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黒猫探偵社   作者: 相沢 武久文
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洗脳魚

ポカポカと暖かい日、探偵社の黒猫も居眠りしている。夢野が面白い女の子がいると探 偵社に女の子を連れてきた。 その子は、小綺麗な姿のスーツを着たストレートの髪をした会社のOLだった。 何の変哲もない普通のOLだったが時々人をじっと見る癖が有るみたいだ。 あまり喋らない子だが時々不思議なことを言う子だった。岩田祥子と言うその子は、人 の頭に魚が喰らい付いているのが見えるらしい。祥子が言うには、「魚が尻尾をふりふり してモゴモゴと口を動かして頭に喰らい付いているんです」と言う。 居る人と居ない人が居るらしいのだが嘘を言っていると思えない真っ直ぐな視線をする 女の子だった。 優介が変わった子ですね。と聞いていると草太は何気に真剣になって聞いていた。 優介は、草太さんは超常現象は、信じないんじゃないんんですかと尋ねた。 草太は、現代科学が全ての事を表して居ると決めつける程烏滸がましくないよ。夢野に も言われたけどトリックを超常現象で片付けるのは、ダメだけど超常現象の可能性を全否 定したりは、しないよと言った。 夢野は誇らしげに「面白い女の子でしょ」「魚が人の心を食べているみたいなんです」 と言った。人の思想を食べると言うのだ。すぐに人間は考えを変えていく。その魚、つま り洗脳魚のせいらしいのだ。多分洗脳魚が無い人は苦しみから逃れられない。夢野は「人 間忘れないと」「生きていくのに人間は洗脳魚が必要なんでしょう」と言った。 草太は、「世の中の掃除なんだね」と頷いた。 洗脳魚は、人間の凝り固まった思想が好物の様だった。そして食べるとすぐ消えてしま うのだ。

夢野と祥子が帰った後、優介は一人皿の後片付けで皿を洗っていた。 優介はふと小学生の頃、女の子を集団でいじめした事を思い出した。 女の子をバイ菌扱いして誰も触ろうとしない。机も避けて蔑視していた。当時は、何の 罪悪感もなかったが今は無性に、嫌な、ムカムカした気持ちになった。台拭きに魚のイラ ストが描かれている優介はドキッとした。魚の絵が優介の心の印象に残った。その時黒猫 がシャーと大声を上げた。魚影がサッと逃げていった。洗脳魚だ。 優介は、その時この事は、忘れてはいけない事だからと思った。 夕方サラリーマンが道の真ん中で棒立ちで立ち尽くしている。ぼーっとしているが暫く すると何も無かった様にスタスタと家に帰って行く。祥子はガツガツした現代社会に揉ま れて今も暮らしている。


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