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第二十三話:【過去編Ⅰ】捕らわれた者たちへ SECOND

ゴー!

前回のあらすじ!監禁されました、以上!




「おや?だれか来るみたいだね」

エクスが唐突に、扉のほうを見ながら呟くと、なるほど確かに、耳を澄ませば足音が聞こえてくる。そして話し声も。

3人の間に走る緊張・・・・・・も特になく。リュージに至っては夜食が出るのかとちょっとワクワクしていたくらいである。

1つ2つ3つと、錠が外されていく音が聞こえる。そんなに厳重に閉めていたのか、とどうでもいいことを感じるリュージ。

そして、恐らく6つ目であろう錠が外され、最後に、扉に付いていた本来の鍵がガチャリと回されて、ついにその扉が開かれる。

「あら。食事の時間にしては、夜が更けすぎではないかしら?」

アリサが出した軽口には、反応がなかった。

そこに立っていたのは数人の男だった。みな一様に屈強そうな体つきをしていて、なかなかの威圧感である。扉に手をかけた、一際(いか)つい男が、口を開く。恐らくはリーダー格なのだろう。

「皇帝陛下。貴方に少し話がある。出てきて頂こう」

一応の敬意は払っているようではあるが、それでも有無を言わさぬ言葉。その言葉に、アリサは頷いた。

「わかったわ。そのかわり、彼らには手を出さないでね。私の大切な友人なのよ」

「えぇ。わかっています。コイツらにはまだ、それだけの価値がある」

そういってアリサは立ち上がり、扉から出て行こうとする。リュージは慌てて立ち上がり、同行しようとする。

「ちょっと待てよ。俺たちも一緒に――――――」

しかしその提案は、リーダー格の男によって却下される。

「駄目だ。貴様らはそこで大人しくしていろ。話があるのは皇帝陛下のみだ」

それを言うなり男は、話は終わったとばかりに扉を閉める。そして再び全ての錠を閉め、厳重に閉ざされた扉へと逆戻りである。

「・・・・・・まあ、そういわれるとは思っていたが」

「大方は、予想通りだね。あとは、アリサ君がどう動くかかな」

その通りである。迂闊に手が出せない以上、リュージたちが出来ることなど何もない。外へ出て直接相手と交渉する権利を持っているアリサの手が、リュージたちの今後を左右すると言っても、決して過言ではないのだ。

「まあ・・・・・・こうなったら待つしかない、か」

本格的にすることもなく、天井を見つめながらリュージはポツリと呟く。しかし、そんな言葉とは裏腹に、彼の第六感的な何かは、かなり嫌な予感めいたものを感じていた。



「ゴメン。しくった」

テヘッと舌を出しながら、再び舞い戻ってきたアリサは、なんと扉をぶち抜きながらの登場であった。びっくりしたー。

「いや、今どういう状況だよ」

いきなり扉が吹っ飛んできて、その奥からアリサが登場したという急展開に、俺は若干の戸惑いを禁じえなかった。ちなみに、若干というのは嘘であり、本当はかなり戸惑っている。戸惑いの王である。あれ、虫だっけ?まあどっちでもいいか。

なんてやっていると、アリサは顔つきを若干引き締めなおし、俺たちに状況の説明をする。

「色々あって、結局ぶっ飛ばしちゃったわ。仕方がないからこのまま脱出および撤退。そして出来る限りの敵勢力殲滅を目標とします。私たち以外に被害が及ぶ可能性がある以上は、わずかでも時間が惜しいわ。とにかく行動するわよ。動けるわね?」

一気にまくし立てられたが、要するにアリサがやっちまったと。やらかしちまったと。そんで、時間がないからチャッチャカこの事件を城に知らせるか、とにかく俺たちで解決するかしろ、と。

「オーケー状況は把握した。俺は問題なし、いつでもいける。エクス、いけるな」

「うん、もちろん☆」

動けるならば即行動。正直、ずっと閉じ込められていたせいで、若干暴れたい。

「じゃあ行きましょうか。とにかく突っ切るわよ」

こうして俺たちの逆転劇が始まったのである。さあ、ここからは俺たちのターンだ。狩りの時間だぜ!



閉じ込められていた部屋(今更感はあるが、一応あそこは資料室であるということを、ここで明記しておこう)から走り出た後、廊下を走りつつアリサが作戦を指示する。

ちなみに、廊下は走ってはいけません。良い子は真似しないでね。悪い子は大いに真似しよう。それで先生に怒られても、当社は一切責任は負いませんので、ご了承ください。

「確証はないけど、相手側の規模は小さいわ。構成人数が圧倒的に足りてないから、少人数を一纏めにしたようね。だから、このまま逃げてもいいのだけど・・・・・・」

「人数が少ないと、すぐに逃げられちゃうかもしれないね」

「その通りよ。だから、三手に分かれましょう。そうね・・・・・・私が先に脱出して、城にこのことを知らせるわ。貴方たちが行くよりも、スムーズに対応できるでしょうから。2人には、危険だけどこの学校に残る奴らを倒すか、最悪逃げないようにして欲しいの」

「確かにそれが一番効率いいと思うが・・・・・・、逃げないようにって、具体的にどうすればいいんだ?この学校はバカ広いんだぞ。2人じゃカバーし切れん」

「それはあちらも同じよ。この学校の敷地全てを見張っているなんて不可能だったから、アイツらは全員、この教室棟にいるわ。資料室に戻る前に、この棟には結界を張っておいたから、そう簡単には逃げ出せないはずよ」

なるほど。この棟だけなら、いくらか楽だ。ここは数ある教室棟の1つ、教室B棟だ。主に中学生ほどの子供たちの教室があり、この棟だけの広さならば、全体でちょっと広いマンションといった感じだ。しかも二階建て。なんと楽な。学校の敷地全体だと思っていたから、基準値が若干おかしいかもしれんが。

「じゃあ、アイツらは俺たちに任せてくれ」

「えぇ。それと、できれば全員、殺さないでね。後日、正式な裁判に掛けたいから」

「わかってるよ。俺だって、人なんて殺したくない」


というわけで、アリサは玄関に直行。きっとあの勢いなら、すぐに城に着くだろう。最悪、どっかで馬車でも強奪しそうだし。

「さて。じゃあ俺たちも動くか」

「うん。はい、君の刀。ちゃんと非殺仕様だよ」

そういって渡されたのは、二本の刀。どうにも使い慣れた感がある、エクスを模した銀に輝く鉛色の刀と、淡く紅い光を放つ銀の刀。

「じゃあ俺は、二階を見てくる」

「わかったよ。じゃあボクは一階だね。任せておくれ」

俺たちはそれぞれ、違う道へと歩みを進める。背を向けたとき、背中にエクスの声が投げかけられる。

「気をつけてね、リュージ君」

「・・・・・・あぁ。お互いにな」

言葉を交わしあい、そして歩き出す。それぞれの目的のために。



ちなみに。俺たちの『気をつけて』とは基本的に、相手を殺さないように気をつけて。という意味合いですので、あしからず。



空気中に漂う魔力の残滓を辿って、なるべく音を立てずに廊下を進む。潜入ミッションをやっているみたいだな~。こちらス○ークってね。うーん・・・・・・ずいぶんリュージ君の感化を受けちゃったかな?


『―――――――ッ!?―――――!―――――――――!』

『――――――――――――ッ!?』

曲がり角の奥から、数人の騒ぎ声が聞こえる。どうやら結界の解除に戸惑っているようだね。アリサ君が張った結界は、なるほど皇帝の名にふさわしい、とても高度な物だった。ただ強固なだけではない、魔力が緻密に織り込まれ、単純な物理攻撃で壊すことは困難だろう。だったらと、魔法の術式自体を破壊しようとしても、ほぼ全てが独自の暗号化されていて、容易には解き明かせない。これだけのものなら、相当な時間、彼らを閉じ込めておくことができるだろう。

うーん、でも。

「いくら苛立っているからって、学校の備品はおろか、生徒の私物にまで八つ当たりするのは頂けないかな」

突然のボクの登場に、驚きを露わにする彼らは、すぐにボクが、人質の1人であったことを思い出したようだ。

「ど、どうするんだ・・・・・・?」

「くっ!こ、殺せ!こうなった以上、野放しにしておく理由はない!」

「待て!まだ殺すな。ヤツにはまだ、人質の価値が残っている!しばらくしたら、帝国軍がやってくる可能性が高いんだ、まともにやり合っては勝ち目はない!生かしたまま捕らえろ!」

どうやら意見は纏まったようだね。しかし、この状況下でまだアレだけの判断が出来る人間がいるなんて・・・・・・。

でも惜しい。その判断は、間違っている。

そんなことを、つらつらと考えながら、手に剣を創り出す。もちろんというかなんというか、とりあえず非殺仕様。まあ、無理に彼らの命を奪う理由もない。

「君たちの判断は間違っているよ」

慌てた様子で武器や魔法を用意する彼らは、ボクの言葉に耳を貸す余裕なんてないんだろうけれど。それでも、ほら。ここはリュージ君の仲間として、なにか気の利いたセリフの1つでも言っておこうかと思ってね。まあ、本当に利いてるかはわからない、というか正直自信がないけれど。

彼の相棒として、出来る限りのことはしないとね。

「ボクたちに手を出した時点で、君たちの敗北は決定しているよ」

とりあえず。年齢的に考えれば中学1年にあたる女子生徒の体操着をどさくさに紛れに物色し、あまつさえ自分の服の中に仕舞い込んだ左端のおじさんから、仕留めていくことにしよう。次はその右、女子生徒のリコーダーを舐めていた下衆野郎だ。


変態しかいないのかな、このグループは・・・・・・。





「待ちやがれクソガキ!」

「ふはは!待てといわれて待つ者がいるはずがなかろうが!」

そんなわけで、わたくしリュージは現在、学校の廊下を全力疾走しているのであった。良い子は真似しないでね♪

でも、今はさすがに見逃して欲しいね。なぜなら今の俺は、全身丸コゲ骨まで灰になっちゃうかもしれない状況なのだから。

魔法はヤバイ魔法はヤバイ!炎弾とかそういうのだったら、なんとかギリギリ対処できるけど、エクスがいない今の状況で、炎の巨人はヤバイ!あんなの、触れただけで死んでしまう。しかも物理攻撃が効かないって、どゆこと!?まあ炎ですからね。さわれないのは予想できていたけれども!

幸いにも速度の方はそうでもないから、すぐに追いつかれることはないだろうが・・・・・・。何よりの問題は、ここが屋内であることだ。どこまでも真っ直ぐに走って振り切る、なんてことは出来ない。だからさっきから、教室以外の部屋を経由して逃げているのだが(教室には生徒の私物もあるから、なるべく巻き込みたくないのである)・・・・・・・・・。

ただ逃げるだけじゃあ、駄目なんだよな。このままじゃ、俺のスタミナが切れるか術者の魔力が尽きるか。いや、術者の魔力生産量と消費量の差がわからないから、もしかしたら尽きることはないかもしれない。

残っているのは、炎を操っている術者本人だけで、他の奴らはもう倒したんだがなぁ・・・・・・。つーか、あれ?ここ2階だよな。床が焦げて、底が抜けたりしないのか?いやされたら困るんだけどさ。


どうすればいいのか、全く案が浮かばない。あれ、おかしいな。普段の俺なら、読者があっと驚くような逆転劇を繰り広げるはずなんだが・・・・・・。

い、いや、違うからね!もうすでに、プランは出来上がってるから!思い付かないんじゃなくて、まだその時じゃないってだけなんだからね!

俺のツンデレキモいぜ・・・・・・。


仕方がない。とりあえず、当たってみようか。逃げてるだけじゃ、状況は変わらないからな。

というわけで急停車、からの反転。失敗して2、3歩後退。うーん、かっこ悪いな俺。

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・、ようやく諦めやがったか、クソガキ」

俺に、もう戦意はないと思っているらしい男は、ニヤニヤ笑いながら、炎の巨人を近くに侍らせて歩き寄ってくる。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」

男は呼吸を整えようと空気を吸う。肉体運動による運動に重なり、魔力操作による疲労。まあ、身体の外と内とで同時に運動してるようなものだからな。ってサタラとかも言ってたし。

「いーや。別に諦めちゃいねえさ。ただ、オマエの魔法を打ち破る方法を思いついたんでな。試してみようと思っただけだ」

嘘だけど。

が、俺の言葉は意外と効いたらしく、男のニヤニヤが止まる。

「・・・・・・へぇ。どうやってだ、クソガキ」

「今から見せてやるから、ちょっと待ってろオッサン」

だから思い付くまでちょっと待ってください。



「さて・・・と。これでもう終わりかな?」

犯罪者へんたいたちを鎮圧、全員を拘束し終え、辺りを見渡すエクス。その顔に真剣さは微塵も感じないが、心は真剣そのもの。であって欲しいと願うばかりである。

「うーん・・・・・・。魔力の匂いは、もうしない、かな?――――――いや、これは隠しているのかな?」

適当に、魔力の発信源と思しき場所に近づいていく。


「・・・・・・・・あれ?」

それは違和感(・・・)

魔力の発生源が隠された気配のする、ある一点。確かに、そのすぐ横を通過したはずだ。

そう。通過・・した――――――。

「・・・・・・?あれ。今、横を通ったっけ?」

確認のために、もう一度。


「・・・うーん?幻惑・・・いや、幻覚かな?」

前を通り過ぎることは出来る。しかし、ポイントで立ち止まれない。気が付けば、通り過ぎてしまう。ポイントである通路。があるのは認識できる。いや、認識できた(・・・)と認識してしまう(・・・・・)。実際は、通り過ぎた瞬間が分かっていないにも関わらず。なんとなく、見た(・・)気がしてしまう。

「じゃあ今度は、実際に横を見ながら歩いてみようかな」

結果は同じ。通路の角の手前までは、確かに横を向いていた。しかし、真横に来た瞬間。一瞬で興味を失ってしまったかのように素通りしてしまう。

「・・・・・・いっそ、カニ歩きでどうだ!」

こんな奇怪な状況を、実は楽しんでいるのがエクスである。綺麗な顔してるだろ?これ、聖剣なんだぜ?


――――――10分後


「うーん。どうしても駄目だな」

結局、一度も成功できず、一旦休憩。

解決法としては、浮かんでいるといえば浮かんでいる。しかし。

「いくらなんでも・・・・・・。ボクも気が滅入るし、なによりリュージ君が嫌がるだろうなぁ」

そう。それは、壊す(・・)。細かいことは気にせずに、邪魔なものを全て破壊する。

「ま~ボクの趣味じゃないからやらないけど」

ならばどうするか。こうなれば1つしかない。

「苦手なんだよなー、数学・・は」

残りカスのような残留魔力から漂うわずかな術式の匂い。そこから読み取れる記号から逆算・照合・検証を繰り返し、術式を解いていく。全てを解き明かしてからは、それに対応した術式を組み上げて破壊するか、無効化していくしかない。

要約すれば、面倒なのである。

「まあ、やるしかないか。先に何があるのか、気にはなるしね」

こうして。誰も望まない数学タイムが、始まったのである。



駆け出して跳び、刀を振るう。当然の如く刀は炎をすり抜け、空を切る。

地面に着地すると同時に身体を捻り、迫る炎の腕を潜る。そのまま振り上げ腕を斬る。

男は、リュージの無策に勘付いたらしく、笑い声を上げる。

「ははっ!どうした、俺の魔法を破る方法を思いついたんじゃねえのかぁ?」

うっは~バレてるー。とか適当な感想を漏らしつつ、まあでも、そんなのは今更だと開き直る。

そしてその顔に、薄っぺらい笑顔を貼り付け、ニヤけた表情を作り出す。

その笑いに違和感を感じたのか、男は気を引き締め、なおも巨人の動きを激しくする。

(もっとだ・・・・・・もっと動け!)

筋肉を無理矢理に動かし、動けるだけの速さで刀を振るう。無意味と分かりつつ、なおも斬り続ける。

「うおっ!」

ちりっ、と髪の先端が焦げ、慌てて後方に跳ぶ。頭から漂う、髪が燃えたとき特有の臭いが鼻に付く。

動きが読まれた、というより、リュージ自身の動きが悪くなってきた。なぜなら、今闘っている場所が、タイミング悪く教室の正面だからである。

(くそっ、いつの間にこんなところに・・・!ここじゃあ、自由に動けない!)

火が廊下の壁にまで燃え移っており、現段階では小規模であるが、放っておけば手に負えなくなるだろう。

「ちっ、チョロチョロしやがって。いい加減にくたばれ」

あぁ、俺にはもう人質の価値はないのかーとか考えつつ、よく思い返せばコイツら最初から殺しに掛かってたなーという事実を思い出し、若干落ち込むリュージ。でも今はシリアスなシーンなので、口にはしない。

と、先ほどの言葉はなにやら、男の中で気持ちに一区切りを付ける読点となったらしく。

「・・・・・・おいおいおい」

ゴバァアッ!と。酸素を爆発させながら、炎の巨人の火力が上がり、目に見えて強大になった。10メートル以上離れているこの距離でも、熱の影響で息苦しさを感じ、皮膚を焼かんばかりの熱風が肌を撫でる。轟々と燃え盛る炎の巨人は、見るからにその密度を上げていき、熱で周囲の景色を歪めていく。


打てる手が極端に減った。こちらの手札を一気に削られた。

つまり、近付けなくなったのである。不用意に近づけば、爆炎、爆風の餌食となり、体が炭化することはおろか、骨すら残らず灰になるであろう。

(そこらの犯罪者が個人で使っていいレベルを超えている・・・・・・。こんなの、通り魔事件の犯人がバズーカ持ち出すようなもんじゃねえか!個人を狙っていい火力じゃねえ!)

正直に言おう、もう死ぬかもしれないと!

エネルギーの塊である炎の豪腕を必死で回避し、時折生じる空気の爆発による衝撃波に身体を打たれ、少しずつ、しかし確実に削られていくリュージ。


そこで気が付く。自分が、壁に向かって跳んだことに。

「しまっ!?」

蜃気楼。地面の温度と気温との差が大きいときなどに発生する、光の異常屈折現象。

これによりリュージは、逃げ道を見誤った。

ズドン!と背中から壁に激突するリュージは、肺の中の空気が抜け、その動きが一瞬遅れる。

そんなリュージに。しかし無情にも炎は叩きつけられた。

炎が酸素を破裂させる爆音とともに振り下ろされる爆炎を前に、回避することも敵わず、反射的に両の刀を顔の前に持ってくるので精一杯であり、それでもなお歯を食いしばり、刀を握る力は緩めない。そして――――――――――――。


振り下ろされた劫火ごうかは、リュージから五感を奪った。


――――――――――――何もない、真っ白。これが真の消滅なのか。全てを奪い去った破壊により奪われた五感が回復するのに、しばらくの時間を要した。

しかし、そこでリュージは気付く。戻っている。自分の五感が。つまり、まだ死んでいないと。

夜更かしをした後の朝よりも重たい瞼を押し上げ、目の前に映し出されたのは。


未だ燃え盛る劫火の豪腕が、横合いから突き刺さった数本の光の剣により、何もない空間へと縫い付けられている光景だった。


そして、理解した。

そう。リュージは知っている。こんな絶体絶命の危機を食い止めることは疎か、世界の破壊だろうと平然とやってのけるような、運命も力ずくで捻じ曲げてしまいそうな。そんな最強あくま的チートヒロインを、知っている・・・・・・!


「全く。遊びに行ったついでに就職して、それだけでは飽き足らず、またもや大きな問題に巻き込まれるとは。どこまで面倒を抱えているんですか、リュージ」

そこにいたのは、その手に世界を滅亡させるほどの強大な力を有しながらも、神々しく美しい、天上より使わされた天使。

「久しぶりの登場だな、リリア」

全時空最強の助っ人が今、本当に久しぶりに、降臨なさった。



いやはや遅れて申し訳ないです、作者のかわまさです。

どうもお久しぶりでございます。えぇ、そうですね。今回は投稿に掛ける時間が5分もないということですので、後書きがこのような形式になってしまいました。

というわけでですね。えぇ、年内にもう一本書けたら投稿しようと思っておりますが、もしかしたら出来ないかもなので、この場で挨拶をば。


みなさま。クリスマスももうすぐですね。同じ時を過ごす最愛のパートナーは見つかりましたでしょうか?私は今年も家族と過ごします。うん、彼女欲しいですね。どうすればできるんでしょうか。是非アドバイスをお願いします。

さて。そんな楽しい(?)クリスマスが終われば、もう年越し、新年でございます。蕎麦と御節の用意は大丈夫でしょうか。私は今年も、年越しの瞬間にジャンプして「年越しの瞬間、地球にいなかった!」をやっておきたいですね。あれ、意外に難しいんですよ。


それでは皆様。今年も大変お世話になりました。今作もすでに1年以上を経過いたしまして、これも皆様のご愛好のおかげでございます。これからも、今作品をよろしくお願いいたします。

それでは、良いお年を~。


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