ」

サタラから、蹴りのツッコミを食らった。ゴメン、咄嗟に出てきたのがこれだったんだよ。

と、俺を蹴り飛ばしたサタラが、じーっと俺を見つめてきた。

え、なに?

「な、なんだよサタラ。俺は別に、蹴り飛ばされて悶えたりはしないぞ」

「そんなんじゃねえよ!」

怒鳴ったサタラは、はぁ、と溜め息を吐き、頭を掻きながら。

「いや、なんつーかな。別に悪口とかじゃなくてよ。たぶんお前、火属性向いてねえよ」

うぇ?火属性向いてないって?そもそも魔法が向いてない気がするんですが。

という旨を伝えると、横で聞いていたリリアが会話に参加してきた。

「それは慣れです。リュージは魔法に触れて、まだ日が浅いですし、使用頻度も低いですから。でも確かに、属性の向き不向きはあると思いますよ。それに関しては、潜在的なものですから」

それって、俺みたいな異世界の人間はどうなるんですかね。適応されるんですか?

「そりゃそうさ。だってキミは現に魔法が使えているんだから」

「・・・・・・どゆこと?」

エクスの説明がよく分からなかったので聞き返すと、どうやらエクスはなにやら呆れながら、分かりやすく説明し直してくれた。

「えーと、つまり簡単に言うとね。キミの身体の構造、もっと言えばキミの世界の人間の身体の構造と、こっちの世界の人間の構造は一緒なんだよ。だから、魔法を使うのには、なにか特別な器官が必要なわけではない。だからリュージ君でも使えるわけだけど。キミの世界には魔法の概念が存在しないだけで、こっちの世界にはキミの世界の概念が存在しないだけで、ベースにおいては全て同じなんだ。そして、こちらの世界の人間に、生まれながらに得意不得意の属性が存在するように、キミの世界の人間にもあるんだよ、向き不向きが。キミの世界のことで例えるなら・・・・・・そうだな。極端な例えだけど、数学が得意な人がいれば、国語が得意な人もいるだろう?それが、こちらの世界では、火が得意な人、風が得意な人って感じかな?キミの世界で、数学も国語も得意な人がいれば、こちらの世界では火と風が得意な複合属性、みたいなね」

ふーん。まあ、なんとなくだけど、わかった。うん、とりあえず理解した。

「んで?その向き不向きで俺が火属性に向いてないってぇのは、まあ分かったけどよ。んじゃあ俺は一体、何属性なんだ?」

火ってかっこいいんだけどな。まあ、今までも使えてたし、別に向いてないからって使えないわけじゃないんだろうけど。

俺の疑問に、しかしサタラは首を傾げてしまった。おい。

「いやー、なんだろうな。なんか、お前が火属性使ってるときに違和感を感じたってだけで、オレには何が向いてるとかわかんねえし」

あぁ、そうですか。じゃあいいよ別に。火属性使えないってわけでもないし。

というわけで、とりあえず一段落ついたところで、なんか色々と抱えながらのシエンが帰ってきた。

「やっほー。大猟だぜ」

ふーん。そのデロデロしたなにかも、大猟の内に入ってるんですかね。

「お、火もちゃんと焚いてんじゃん。よーし。んじゃあ今日は、もう飯にするか?」

「ん、そうだな。もう日も傾いてるし・・・・・・。リリア、どうする?」

「そうですね。じゃあ、下準備から始めましょうか」

リリアとサタラが、シエンから食材を受け取り。

「じゃあリュージ君。キミはボクと一緒に、洞窟の中の環境を整えておこうか」

「おう」

俺とエクスは、洞窟の奥に入っていった。



「奥は結構冷えるな」

「そうだね。やっぱり暖を取りたいよね。中でも火を焚こうか」

というわけで、俺たちは再び森へ行き、枝や葉を集めてくる。

両手いっぱいに抱えて帰ってきた俺とエクスは、それを地面に置き、じゃあここが薪置き場な。と適当に決める。

「リュージ君。同じ過ちは起こさないように」

「分かってますよ。俺にはこの、ライターちゃんがいますからね。同じ愚考は犯しませんよ」

そういって俺は、ライターを使って火をつける。いやー、ホント便利だねこれ。魔力行使なしで使えるし。

「しかし、あれだな。こういうところで火を使うのは、なんか警戒するな」

「うん、なんでだい?」

いやだってさー。と俺は、火がしっかりと大きくなるまで見ながら話を続ける。

「ほら、よく聞くじゃん。一酸化炭素がどうとかさ。洞窟とかで火を焚いたら、一酸化炭素がいっぱい溜まって、気付かないうちに中毒になってたりしたら嫌じゃん」

「嫌じゃんっていうか死んでるよね、それ」

その通りである。

「確かに、一酸化炭素中毒っていうのは恐ろしいものだよ。こっちの世界じゃああまり知られてないけれど、キミの世界じゃあ結構有名なんだろう?」

「有名ってほどでもないが・・・。まあ名前くらいは聞いたことがあるな。つーかあれって、木炭とかそういう、炭系じゃないと発生しないってわけじゃないんだろ?」

「そうだね。一酸化炭素は、物が燃えていれば基本的になんでも発生するよ。でもあれは、ちゃんと換気をしていれば溜まる事はないから、洞窟で火を焚いたって、よっぽどの事がなければ大丈夫さ」

「ふーん、そういうもんか。じゃあ安心だな」

「ふふふ。でも、そうやってずっと火の近くで息をしていると、危ないかもね」

「死にたくないッ!」

全力で後ずさる。全力過ぎてコケた。背中痛ぇ・・・・・・。

「ほら。火はついたし、今度は寝床を作らないと」

「はいはい」

労わってはくれないのねー、と不貞腐れていると、サスサスと背中を撫でてくれた。

うん、満足。



完成した料理をみんなで食べながら、シエンのノリのせいで軽い(うたげ)化したみんなを眺めながら、俺とリリアはみんなから一線引いたテンションのまま、二人で休んでいた。

「劇的な料理だな」

「そうですね。調理した私たちでも・・・・・・いえ。調理した私たちだからこそ、言えることもありますしね」

「うん?それは味に関してか?」

「いえ。まあそれもないとはいいませんが。私が言いたいのは、調理したことによる変化に関することです」

「というと?」

「そうですね・・・。たとえば、リュージが今持っているそれ」

「うん?この串焼きか。ジューシーでうまいぞ。肉汁たっぷりだし旨味が半端じゃねえ」

「それ、植物ですよ」

「・・・・・・嘘だ。俺は信じないぞ。このとてつもない肉感は、本物のお肉にしか出せないということを、俺は知っている!」

「なにちょっとカッコよく言おうとしてるんですか。と、言いますか。私自身も未だに理解できていません。シエンが取ってきた、ニラに酷似した何かを、シエンが言うとおりに調理すると・・・・・・おいしそうな串焼きが完成しました」

「どんな調理をしたんだ!?」

「いえ、調理法は至極単純です。まず、葉を一口サイズにカットし、それをその他さまざまな草や野菜と一緒に、私が創造したミキサーで砕き、そこに各種調味料を投入した後、再度かき混ぜます。そして出来上がったドロドロの液体を冷やして固め、それを串に刺してから蒸し、内側にしっかりと熱が通った後は、リュージが見たとおり火に当てて焼きました」

「・・・・・・じゃあ、この滴り溢れる肉汁の滝は一体なんなの。これは一体、何汁なのさ」

「さあ?植物の粘液とかじゃないですか?」

「なんでちょっと嫌な言い方したの?」

マジかー。これ植物なんだー。なんか食欲が削がれた。まあ、勿体無いから食べはするけどさ。

しかし『自分は今、得体の知れない何かを食べている』という気持ちが先行して、あまりおいしく食べることが出来なかった。

これ、食べても身体に影響とかないよね?とても心配だ。


「ところでリュージ。魔法のほうは、なにか考えましたか?」

「いや。なーんも考えてない。別に、覚えてる魔法が使えないわけじゃないんだろ?」

「確かにそうですが・・・・・・。しかし、効率が悪いのも明らかです。運が悪ければ、最悪発動しないことも、無きにしも非ずです。まあ、そんなのは本当に小さな可能性ですが、でもそれを戦闘時に使うとなれば、話は別になる、ということは分かるでしょう?」

おっしゃる通りです。

「しかし、自分の魔法属性なんて検討もつかないぜ。そもそも、ほかにどんな種類があるかも知らないし」

火とか水とか氷とか。あとは・・・・・・雷とか?

「えぇ、たしかにそういうのもありますけど・・・・・・。基本的に、属性には決まりがありませんよ。もちろん、ポピュラーな属性には、火とか水とかの、ベースのようなものはあります。しかし魔法というのは、あくまでオリジナルの要素が強いので、自分で属性名をつける人もいます。個有の属性などもありますし」

「ふーん。固有のねー」

なんかかっこいいな。主人公っぽくて。

俺もなんか欲しいなー、そういう生まれながらの固有属性。選ばれた者的な。

とか、俺が自身の内側に眠る中学二年生の部分がビンビンに反応し始めているのを感じていると、リリアがいつも通り、アドバイスをくれた。

「まあ、ここでダウンされても困りますし、そうですね。いい加減リュージも、少し勉強を始めましょうか」

「え、勉強?魔法と勉強にどんな関係があるというのか!」

「何を言っているんですか。帝国の学校でも見たでしょう?魔法は立派な学問です」

そういえば。授業にもあった気がする。魔法科学とか魔法工学とか。

「でもさ。そういう風に学校で習うようなものが、一朝一夕で出来るのか?」

「確かに、全てを習得することは不可能でしょうね。ですからリュージには、魔法を構成する基礎を覚えてもらいます」

「・・・・・・と、いうと?」

「自分でオリジナルの魔法を構築する事ができるようになります」

「・・・・・・マジで?」

嘘だろおい。オリジナルの魔法?そんなもん使えるようになったら俺は最強じゃないか!やったぜ、ついに夢のチート無双だ!

「それは貴方次第ですよ、リュージ。魔法の効果は、組み上げる術式次第ですから。しかし、すぐに覚えるのでしたら、組み合わせの簡単なパターンまでしか教えられません。長期的にレベルを上げていきますが、基本的には自分の身体で覚えて、考えてください」

「任せろ。俺はゲームでも、取扱説明書を読まないタイプだ」

そんなわけで俺は、偉大なる大魔法使いへと一歩前進したのであった。


そんな物語ではなかったな。



きれいな満月が昇る深夜。

みんなが就寝している中、俺は一人、手の上で光る小さな魔方陣を弄っていた。

「・・・・・・」

パチパチと燃える炎に、時折新しい枝をくべながら、黙々と魔方陣を見つめる。

月と火と魔法の光を受けながら、俺は新たな術式を組み上げていく。

そんな俺の背後から、いつの間に目を覚ましたのか、エクスが声を掛けてきた。

「やあ。調子はどうだい?」

「あぁ・・・、まだまだだな」

具体的な方針も決まっていないのだ。とにかく、思いついたものを片っ端から試すしかない。

組み上げた術式を確認して、新しい術式を組み立てる。終わった術式を保存して、次の術式を。

「・・・・・・あれ?」

そんな俺の行動を見てエクスが首を傾げる。

「あん?」

「いや・・・・・・速くないかい?」

「速いって、なにがだ?」

意味が分からずに俺が追求すると、エクスはさも当然の疑問のように口にする。

「キミの術式を作る速度さ。さすがに、本職の魔法士などと比べたらというのは否めないけれど、つい数時間前に初めて術式構築機構を知ったとは思えないよ。普通の魔法使いよりは全然速いよ」

「そうなのか?全然実感がわかないが・・・・・・」

とにかく教えられたことを忠実に守って、自分で見つけた方法を駆使して、どんどん簡略化しまくってるだけなんだが・・・・・・。

と、俺が手をひたすら動かしながら小首を傾げていると、エクスは何故か溜め息を吐きながら、俺の背後に回り、手元の魔方陣を眺めて呟く。

「・・・・・・キミ、実は頭いいだろう」

何故そうなる。俺を見て、というか普段の俺の言動を知っていて、どうしてそんな結論が出るんだよ。

光る魔方陣を操作する指を止め、背後に立つエクスを見る。

「オマエ・・・・・・頭大丈夫かよ」

「そんな可哀想なものを見る目をしないで欲しいな。ボクはね、思ったことを言っただけだよ」

「そうか。そりゃ、随分と、思考がバグってやがるな」


――――――――――――あれ?どうして俺は、怒ってるんだ?


自分でも理解できない苛立ち。しかし、それがエクスに向けるべきものではないことは分かる。

俺は、胸の奥から顔を出す感情に蓋をして、気持ちを切り替えるために術式の組み立てに戻る。

「・・・・・・スマン。忘れてくれ。夜が遅くて、少し感情がおかしくなってるみたいだ」

取ってつけたような言い訳だが、しかしそれ以上の言い様がない。

俺の感情的部分と繋がりのあるエクスには、俺の怒りと同時に俺の混乱も感じ取れたようで、苦笑ながらも笑顔を浮かべてくれた。

「・・・・・・うん、分かってるよ。ボクも、ゴメンね」

・・・・・・なんか嫌な空気になっちゃったな。うーん、頭を使いすぎたか?


っと。これは、なんだ?

「悪いエクス。ちょっとこれを見てくれるか?」

俺は、自分の手の内に浮かぶ魔方陣を指差す。

その先にエクスが視線をやると、そこには、少なくとも俺には理解不能な法則が現れていた。

「これは・・・・・・」

それを見たエクスは、あれ?なんか難しい顔をしている。それも、知らないとか、分からないといった表情じゃない。なんというか、理解できないというか、自分の中で咀嚼仕切れていないというか。

「――――――エクス?」

思わず俺が声を掛けると、エクスはハッと我に帰る。

「あ、あぁ・・・・・・。ゴメンね、リュージ君。ちょっと――――――考え事をしていたよ」

考え事って顔じゃあなかった気がするが・・・・・・。まあ、あえて触れないでおこう。なんか怖いし。

「それで?結局これはなんなんだ?」

何がきっかけで何が何に変化し、どういった効果が発動するのか。虫食いにしてはたちが悪いレベルで何も分からない。

無知とは恐ろしいものである。

そういえば、人間が最も恐れるものは、圧倒的な力でも絶対的な壁でもなく、『わからない』『理解できない』『予測できない』という類の、つまり何の情報もない状態であるらしい。

まあ、情報がなければ先を予測することもできないからな。

人間、突発的な出来事に対処するときと、対策をして物事に取り組むときでは、発揮できる能力が何十倍にもなるんだとか。

とか、全く関係ないことを考えながらエクスの答えを待つが、しかしエクスは曖昧な笑顔を浮かべる。

「ゴメンね。ボクにもよく分からないや。ところでボクはもう戻らせてもらうけど、キミもそろそろ寝たほうがいいんじゃないかな。今日はもうその辺りにしておいたらどうだい?」

なにか、隠し事をされた気がする。いや、隠し事というと、少しイメージが変わってくるか。なんというべきなのか・・・・・・。

とにかく、無理やりに逸らされた話題を引き戻す暇もなく、エクスはおやすみの一言を残して、穴の中に戻ってしまった。


一人残った俺は、いつの間にか雲に覆われ、月の隠れてしまった空を見上げた。

はぁー。

俺は溜め息を1つ吐くと、エクスが帰っていった洞窟を見つめながら呟いた。

「なんつーか、モヤモヤするな」

やっぱ魔法は、肌に合わないのかもしれないな。

手の中の魔方陣を消し、自分の中に仕舞いこむ。この辺の原理は未だに理解できないが、実際に使えれば問題ない。



消えた光を、若干名残惜しく思いながら、俺は洞窟へと入っていった。

リュージ「俺も、ついに大魔導士に一歩近付いたな!」

リリア「リュージって、そんなの目指してたんですか?」

リュージ「いやー、なんかさ。せっかく魔法世界にきたのにさ、俺全然魔法使ってねーなーってずっと思ってたんだよ。物語的に、これじゃあダメだろうとずっと思ってたわけだよ」

リリア「魔法なら、私たちが使ってるじゃないですか。道中でだって、度々目にするでしょう?」

リュージ「だからさ。その道中の話がほとんど出てこないってのが問題なわけじゃん?なんかこう、要所要所っていうかさ。そういうところだけピックアップするからよ。過程の話が全然出てこないわけよ」

リリア「あぁ、確かにそうですよね。別に私たち、観光旅行をしているわけではないですしね。そういう、道中の苦労とか、ちゃんと書いてもらえると嬉しいですね」


このような会話の末、今回の話は生まれた。


エクス「この間の話、つまり前回の第二十六話のことなんだけどさ」

サタラ「うん?どうしたエクス」

エクス「いやー、ほら。前回の話ってさ。始まりから終わりまでギャグパートだったよねーって」

サタラ「あぁ、そうだなー。でもさ、この小説って、基本ギャグっていうか、とにかくシリアス以外に分類される文章じゃん。一話まるまるギャグはあっても、一話まるまるシリアスってのはねーしな」

エクス「そうそう。シリアスっていっても、要所要所っていうか、ときどき挟まってる感じではあるんだけどさ。でもそれって・・・」

サタラ「戦闘シーンのことだしな。戦闘シーンは決して完全なシリアスではないだろう。そっちに分類していいものなのか?」

エクス「戦闘シーンは、戦闘パートの分類じゃない?完全なシリアスとは言い切れないよね」

サタラ「だよな。まあ、仕方のないことなのかもしれないけどよ。オレたちの旅って、一体なんなんだろうなーって、最近思う」

エクス「おや、奇遇だね。実はボクもだよ」

サタラ「とりあえずさ。今回の話としては、いい加減ちょっとはシリアスに入って欲しいわけよ」

エクス「あぁ・・・。全部ギャグじゃなくて、せめてわずかでもシリアスを入れてみようと、そういうことかい?」

サタラ「あぁ。あとはもう、砂漠の中のオアシス効果を祈るしかねえよ」

エクス「うん?それはどういう意味だい?」

サタラ「希少だからこそ貴重ってことだよ。たくさんの不幸の中に、1つだけ幸福があると、そっちの印象のほうが強くなったりするだろう?」


このような会話の末、今回の話は生まれた。


シエン「なぁなぁ。俺もちゃんと出してくれよ?」

リュージ「うん?あぁ、じゃあちょっとだけ、な?」


このような会話の末、今回の話は生まれた。


リュージ「ふるえるたかぶる異世界バトル『転生した俺は勇者として魔法世界を救うらしいですよ?』次回もお楽しみに!」


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