第07話:初の模擬戦
開始早々、草原は入力をはじめた。対する真は、何も入力しなかった。
「敵の心配するのもおかしいけど、あなた、大丈夫なの? 私はかなり強い武器を召喚したなの」
「全然大丈夫だ。寧ろ、あんたこそ平気か? そんな装備で」
真は草原に挑発を入れた。そんな安い挑発に、彼女は軽く乗ってしまった。
「調子に乗るな、なのー!」
草原は形相を変えて、真の胸元めがけて剣を突き刺してきた。
しかし、真は元々持っている剣で軽くはじき返した。
「どういうことなの!? 動きが速すぎるなの!」
「普通だろ」
「普通じゃないなの! あなた、レベルはいくつなの?」
「えーと、たしか、昨日みたらレベル2って書いてあったけど」
「そんなわけないなの。レベル24の私が、レベル2相手にはじかれるわけないなの。嘘をつくのも程々にしろなの!」
「いや、本当だから。てか戦闘中って、普通はこんな無駄話ばかりしないだろ。あー、もうめんどくさいからこっちから行かせてもらうぞ!」
真はもともと持っている剣で、草原を一発斬った。
「うりゃぁぁ!」
どうやら、最大HPの32分の1ぐらいのダメージが入ったようだ。あれ? そんだけ?
「いくら速くても、この程度では死なないなの。あなたのレベルなら、私が一発でもこの剣で斬れば、私の勝ちなの」
「逆に、俺があんたの攻撃を一度も受けずに、あと数十回攻撃が出来れば勝てるってことなんだろ?」
「そんなのありえないなの!」
「それはどうかな」
真は持ち前の剣の素早さで、一回、また一回と、草原に対して攻撃をしていった。
「……な!?」
「は!」
「なぁ!?」
「遅い!」
「なななな!?」
「もう一発!」
「なんでなのぉぉ~~」
そうして、真は見事に有言実行をした。草原を倒したのだ。
恵美も喜んでいるようだ。
「やったね、お兄ちゃん!」
「ああ、そうだな!」
戦いの後、草原の持っていたパソコンは真に渡された。その直後、1台のパソコンが真によって破壊された。
しかし、これで終わりではない。あと3人のパソコンを破壊しなければならないのだ。
ちなみにこの戦いのあと、草原の生活は急変した。毎日バイトとモンスターの討伐に追われることで、ようやく生活費が稼げているそうだ。
『はははは、はは……』と、苦笑いしながら頑張っているらしい。