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【完結】虐げられた死神令嬢ですが、陽気な騎士団長に溺愛されて幸せになりました。〜一方、私を捨てた元婚約者は知らない間に破滅してました〜  作者: ぷきゅのすけ
第四部 死神令嬢、真実を知る

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66・思わず出た言葉

「では母君の遺品と遺骨をお迎えに行って参ります。⋯⋯モクレン様、あの、何と言えば良いのか」




モクレン様の母君が亡くなられた翌日の昼。


母君の遺骨と遺品が王都のプルトハデス王城に届けられたとのことで、私達四人は王都へ向い、宿泊先のホテルで色々と話し合っていた。



会議の結果、私とサラサ先輩は母君の遺品と遺骨をお迎えにプルトハデス王城へ、モクレン様とレンゲ様はカルミア様の誕生日パーティの会場に向かうため、別行動を取ることになったのだ。



だが、モクレン様は母君を亡くしたばかりである。

いくら複雑な想いがあるとは言え、母君を亡くしたのだ。

その心情は、きっと大荒れではなかろうか。




「モクレン様、申し訳ございません。貴方の心情に適した言葉が何も思い付かないのです。⋯⋯私に心があれば、貴方の心をお察しすることも可能なのですが⋯⋯」




そう言うと、ソファーに座るモクレン様は優しく笑って



「ツミキちゃん。ありがとうね」



と仰ったではないか。




「モクレン様? 私は感謝されるような言葉を見付けられずにいました。なのに、何故感謝を?」


「だって、わからないなりに寄り添おうとしてくれてるじゃん。それにさ、心があっても無くても、『相手の心情を思う余り何を言ったら良いのか分からない』ってことは良くあるんよ」


「なるほど⋯⋯心とは万能な存在では無いのですね。私は、心と言うのを相手の感情思念を受信する感覚器官の一種だと予想しておりました」


「そっか⋯⋯ツミキちゃんからしたら、心ってそう思うのか。確かに、真剣に考えてみりゃ良くわからん存在だよな、心ってさ。」




モクレン様は驚いたような声を出す。



ベッドに寝転ぶレンゲ様も「まあ、正直ボクも心を読み違えて、付き合ってる相手に刃物向けられたり服燃やされたりしたもんなあ」と呟く。



私の隣に座るサラサ先輩も「わらわ達ハイエルフも人の子の心とかわからんし、一緒じゃ」と笑った。



そうか。


なんやかんやで、みんな心というのが良くわからないのか。


私だけ異質な化け物のように思っていたが、意外とみんな似たようなものなのかもしれない。



そんな雑談をしたあと、私達は別行動を取ったのだった。




◇◇◇




サラサ先輩とプルトハデス王城に着き、モクレン様の母君の遺骨と遺品を受け取りたいと受付のシスターに言うと、彼女はなんとファウスト枢機卿長の部屋へ案内してくれたではないか。


どうやら、公爵家の次男であるモクレン様のお母様の遺骨と遺品と言うことで、それ相応の管理が必要だったようだ。



そして、私達をファウスト様の部屋へと案内してくれたシスターは、ドアを三回ノックする。



すると、ファウスト様がドアをそっと開けて



「ようこそいらっしゃいました。何のお構いも出来ませんが、どうぞゆっくりして行ってくださいね」



と柔和な笑みを浮かべたのだった。



シスターが見守る中、私とサラサ先輩とファウスト様は、豪華なローテーブルを挟んだソファーに腰を下ろす。


すると、ファウスト様は紅茶とお茶菓子のクッキーを出してくれた。




「ツミキ様。サラサ様。簡単なものしか出せませんで、申し訳ありません。こんなふうに誰かとお茶するのはすごく久しぶりで、何だか緊張します」


「なんじゃお主! 色男顔をしておきながら、随分お硬い生活をしておるのじゃのう」




サラサ先輩はファウスト様を色男と仰った。


顔立ちの美醜は相変わらず審美出来ないが、サラサ先輩がそう言うのならそうなのだろう。


私には、ファウスト様は銀色の長い髪と若葉色の瞳を持ち、片目にモノクルをかけた青年としかわからない。



そんなファウスト様は、サラサ先輩と私をゆっくりと交互に見ながら、木の箱に入った骨壺と、遺品と思われる傷んだ鞄をローテーブルの上に差し出した。




「こちらが、モクレン公のお母様である、モニカ殿の品々です。どうぞ、よろしくお願いいたしますね」


「はい。しかと承りました」




そう言って、鞄はサラサ先輩に任せ、私は骨壺が入った木箱を受け取る。




「ところでファウスト様。モニカ様は何故お亡くなりになられたのですか?」


「それが⋯⋯どうやら泥酔した状態で入浴したようで、湯船の中で寝てしまい⋯⋯発見した時には、葬儀を挙げられる状態では無かったようで⋯⋯」


「そう、ですか⋯⋯」




何と言ったら良いのかわからないが、恐ろしい状況や苦しい痛みに耐えながら命を落としたというのではなく、心地良く眠りながらと言うのはある意味幸運なのかもしれない。




「ところでツミキ様。もしモクレン公がお望みなら、モニカ殿のご葬儀を上げることも可能ですが、如何しましょうか?」


「それが⋯⋯モクレン様は『あのクソ女の骨なんて粉微塵にしてからホストクラブの出入り口に撒いちゃって良いよ。その方がアイツも喜ぶでしょ?』と仰るので⋯⋯」


「⋯⋯それは⋯⋯難しいお考えですねえ⋯⋯」




ファウスト様は苦く笑う。


そんな彼へ、サラサ先輩が



「それに、母親の遺品はわらわ達にあげるとまで言っておったからのう。ま、色々あるんじゃろ」



と頭の後ろで両手を組み、ソファーの背もたれに寄りかかった。




「ファウスト様、モニカ様の遺骨はホオノキ様にお渡しして全てお任せするつもりです。ご心配無く」




モニカ様の遺骨は、母君であるホオノキ様にお任せするのが一番だろう。



ファウスト様のご様子を伺うと、どうやら彼も同意見なようだ。




「そうですね。ホオノキ殿にお任せするのが一番良いでしょう。⋯⋯ところで、モクレン公は今どちらに?」


「モクレン様は従者としてレンゲ様を連れて、カルミア様の誕生日パーティに出席しております。⋯⋯ロスベール公爵は様子がおかしいとのことで、代理でモクレン様が同伴される形になったとか」


「ふむ⋯⋯それは⋯⋯モクレン公に強い流れが来ていますね。現在、プルトハデス国の権力者達の多くは、モクレン公に注目している状況です。正直言って、教皇王の地位にも手が届くかと」


「モクレン様が⋯⋯教皇王⋯⋯ですか⋯⋯!?」




余りのことで声が上擦った⋯⋯が、モクレン様はロスベール公爵の弟であり、身分的にもあり得る話だ。



だが、モクレン様が教皇王になってしまったら、その隣に大罪人の末裔である私は立てないだろう。


いくらロスベール公爵とカルミア様の結婚パーティにて、ユーフォルビア一族への不当な扱いを禁じる流れになったとしても、王妃ともなれば話は違う。

そもそも、私との婚姻は世継ぎを作るためだけであり、それが終われば本当に好きな相手を妻に迎えられるのだ。




「モクレン様⋯⋯。彼が、教皇王になればこの国は確実に良い方向へ向かうことでしょう」




この国は成り立ち的に国民の人気を何よりも重んじる。

その国民の中には『ユーフォルビア一族への不当な扱いを止めるまではわかるけど、連中が教皇王妃ってのは⋯⋯さすがに』と納得出来ない方も出て来るはず。


そういった不満の種はやがて災いの芽を出し、モクレン様の足を引っ張るつるとなる。



だが、モクレン様が教皇王になることは、プルトハデス国の未来にとって最善と言えよう。


私はそう判断⋯⋯⋯⋯



ふと。



モクレン様と初めて朝食をとったあの朝を思い出す。

優しい朝日の中、バタートーストが美味しくて飛ぶぞ状態になった。


それに、モクレン様の美しい笑顔をみると、嬉しい状態になった。


あの笑顔を、私はこの先もずっと見ていたい。

彼の隣にいたい。でも、教皇王になったら、彼は私の届かないところに行ってしまう――




「モクレン様が教皇王になるのは嫌だ。⋯⋯⋯⋯!!?」




私は今、何を言ったのだ?


モクレン様が教皇王になるのが嫌だと、私は口にしたのか?


モクレン様が教皇王になれば、絶望の国と呼ばれるプルトハデスにとっても良いことであるのに?



そもそも、プルトハデスが絶望の国となった原因は、私の祖先であるユーフォルビアにあるというのに?



駄目だ、考えがまとまらない。混乱状態である。




「私は⋯⋯一体何を」




ひたすら困惑する私へ、ファウスト殿は穏やかな眼差しを向けた後、突然ソファーから降りると。



なんと、私に跪き⋯⋯と言うか土下座をしたではないか!?




「ファウスト枢機卿長!?」


「ツミキ様⋯⋯プルトハデス教の枢機卿長として、貴女への所業をお詫び申し上げます⋯⋯っ」




ファウスト枢機卿長は涙をこぼしながら謝罪をするのだから、私も咄嗟にソファーから降りた。


だが、どうしたら良いか分からず、取り敢えずお茶菓子のクッキーが敷き詰められた皿を差し出す。


サラサ先輩も「まあまあ」と宥めながら紅茶を差し出した。




「ファウスト枢機卿長。頭を上げて⋯⋯クッキーをお召し上がりくださいませ」


「頂けません⋯⋯っ! 私は貴女がロスベール公爵に嫁ぐと決定した後に枢機卿長となった身分です。だから、こんな事はおかしいとプルトハデス教を変えられる機会はいくらでもありましたのに、私の力不足で」




確かに、ファウスト枢機卿長は私がロスベール公爵に嫁ぐと定められたあとに枢機卿長になった方だ。


そんな彼に出来ることは何も無いだろう。


それに、これは勝手な憶測であるが、ファウスト枢機卿長は他の枢機卿達に比べてとても若い。


権力を持つ老人達を若者一人がどうこう出来るとは思えない。



私とサラサ先輩は、泣きながら土下座をするファウスト枢機卿長を宥め続けることしか出来なかった。




◇◇◇




「よーし!! ボクのターン!! ドロー!!! 『一撃一億のナンバーワンホスト【とっとこハメのすけ】』に二千万の青伝票を付属し、ツミキ氏のフィールドに居るホストへ攻撃だ!!」




ファウスト殿から遺骨をお預かりしたその夜。


王都のホテルに宿泊した私達は、モニカ様の遺品のカバンに入っていた大量のホストの名刺と国税局からの手紙を使ってカードゲームをしていた。


何故なら、カルミア様の誕生日パーティから帰ってきたモクレン様に



『アイツの遺品は全部みんなにあげる。ホストの名刺だらけだし、それでデュエルしてて良いよ』



と言われたからである。




「⋯⋯レンゲ様。貴方が最大火力で攻撃を仕掛ける瞬間を待っておりました」


「!? まさかッ!! そのカードは!?」


「そう!! トラップカード『国税局からの税金未納についてのお知らせ』!!!! このカードは相手のフィールドにいるホストが確定申告をせず脱税していることを国税局にチンコロする最強のカードです。⋯⋯そして、その効果は『相手の攻撃力を倍にして跳ね返す』!!!!」


「う、うわーーーーっ!!!!!!!!! だから税理士さんに頼れって言ったのにぃーーー!!」




最初、ホストの名刺とは言えさすがに遺品でデュエルというのもと躊躇われたが、他にすることが無いためモニカ様の弔い合戦と言う名目で火花を散らしたわけだ。


ちなみに、私はレンゲ様とデュエルをする前、サラサ先輩の『ホス狂いの青伝票によるラスソンコンボ』で敗北している。




「あの、ところでレンゲ様。モクレン様は放置してよろしいのでしょうか」


「あー大丈夫。モクレン氏は喫煙所で酔いを覚ましたいんだって。誕生日パーティで色んな人から酒飲まされたから」


「そうですか⋯⋯」




モクレン様は今、どんなお気持ちなのだろうか。


私には何も分からない。


分からないからこそ、そっとしておくことしか出来ない。

だが、それが大変歯痒い。




「⋯⋯何か⋯⋯せめて、モクレン様のお心が軽くなる遺品は無いのでしょうか」




モニカ様の遺品である古びたカバンに手を伸ばすと、一枚小さなカードが破れた裏地の隙間に挟まっているのを発見する。




「? まだホストの名刺が残っていたようです。⋯⋯⋯⋯⋯⋯?」




カードを取り出すと、それはやはりホストの名刺だった。


だが、それを見た瞬間。私は思わず息を呑んだ。




「⋯⋯そんな、どうして」




その名刺には、驚くべき人物が印刷されていたのだった。







◇◇◇


良い感じにお付き合いありがとうございます!


ちょっとでも

「面白い!」

「先が気になる!」

「ホストの名刺でデュエルってなんだよ!!!」

「驚くべき人物って誰やねん!!!!!」と


思って頂けましたら、下記の星☆☆☆☆☆から★★★★★5評価を入れてくださると嬉しいです!(私のモチベーションが上がります!)

ブクマとべた褒めレビューとご感想とリアクションもお待ちしておりますぞ!



それでは、何卒宜しくお願い致します~!!!

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