終わりで始まりの戦国女子奈々 3
奇跡は、何もしなければ起こらない。
夢は、何もしなければ叶わない。
現実化するには、想像思考して言葉にする。
言葉は、魂。
つまり、言霊。
あとは、その言葉を言い続けて、行動するのみ。
未所属の少女は、放浪の旅を楽しんでいた。
「いずれ、末席に加えて下されば嬉しいです」
すぐに入ってくれなかった。
前に所属していた一門で、いじめられたのか?
「色々と皆様には、良くしていただきました」
どうやら自分から一門を、離脱した少女。
「どうして、また」
もう間も無く、ファーストシーズンは、終わる。
一門の一位報酬は、それなりに良いはず。
なぜなのか、疑問に思ったのは、当然の事。
もちろん、辞めたかったから辞めたのだろうが。
しばらくして、返答してくれた。
心の奥にある思いを言葉にしてくれた。
「少し、私には、窮屈だったんです」
「なるほど」
浅井家一位の一門は、三十名近いメンバーが、いる。
そして、色々な一門との不戦やなんやらの取り決め。
色々な不自由さが、容易に想像できる。
この世界を自由に楽しもうとしている彼女。
大名チャットで発言し、全体チャットでも発言。
たんなる新参者の少女が、なかなかできない。
それを行った勇気を、称賛したのは、ついこの前。
戦国玄武一門内の事は、想像するしかない。
事なかれ主義、と言うか、あまり考えていない者。
本来であれば、彼女の鼓舞は、筆頭家老の役目だ。
しかし、戦国玄武の現当主は、自分を、お飾り当主。
そう言い切って、何も考えずにいる事を、明言。
浅井家が、最下位になっても別段、なにもなし。
どうなろうと何も思わない、という事らしい。
だからこそ、彼女の存在は、貴重だった。
浅井家の事を考えた上でのチャット発言。
もし、それが、無ければ、浅井家の滅亡もあり得た。
誰もいなくなった中で孤独に旗を立てている未来。
しかし、そうならずに浅井家は、反撃を開始した。
辞めようと考えていた者達も、思いとどまった。
そして、幾つもの城や砦を奪い返した。
その中で自分は、かなり頑張った方だと考えている。
それは、戦国女子奈々の言葉に魂が、しびれたから。
彼女のおかげで、頑張れた。
自分のためより誰かのために頑張る方が、頑張れる。
それが、正しい男というもの。
全個人制圧ランキングは、ベストテンぐらいだった。
それが、ランキング一位になったのは、彼女のせい。
もちろん、武田の戦花一門メンバーの功績も大きい。
なにしろ領土を制圧するには、旗が、必要。
その回収時間を短縮してくれたのだから。
全個人勲功ランキングは、もともと一位だった。
それが、ダントツの一位になっていた。
二位との差は、ありえないぐらいついていた。
ファーストシーズンの一位は、ほぼ確定。
十万ポイントという、大台も見えてきた。
それは、ある意味、彼女のおかげ。
尊敬の念を抱いてくれた少女のおかげ。
感謝するしかない。
さらに嬉しいことも言ってくれる。
「ずっと一緒にいてさしあげますよ。
そう、私は、まさおさまの影であり忍び」
「アリガタキ」
感謝のスタンプも送っておく。
ずっと一緒にいてくれる、との言葉に揺れる心。
かつて、そう言っていた者は、去っていった。
女神になる事を拒んで、去っていったのか?
それとも大言壮語の発言と、受け止められたのか?
過去に、思い描いていた未来予想図が、去来する。
世の中には、失敗というものは、存在しない。
経験を積んだ、と、考えれば良いそうだ。
何事も経験だった。
戦国女子奈々を中心にした物語が、脳裏に渦巻く。
幾つもの世界線が、無数に湧き上がる。
過去は、確定しているが、未来は、確定していない。
ファーストシーズンも残すところ、わずか十日ほど。
まもなく一週間の天下騒乱イベントが、開始。
それが、終われば決着の時。
つまり、時間は、まだある。
成し遂げる事が、出来るか分からない。
だが、やらなければ、始まらない。
やろうとしなければ、始まらない。
奇跡の軌跡は、困難で不可能そうに見える道。
《女神創造》の未来予想図。
道筋は、定まった。
あとは、彼女に楽しんでもらうだけ。
スタンプを、二つ送る。
『共にゆこう』
『戦国の頂点へ』
攻城戦と、砦戦には、いくつかの違いが、ある。
大きさなど色々あるが、もっとも大きな違い。
それは、砦戦の人数上限が、五名まで。
時間は、五分の準備時間と、十分の戦闘時間。
攻城戦は、全員参加可能。
五分の準備時間と、十五分の戦闘時間。
武田の砦だったはずの砦が、空き家になっていた。
所有者なしの砦を見つけたのは、かなりお昼過ぎ。
すでに二時を回っているまったりの時間。
旗を回収してどこに向かおうか、と、考えていた。
その砦に向けて領土を制圧していった。
特に誰も防衛する者のいない武田領土を突き進む。
一門メンバーは、全員ログアウト中だった。
戦国女子は、ログアウト中かログイン中か不明。
とりあえず、チャットのスタンプを送り反応を待つ。
砦戦を行うには、まず、砦周辺の領土が、必要。
普通は、防衛する者が、現れる。
所有者なしの砦だからか、あっさりたどり着いた。
二十名以上のメンバーは、全員ログアウト中。
単独だと、勝てるかどうか微妙。
守備は、十分間、防衛すれば良い。
守備隊は、さほど強くない。
序盤の頃ならいざ知らず、今なら、相対的に弱い。
だが、二十部隊と五倍の数。
待ち伏せの部隊で足止めされると厄介な事になる。
時間が、経てば、武田の他の一門が、来るだろう。
早い者勝ちの所有者無し砦。
未所属の戦国女子から、返信が、あった。
お仕事中だが、今から遅めのランチ休憩。
さっそく事情を説明する。
砦戦をしましょうというお誘い。
早くしないと砦は、他の大名領主のものになる。
「今、所有者無しの砦なので、AI守備隊が、五隊。
コチラ、他のメンバー全員ログアウト中。
一緒に砦戦、よろしくお願いします」
「砦戦ですか?
したことないです。
どうすればいいですか?」
「一門に入って砦の近くに行き参戦のアイコンを!」
よろしくお願いします、の、スタンプも送る。
一門への招待は、もうすでに送っている。
「砦戦終わったら、また、放浪の旅に出れますよね」
そんな戯言を言いながら、一門に入ってくれた。
すぐ、砦周辺に、奈々の里が、姿を現す。
「では、宣戦をお願いします」
「どうするんですか?」
「砦を押したら、アイコンが、出てきます。
右のアイコンで、宣戦となっているのを押して下さい」
すぐに砦戦開始の通知が、送られて来る。
「押しました。
初めて宣戦しました。
あとは、参戦ですね」
「そうです」
宣戦のアイコンが、参戦のアイコンに変わっている。
参戦を押すと、全体マップから砦内部のマップになる。
攻撃側は、本陣を設定する。
だいたい砦の本陣はひとつだけ。
選択の余地は、無い。
五分の準備期間で、あとは、見取り図を見るぐらい。
城門や要所の場所をマップで確認。
AI守備隊が、城門などに、部隊を移動させている。
「初めての砦戦です。
ドキドキですね。
他に誰も来ないんですか」
「砦戦の通知がいってらはずだから、来るかも」
「来なかったら二人だけですね。
相手は、五人、勝てるでしょうか?」
「楽しみましょう!
AI守備隊だから、いけるはず。
城門を攻めて、後は、要所を攻めましょう」
「かしこまりました」
こうして、初めての共同作業が、始まった。
2023年5月1日
らびさんの指が、触れて新しい世界が、投稿された。
奈々様の事を、話しあった。




