終わりで始まりの戦国女子奈々 4
砦戦を、戦国女子と正しい男だけで勝利した。
砦戦の勝利条件は、本丸を攻撃して陥落させる事。
それには、大きく分けて二つの道がある。
最短で城門を陥落させて本丸を攻撃する道。
もう一つは、要所を陥落させてから本丸へ攻撃。
回り道だが、要所を制圧すると士気が、高まる。
士気が、高まれば部隊の破壊力が、増大する。
攻城戦などでは、最大十倍にまで跳ね上がる。
砦戦では、そこまで上がらないが、割と上がる。
さらに、要所制圧で、AI守備部隊が、バラける。
要所を取り返そうとする部隊が、必ず出てくる。
最短で、一直線だと、守備隊が、集中してくる。
弱い守備隊でも数が多ければ、厄介だ。
だから、要所制圧してから本丸に攻撃する事にした。
最初は、まず、城門の突破を目指して部隊を発進。
城門を落としたら、部隊は、遊撃部隊となる。
ほっておくと、部隊は、そのあたりから、動かない。
次の目的地に向けて、再命令をしなければならい。
そうして、宝物庫や武器庫などの要所を攻め落とす。
防衛側の勝利条件は、攻撃側の本陣を落とす事。
もしくは、砦戦なら、十分間、本丸を守り切る事。
攻城戦なら、十五分間本丸を守り切れば勝利。
チャットでやりとりしながら要所を攻略していく。
誰かと一緒に遊ぶのは、非常に楽しい。
そして、楽しんでくれているのが、嬉しい。
一つ一つ要所を制圧していき、ついに、本丸へ。
士気も上がっていたので、無事に、陥落させる。
勝利の文字が、画面に表示される。
お見事やおめでとうございますのスタンプを送る。
他の一門メンバーは、誰もログインしてこなかった。
それについて、戦国女子が、感想を述べてくれる。
「皆さん空気読んでくれて、来なかったですね」
「みんな空気読んでくれたんだ」
「はい、二人の楽しい時間でした」
そんな嬉しい事を言いながら、旗を立てる少女。
持っている旗は、全て領土の制圧に使ってくれた。
もし、武田の領主が、防衛に来たら相手をする。
そのつもりだったが、現れなかった。
砦戦の直後だし、来るのは、よほどの猛者だ。
そして、次は、砦戦の対人戦をする事を約束した。
旗を立て終わった彼女は、お仕事に戻っていった。
彼女が、ログアウトすると、ログインは、男だけ。
一門の仲間全員が、仲良くログアウト中。
男は、一門チャットに思いを綴った。
そして、当主として最後の仕事に取り掛かる。
副当主の全ては、以前からこの一門にいる者達。
全員を一般に変更していく。
それから、当主を移譲して自分も一般になる。
こうして一門は、新しい体制になった。
奈々当主と、一般だけのシンプルなカタチ。
女神伝説は、こうして始まった。
その夜、仕事を終えた奈々当主が、ログインした。
「お仕事、終わりました」
「お仕事、お疲れ様でした」
ほんわかとしたチャットでのやり取り。
それから、しばらくして、彼女は、気づく。
「これは、いったい。
まさおさま、ご乱心です」
「大丈夫、心は、乱れていません。
安心してください」
「元に戻してください」
「無理」
自分には、もう、戻すことは、出来ない。
出来るのは、当主となった彼女だけ。
だが、元に戻す方法が、彼女には、分からない。
というか、知らないだけ。
知ってたら元に戻していたかもしれない。
当主には、奈々当主しか考えられない事を説明する。
二十名を超える大所帯となった一門の将来について。
新しい体制で、ラストのイベントにのぞみたい。
それには、彼女こそ適任だった。
現実世界で、男は、女性の前で格好をつけたがる。
それが、正しい男のあるべき姿。
彼女が、当主なら、もっと頑張れるはず。
当然ながら、男として前当主として全力で支える。
その旨をお伝えして、更にコチラの希望を伝える。
「奈々当主は、自由に楽しんでくれればOKです」
それこそが、正しい男の願いだった。
だが、彼女は、駄々をこねくりまわしてくる。
アレコレとあーだこーだと、おくってくる。
彼女のコメントに即答で回答して説明していく。
さらに、奈々当主しかいない事を説明し説得する。
「まさおさま、ご乱心です」
気に入ったのか、何度もそのフレーズを送ってくる。
「大丈夫、心は、乱れていませんからご安心を。
ファーストシーズン終了も、もう間も無く。
一緒に楽しみましょう」
「他の皆さま方は、どうなんですか?」
「一門チャットに、綴っておきました。
問題ありませんから、安心してください。
新しい体制で、最後のイベントを楽しみましょう。
苦情や問題が、発生したらコチラに振ってください。
面倒なことは、全てコチラで何とかします」
送られてきたら、すぐに返事を送る。
さらに、奈々当主しかいない事を何度も説明する。
そのやりとりは、非常に楽しいものだった。
送られてくるコメントは、全て想定内。
幸せな時間が、流れていった。
「どうなっても知りませんよ」
「どうなるのか楽しみです。
ありがとうございます。
奈々当主、感謝です。
まもなく、今シーズン最後のイベント。
一緒に楽しめて光栄です」
了承したと、受け取れないこともないコメント。
それに対して、感謝の言葉を奈々当主に、贈る。
そして、すでに、奈々当主が、誕生している事。
その事を、再確認してもらう。
「当主になっても何も出来ないですよ。
戦力もそれほど強くないですし」
「大丈夫、当主に武力は、必要ありません。
和を集団内に、作る能力の方が、重要です」
なんだかんだと、言ってる間に時間が、すぎる。
一門の当主は、奈々当主として認知されていく。
全個人勲功ランキング一位が、全力でサポート。
その事を、浅井家内の他一門に、伝えていく。
聞いてくる者もいたので、説明する。
終盤に向けての新体制が、確立した事を。
新しい体制に移行し、クライマックスを迎える。
まもなくファーストシーズン最後のイベント開始。
観念して当主を引き受けてくれた戦国女子。
一門チャットに挨拶してくれた。
予想以上に立派な挨拶だった。
過小評価させられていた。
彼女の謙遜が、あまりにも過大だったから。
らびさんメイドに、大阪名物みやげを、手渡す。
京都、金沢、新潟と、放浪した存在証明。
色々とゴールデンウィークにあったのだ。
特に、3月2日の夜から5日にかけて。
奈々女神聖地巡礼ミッションの第二弾。
らびさんメイドの前でネクタイを取り出した。
ここをこうしてくるっとまわしてからここへこう。
説明しながらネクタイを結ぶ。
らびさんメイドが、真剣な目で見つめてくれる。
最後のネクタイをキュッとしめるところでカンセイ。
「まさおさま、大好きです」
「えっ、あっ、はい、アリガタキ」
「何、照れてるんですか?」
「だって面と向かって言われるとやはり」
「言われ慣れてるくせに照れ照れじゃないですか」
「らびさん、大好きです」
「えっ、いやそんな、えっ、あっ、あっ」
自分だって面と向かって言われると照れる。
そんな可愛いメイドと、奈々様について話す。
るらメイドと、週替わりケーキについての話題。
何かアイデアが、あればと聞かれて即答。
「モンブラン」
「それは、難しいです」
「難しい?」
「はい、あのビヨーンとなるアレが」
「難しいのか」
「はい、ところで、なぜモンブランなんですか?」
奈々女神様の大好きなケーキである事を伝えた。
そして、ラヒ女神さまも大好きなケーキだから。
後書きをここまで書いて、らびさんに見てもらう。
「すごいです。
尊敬しますよ。
さっきの事が、文章になってるなんて!」
「アリガタキ」
褒めてもらって嬉しいこと、この上なし。
らびさんの指が、触れて投稿が、完了した。
それは、新たな世界が、また一つ誕生した瞬間。




