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第一話 レストラン
私、子供のころ、とても苦労してて・・・
親がアル中だったの・・・父親も母親も・・・
だから、誰もご飯を作ってくれなくて・・・
私、いつも、ものすごくお腹が空いてて・・・だって、食べるものがないから・・・
それでね・・・我慢できなくてね・・・ある時、私、近くのレストランに入ったの・・・
お金、持ってないのに・・・
それで、ご飯、いっぱい食べたの。
それから、私、謝ろうとしたの。・・・ごめんなさいって・・・お金持ってないって・・・
きっと、警察に連れていかれると思った。でも仕方がないと思った。悪いことしたんだから・・・
そう思って私が立ち上がったらね・・・お店の人がじっと私を見てたの。
若い男の人だった。
私が困っていたら、その人にっこりと笑ってね、言ったの。
・・・もう お腹いっぱい? お金なんか いいよ ・・・って。
私、その人のことが忘れられません。