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第二十六話:食い物の毒性とかは専門家に聞くこと!

はい。どうもお久しぶり?です。

今回はいつもより短いですし、物語がなにも進んでいませんが、とりあえず楽しんでいってください

で、魔王が仲間になったあとも、俺たちはしばらくウルーザの町に残ることにした。まあポケ○ンみたいに、さっさと町を後にして次の町へってのもいいんだけど。みんなで話し合った結果、もうしばらくはここでゆっくりしていこう、ということになった。

まぁ、俺たちも疲れていたし。それにあれだ。シエンとの親睦も深めておこうっていう意味もある。まあ、すぐに仲良くなれるだろうけどさ。

つーわけで、今回の話は、そんなウルーザの町で起こった、ちょっとした事件について触れてみようか。



「・・・・・・おい。おかしいだろ。なんで俺たちは今、深く生い茂った森の中を歩いてるんだ。最初のイントロなんだったんだよ」

俺が愚痴を、というか純粋な疑問をこぼしながら歩いていると、前を歩いていたサタラが後ろを振り返らずに答える。

「うるせーよ。これまでどんだけ話を引っ張ったと思ってんだ。ここからさらに日常編でも挟んでみろ。全く本編が進まねーだろうが」

「まったくですよ。散々引き伸ばしたんですから、いい加減私たちの冒険を進めないと、なんかあやふやな感じで全部なかったことにされますよ」

と、よくわからん理由でサタラに同調するリリアの台詞を聞きながら、俺は何度目かわからないため息を吐く。

「はぁ~。まあ、もうそれに関しては別にいいわ。公開されようがされまいが、俺たちの過去がなかったことにはならねーし。それよりもさ。この森いつまで続くんだよ」

飛ぶ鳥の鳴き声がドップラー効果を生み出して俺たちの耳に届く。おい、どんな速度で飛んでんだよ。高速を走り去る自動車からの声よりもすごい変化をしながら駆け抜けて行ったよ。

「まっ、森とかそういう地形系ダンジョンは、歩きまくってたらいつかクリアできるから安心しろ」

「出来ねーよ。歩きまくるって具体的にどれくらいだよ」

「あん?そーだな・・・・・・過去の事例では、半年以上ダンジョンを彷徨い続けて帰ってこなかったヤツとかが出るようなダンジョンとかあるぞ」

「なんで悲惨な事例を提示した!余計不安になるだろうが!」

俺の叫びに、しかしおや?と首を捻るシエンは、どこか納得していない風に。

「いやだって・・・・・・そういうことが過去にあったのなら、ここの地に眠るのは自分1人じゃないわけだし、まあ別に気にしなくていっかー、ってなるだろ?」

「ならねーよ!人類全てが等しくポジティブシンキングだと思ったら大間違いなんだよ能天気野郎!」

ただの諦めじゃねえかよ、それ。

そんな俺の不満を察知したのか、シエンは言葉を返す。

「まあまあ、いいじゃないか少年。ところで、今夜の食事のメニューはなんだ?」

全然察知してなかった。返さず往なしてきやがった。コイツ、話題変換が下手なんじゃなくて上手に切り替えるつもりが全くねぇんだ。

「はー・・・。今夜もメニューは・・・・・・なんだろうな。食材によるだろう」

この森の中なら、そうだな。おかしなキノコとか謎の植物とか怪しげな動物とかじゃないかな?

その料理、食えるのか?

「そうかー、食材かー。まあしかし、安心したまえ少年」

ニヤニヤと、笑顔のままに俺を振り返るシエンは、どこか自信ありげだった。

「ここ“ゲイルの森”はな。別名を“劇物食の宝庫”といってな。刺激的な食材がたくさん採れるってんで有名なのさ」

「アンタ劇物の意味知ってんの!?要するに毒物の宝庫ってことじゃねえか!四方八方が殺人道具ってことじゃねえか!」

なんだよコイツ!なんでそんな情報を自信満々に公開したの!?全く安心できねえっつーか、歩くことすら恐ろしくなったわ!

「おいおい少年よ。結論を急いじゃあいけないぜ。考えてもみたまえ。そんな毒物を主食として生きる動物たちが、この森にはウジャウジャいるということだ。そりゃ当然、危険なヤツだってたくさんいるが、一風変わった美味いやつだっているんだぜ?いやさむしろ、危険なヤツこそが美味いんだ。まあ要するに、見極めが重要ってことだ」

ふーん。なんか、分かるようなよく分からないような。

とりあえず、美味いヤツもいるってことだな。

じゃあ、あそこにいる、いかにも食べたら身体に支障をきたしそうな毒々しいカラーリングの、オオサンショウウオみたいなやつとかはどうなんだろう。

「あぁ、あれはショウモンという両生類だ。基本は毒沼と陸地を行き来し、その沼のエキスを十二分に吸い取ることで、舌が溶けるといわれるほどに柔らかな肉質を作り出す。“舌溶かし”っつー異名がつくほどにな」

『おぉー』

俺、リリア、サタラ、エクス。全員が感嘆の声を上げる。なんだよ舌溶かしって。スゲー美味そうなんだけど。

「おいスゲーな!そんな美味いなら、あれ食おうぜ!」

俺がテンションを上げて駆け寄ろうとし、皆も一様にわくわくし始めた。

そんな俺たちの姿をみたシエンは、微笑ましいものを見るような優しい表情を見せながら。


「まあ、マジで舌が溶けるんだけどな」


『食えるかぁああああああ!!!』

なんてこった。こういう場合、本来は俺とかサタラは『食えるか』。リリアは『食べられますか』。エクスは『食べられないよ』。

以上がそれぞれ括弧書きで書かれるはずなのに、今回はシエンのボケのあまりの異常性に対し、全員が全員、言葉を乱してしまったのだ。

つまり何が言いたいのかというと。


・・・・・・何が言いたいんだろうな。ごめん、わかんねえや。とりあえず、正しい言葉が全く使えなくなるほどに大変な状況だということが分かっていただければ、それだけで十分です。

「まあまあ、落ち着けよお前ら。軽い冗談だってば。ショウモンを食うには、専門の技術が必要なんだ。俺ら素人でも扱える食材を探すしかねえよ」

ああ、そう・・・。と、俺たちはもうすでに諦めの境地に達しつつあるのだが、それでもめげずに今夜の食材を探す。

「じゃあ・・・・・・あそこを歩いてる、なんか蟹みたいなヤツは?」

「あれはれっきとした蟹さ。ドロクラブという食用の甲殻類だ。その甲羅であらゆる攻撃を弾き、巨大な鋏でどんな強固な鎧も切断するという、とても危険な生物だが、その身は肉厚で濃厚と、巷じゃ高級品扱いされるほどの食品だ」

「お、それはいいな!じゃあ早速・・・」

「――――――おい、ちょっと待て」

早速蟹を捕まえようと踏み出すと同時に、シエンに肩を掴まれた。

「あ?なんだよ」

今すぐにでも蟹を食べたい俺は、若干イライラしながら振り返る。するとシエンは何故かドヤ顔をしていた。そして――――――


「―――――――――そんな装備で大丈夫か?」


「その一言で全部がダメになったわ!」

なんでわざわざフラグを立てたんだコイツは!?なんで俺を引き止めてまでその台詞を言ったんだ!つーかそれ言いたかっただけだろ!

「テメーいい加減にしろよゴラァ!この調子じゃあ今夜の飯のメニューは水と毒沼になるぞ!」

「なに、それは一大事だ!こうなったら俺自身が動くしかないな。よぅし、食材調達は俺に任せろ!今夜は・・・・・・そうだな、あの洞窟で野宿にしようか。みんなはそこと、周辺の安全確認を頼む。洞窟前に、目印に火を焚いて狼煙を上げておいてくれ!」

そう言うや否や、シエンはどこかに走り去ってしまった。速えーよ。

今度からアイツの異名は音速のシエンだな。

「・・・・・・は~。仕方がありません。確かに、彼の言っていることに間違いはありませんし、指示通りにしましょうか。ほら、行きますよ」

『・・・・・・は~い』

悔しいことにまさにその通りなので、俺たちはおとなしくリリアについていく。

洞窟に着き、内部の安全を確認する。

動物の気配もなく、近付くこともないらしい。

サタラの弁では、どうやらこの洞窟は、自然が作り出した一種の要塞ようなもので、なんでも魔法の力がどうのとかそういうなにかの力が働いているらしい。なんかほら、魔術的に守られているとか、天然の術式がどうとか、そういう感じ。

ここは特に特殊で、動物だけでなく魔物の進入も阻むとか。

「まあ正確には、進入を阻むというよりも、近付きたくないと思わせるっていう方が正しいんだ」

とのこと。

正直よくわかんねえから、どっちでもいいんだけどさ。


で、俺が洞窟の前で火を焚く当番になった。

リリア、サタラ、エクスはそれぞれ、周囲の探索に出かけた。

「さて。じゃあ火をつけますか」

ここらには、腐るほど木が落ちてるからな。薪に困ることはない。

火だって、この魔法道具があるからな。なんか、ライターみたいなの、っつーかもろライターだろ、これ。どこからどう見てもライターだろ。とか、そんな無粋なことは言わないよ、俺は。


しかーし!俺はこんなもの使わないのだ。

なぜなら俺には魔法があるから!そう、魔法があるからッ!

俺だって、こっちに来てから成長してるんだ。魔法の一つや二つ、軽~く操ってみせますよ!

「見せてやるぜぇ俺の究極魔法!ファイアタワー!」

リリアとサタラいわく、基礎中の基礎らしいです。なんでも、小さな火柱を数秒作り出すだけ、という超初歩的な魔法だ。

うん。火を焚くにはちょうどいいんじゃないかな。いいんじゃないかな!

べ、別に悔しがってねーし!


・・・・・・男のツンデレマジキメー。

「とにかく、ちゃっちゃと火を点けねぇと、アイツら迷子になっちまうからな」

というわけで、まずはそこいらの石やらを見繕い、それを円状に並べる。まあ、大きさはまちまちでいいか。

その中の落ち葉などを掻き出し、木を入れる。

とりあえず、ここで火を点けておくか。

「ふ~。・・・・・・よしっ。やるか」

普段は意識しないが、今は完全にフリーな状態なので、出来るだけ意識を集中させるために、正面に手をかざす。

俺は元来、感覚派の人間で、なにかを習得するときは頭で理解するのではなく身体で覚えてきた。

ゆえに、この魔力の操作やら生成やらの原理はいまいち、というかほぼ全く分かっていない。が、身体には叩き込まれているので、なんとなくで出来てしまう。

教師とかには向いていないのだ、元々。

「・・・・・・集中、集中。・・・魔力を作って・・・・・・それからイメージを・・・・・・」

そして、めちゃくちゃ正確にイメージを作り出し、基礎の基礎だからこそ細心の注意を払い、そして。


「――――――ファイアタワーッ!」


―――――――――軽く10メートル以上はある火柱が上がった。


「・・・・・・・・・え?」

状況が全く理解できずに、ただただ呆然と、天へと駆け上がる火柱を見上げていた。

数秒、そうしていた俺の頭は、燃え上がる炎を見ているうちに冷えた、というか正常に思考を再開し、現状と原因を分析し始めた。

現状。火、というか炎の勢いは半端じゃないが、しかしそこはファイアタワー。炎がしっかりとした指向性を持った魔法なので、辺りに燃え広がるようなことはなく、一本の柱のようにまっすぐ上へと伸びるのみであるため、森への被害はほぼ無い、はずだ。

そして、もっとも気になる原因だが・・・・・・。

おそらく、魔力を生成する際に、その分量を間違えたのか、と。

うーん、テンプレ。

あれだね。失敗しちゃあいけないと思って、ちょっと多めに作り過ぎちゃったのかな。ほら俺、まだ慣れてないから。

1人暮らしを始めたばかりで料理を作りすぎちゃったからといってお裾分けをしてくる、お隣に越して来たばかりの大学生のお姉さんとかが、よくやってくれるシチュエーション。

原因の根源は、おそらく同じようなものなんだろうなー。とか考えながら、さながらキャンプファイアーの巨大な炎を見つめる主人公張りの愁意感を漂わせていると、その火柱を目印にやってきたであろうリリアが駆けてきた。

「ちょっ、リュージ!?なにをしているんですか!無事ですか!?」

どうやら俺の身を心配してくれていたらしいことにちょっとした感動を覚えつつ、俺は振り返り、あくまで平常心で受け答える。

「お、リリア。お帰り。そっちはどうだった。なにか問題とかあったか?」

「問題なら今目の前に!というか、これって、あれですか。魔法ですよね?なんでわざわざ、不慣れな魔法なんて使ったんですか」

言いながら、こちらは手馴れた手付きで魔法を行使し、俺の炎を消すリリア。ねえ、なにその魔法。泡出てきたんだけど。消火器?

「いやー。いけるかな~と思って」

てへっ、と舌を出す。

するとリリアは、心底呆れた表情を見せる。

「全く・・・・・・。やるならもっと開けた場所でにしてください。あわや大火事になるところでしたよ」

「ははは・・・・・・。面目ない」

ホント、その点は良かったよ。あの炎を見たときは、あっ俺やっちゃったー。とか思ったもん。かなり本気で。


みんな、火の扱いには気を付けようね!


リュージ「うーん・・・・・・。久しぶりに物語が進むと思ったのになぁ」

作者「はーい、うるさいうるさい。ちょっとお黙りなさい」

リリア「その態度はどうかと思いますが・・・。まあ、なにも無いよりはマシでしょう」

エクス「まあね。今まではあれだよ。一歩も進まなかったから。ずっと引きこもってただけだからね」

シエン「そして物語が一歩でも進んだことにより、ついに俺が。物語に本格参戦したんだぜ!お前たちにとっては小さな一歩かもしれないが、俺にとっては大きな一歩である!」

サタラ「あーはいはい。大きい大きい」

シエン「あっれー!?サタラちゃんなんか冷たくなーい?」

作者「ほーらほーら、黙りなさいな愚民共。ここからは俺のターンだ」


作者「えー、皆様。大変にお久しぶりです?ですね。えー、今回はですね。えぇ本編を読んでいただいた方々はすでにお分かりでしょうが、物語としてはほぼ進展なしですね」

作者「まあ、なんといいますか。私としてはですね、なんかたまにはいいかな~って感じで。ほら、こういう話って、たいてい町々を旅してるんだけど、基本的にはその町で起こったアクシデントやらイベントやらの話になるでしょう?だから、たまには道中の話を~、と思いまして」

作者「これまでにもちょいちょい、道中の会話とか挟みはしてましたが、今回はあえて、そこに焦点を置いてみようかな。と思ったしだいです」

作者「だってほら。旅行も旅も、道中が楽しかったりするでしょう?なんの問題も起こらない、スケジュール通りの旅路とか、なんか味気ないし、そもそもあんまりないですからね。特に、こういう宿無し道無しのフラフラ旅には付き物でしょう」


作者「と、いうわけで。今回は私の一人語りみたいになってしまいましたが、最後の締めは・・・・・・そうだな。今回は一応新キャラってことで、シエンに頼もうか」

シエン「ふはは。任せたまえ」

サタラ「んじゃ、アシストはオレが」


シエン「ふるえるたかぶる異世界バトル『転生した俺は勇者として異世界を救うらしいですよ?』」

サタラ「次回も森が続く!ついに夕食のメニューが明かされる!」

シエン「伝説の食材、ゲットだぜ!」

リュージ「んなもんねーよ」

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