第十五話:実際さ。サイコロステーキってどう思う?俺的には・・・アリ、かな
いやぁホント久しぶり!じゃあ行ってみよう!
ババン、バン、ババン!!!
照り付ける太陽のなか、私は今日も枝を拾っていた。
「・・・はぁ。今日は暑いわね」
程よい具合に涼しかった気候が急変しだしたのは、つい最近のことだ。そう。あの男たちが村に帰ってきてから数日後だ。
あの男、リュージとその一行は、あろうことかインサー帝国に攻め入って、村長を狙った犯人を懲らしめるために正面から喧嘩を売ってきたのである。
全くもって驚きだ。後日、そのことについて本人に問うたときは、ケロッとした顔で答えてきた。まるで、旅行の土産話でもするみたいに。
全くアイツは・・・と、私は思わず呟いてしまう。
そういえば、あの男のことを『リュージ』と呼び捨てにし始めたのはいつからだっただろうか。
◆
朝。心地よい日差しと朝露の香り、微かに流れる風のおかげで、今日は気分がいい。
疲労のおかげでぐっすり眠れたのもあるだろうが・・・。
昨日はなかなか新鮮な日だった。
最近から村に居つくようになった男、リュージと一緒に木を拾いに行ったはずが、魔物に追われて逃げ回ったり、ストロンガーと遭遇したりと、色々ありすぎた一日だった。
そんな思い出に耽りながら顔を洗うと、わずかに残っていた眠気も晴れる。
いつもより早く起きてしまったようで、早起きの村もまだ静かだ。
せっかくだから散歩でもしよう。と思い、特に当てもなくブラブラ歩いていると、どこからか人の声と、何かが振るわれる音が聞こえてきた。
気がつくと、村長の家の前。なんとなく裏手に回ってみると予想通り、あの男がいた。
リュージは、昨日もみた黄金の剣を振るい、汗を流していた。
少しばかりそれを眺めていると、リュージはその動きを止め、剣を手放し伸びをした。どうやら終わったようだ。
「おはよ!朝から熱心ねぇ」
そう声をかけると、リュージは振り返る。
「やぁ。おはよう、サーシャ」
そういった男の顔には笑みが浮かべられるが、その表情がわずかにサーシャを混乱させる。
面差しからはどこかあどけなさを感じさせる一方、どこか落ち着いた雰囲気を纏っているが、これで自分と同い年だというから驚かされる。
「いつもこんな時間からやってるの?」
「あぁ。まぁこれも必要なことだからな。定期的にやらないと腕が鈍る」
戦うことを前提としたその言葉に、やはりこの男との壁を感じずにはいられない。自分とは違う世界を生きる人。それが、昨日一日でこの男に抱いた印象だった。
「サーシャこそ、いつもこの時間から?」
私の心中なんかお構いなしに、笑顔で問いかけてくるこの男のマイペースさに内心あきれながらも、私は答える。
「ううん、今日は特別。なんか目が覚めちゃって」
私はまだ、この男に対して呼び捨てで呼んだことがない。面と向かって名前を呼ぶのが恥ずかしく、いつも「君」を付け加えてしまう。自分の強気な性格からは考えられないような謎の羞恥心に、私は少し悩んでいた。
「そっか~、えらいなぁ・・・。俺が死ぬ前なんて、目が覚めてもすぐ二度寝だったからなぁ・・・目覚ましの音が大嫌いだった」
聞けばこの男は、一度死んで別の世界からこの世界に来たらしい。そんな馬鹿な、と私は思っていたが、時たまこの男が発する聞いたことのない単語には首を傾げていた。今のところは、きっと別の地域の文化なのだろうと自分を無理矢理納得させている。
他愛のない会話を続けていると、不意に家のほうから声が飛んできた。
『リュージさーん!朝食の用意が出来ましたよぉ~』
この聞き慣れた声は、おそらく村長のものだろう。
「おっ、もうそんなか。そうだ、サーシャも一緒にどうだ?つっても、俺の家じゃないがな」
食事に招待された。しかし、村長たちが朝食なら、私の家もそろそろだろう。あの両親のことだ。きっと私が戻ってくるまで、しばらくは待っているだろう。
「いえ、遠慮しておくわ。家でも用意されているでしょうし」
そうか、といってリュージは剣を取る。
「じゃあ、またな」
そういうとリュージは、そのまま家に入っていった。
残された私は、その背中を見送った後、帰路に着いた。
翌日の朝。
今日も今日とて早くに目覚めてしまい、同じく散歩にでた。
今日もいるのだろうか?という思いで村長の家に行ってみると、聞こえてくるはずの声が聞こえなかった。
一体どうしたのだろうか?と少しばかり考えたが、まああの男のことだ。心配するだけ無駄だろう。
というわけで、何の気もなしに森に向かったのだが、そこで見たものは、肉を食い漁る魔物たちである。
無闇に出て行くわけにもいかずに草陰でじっとしていたのだが、そこへ聞いたことのある声が飛んできた。
「なん・・・だと・・・」
背後から聞こえたその声に振り返ると、やはりそこにはリュージが立っていた。その顔には、軽い絶望の表情が張り付いていた。
「俺の・・・俺の肉が・・・」
「えっと・・・リュージ君?」
どうも彼には、私の声が届いていないようだ。いや、もしかしたら存在すらも忘れられているかもしれない。
「あ・・・あぁ・・・」
肉が魔物の口に消えていくたびに、リュージの口から声が漏れる。
そして、魔物たちが満足げに退散し、残った骨とわずかな喰いカスの見た途端、リュージはガクリと膝から崩れ落ちた。そして地面に顔を向けて一言。
「あいつら殺れば良かった・・・」
私はため息をつくしかなかった。
「くっそ・・・せっかく魔物を倒して手に入れた肉なのに・・・」
「そりゃ、あんなとこ置いといたら、食べてくださいって言ってるようなものじゃない」
「え?じゃあ俺はこれからも、狩っては食われ狩っては食われを繰り返さないといけないのか?」
世界の終わりのような表情で聞いてくるリュージ。そんなに食べたかったのだろうか。
「そりゃ・・・工夫するしかないでしょう?」
工夫ねぇ・・・と首を捻る彼は、しばらく「う~ん」と唸ると諦めたように立ち上がる。
「なんにも思い浮かばんな・・・・・・。アイディア募集中だ!」
彼の相変わらずのマイペースさに、私は苦笑するしかなかった。が、まぁこのままいても問題は解決しないので、仕方なく頭を回転させ、とりあえず最初に浮かんだ考えを口にしてみる。
「お肉を手に入れたら村に持ち帰ればいいんじゃない?」
「いやぁ・・・いちいち行って帰ってじゃ効率が悪くないか?絶対的に一匹分じゃ足りないし」
まぁ確かにその通りだろう。それに彼の場合は、剣の修行も兼ねているらしいから、なおさら効率が重要なのだろう。
と、唐突に彼が呟いた。
「・・・穴」
「へ?」
意味が理解できなかったので、思わず素っ頓狂な声が出てしまった。しかし彼は、自分の妄想の世界に入り込んでしまったようで。
「・・・穴の中・・・魔物が・・・・・・上から殺して・・・うはっ儲け」
なにやら恐ろしいことをブツブツと呟いていたので、慌てて彼を現実に引き戻す。
「ちょっ、あの・・・そうだ!箱!箱よ箱!」
「ふへへへ・・・・・・箱?」
「そう!箱を作ってその中に入れておけば、そうとう強力な魔物じゃない限り大丈夫よ!きっと」
ストロンガーとかは例外で。
「箱・・・いいなそれ!じゃあ早速作ろうぜ!」
彼の表情に、ぱぁっと笑顔が灯る。まるで無垢な少年のような表情をするものだから、思わず気恥ずかしくなってしまう。
「?どうした?」
そんな私の顔を覗き込んでくる彼から逃れるために、私はクルッと回転しつつ後ろに下がり、話を続ける。
「そうね。じゃあ作りましょうか。素材は木でいいかしら?」
それなら村にあったかしら?なんて呟き、歩き出そうとすると。
「う~ん・・・どうせならスゲー硬い木にしようぜ!」
彼のその思いつきから、私たちの冒険は始まった。
え?終わりだと思いました?残念でしたね。どうして今回の話がこんなに短いと思ったんですか?ここで終わるわけが、もとい終わらせてくれるわけがないんですよ、彼が。
と言うわけで、もう少し私のターンが続きますよ~。アンチサーシャの人はここらで戻るアイコンをクリックして逃げちゃってください。まだまだ、私のダラダラ回想は続きますからねぇ~。
大丈夫ですか?アンチの方はもういらっしゃいませんか?じゃあ行ってみよう究極の選択へ!誰もが一度は言ってみたいあの台詞!
『次週へ続く!』
――――――あ、別に絶対に来週ってわけじゃないですからね?あしからず・・・。
作者「わぁああああい!二年だッ!進級だぁあああ!!!」
みんな『わ~・・・・・・』
作者「ありがとう!そして、ありがとう!」
リュージ「うるせぇよ作者」
リリア「まぁとりあえず、進級できてよかったですね」
サタラ「あれ?でも電話で呼び出されてなかったっけか?」
作者「あぁ、あれね。なんか、追試を受ける生徒に勉強を教えてやってくれと要請が入ってな。フォースじゃないよ」
リュージ「どうでもいいわその補足・・・」
エクス「まぁまぁいいじゃないか。もし進級できなかったら彼、ショックで二度とこの話書かないだろうしね」
作者「まぁな。この間のクラス替えで、もうすでに若干ショックを受けているが」
リュージ「どんまい」
作者「友達、作れるかな・・・」
ニーナ「・・・で、でも!今って春じゃないですか!そういう時はおみくじでも引いて、気持ちを盛り上げましょうよ!」
作者「ふふふ・・・ニーナちゃん、ありがとう。でもね、俺もうおみくじ引いたの。何が出たと思う?」
ニーナ「えぇ・・・っとき、凶とかですか?」
作者「うぅん?小吉」
リュージ「なんだ、その程度――――――」
作者「でもね。待人:来ずってなってたの」
リュージ「・・・・・・」
作者「しかもね。もう面倒だから解釈だけ言うけど、病気:そのうち治るかも知れなくもない。恋愛:心を改めて出直せ。訴訟:叶うけど時間掛かるよ。失物:出にくい。売買:やめとけやめとけ。建築・移転:時を待ちましょう。旅行:不要。金運:分をわきまえろ。受験:頑張れば受かるよ」
リュージ「・・・やめよう。もう、こんなことやめよう・・・」
エクス「さーて、来週のサ○エさんは?」
リュージ「やめようか」
エクス「約束された――――――勝利の剣ッ!!」
リュージ「どうした急に!?」
エクス「大声を出すことは、健康にいいんですよ」
リュージ「えぇい面倒だ!もういいや。次回は俺とサーシャが色々やる回!終了!」
みんな『震える昂る異世界バトル『転生した俺は勇者として魔法世界を救うらしいですよ?』次回もお楽しみに!』
サーシャ「・・・・・・うわぁ・・・」




