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#:23 ~罠?それとも…~

久しぶりにPCの元へ帰ってきたので、とりあえず最終話の構造と更新を兼ねて執筆いたしました。では、またPCから離れます。では、(多分)暫くさようなら。

あれから、俺たちは度々社内で会うようになった。俺の立場上、夜の社長室での面会が多かった。別に、彼女との関係を内密にしているわけではない。ただ、やはり仕事もあるのに堂々といちゃついて、同僚や先輩に嫌味言われ苛められるのは彼女の方だろう。それは避けてやりたいと思っているのだ。


「神崎。今日、俺の家来ない?」


夜の社長室にて。神崎は、途端顔を真っ赤にした。分かりやすいやつだ。


「心配すんなよ。何もしないよ」


そう言ってやると、彼女は安堵の溜息を零した。ということは、彼女は俺に手出しされるのが嫌なのだろうか。なんて悶々と考えていると、神崎が口を開いた。


「じゃあ…あの、…っ」

「りょーかい。んじゃ、行くか」


微笑むと、微笑み返してくる。そんな彼女の一つ一つの仕草に俺がいちいちときめいていることは秘密だ。




「…私、帰ります…」


来ていきなりの一言。…それはないだろ。


「は?え?何で?」

「広すぎです…私には不釣合い。」

「何言ってるんだよ。別に、釣り合うだとか釣り合わないだとか、どうでもいいじゃん。」


初めての食事の時と同様、彼女は俯いていた。そんな彼女を、俺は腕で優しく包み込んだ。

彼女は顔を紅く染めながらも、抵抗することなく、ただ俺の胸に身を任せていた。

そんな彼女を、とても愛しく感じた。


「出しても…いい?」


何も考えずに、つい口から出てしまった言葉。けど、それは本心でもあった。

「手、出してもいい?」という、形上の許しを請う言葉。


しかし、「出してもいい?」しか聞かなかったために、彼女は何のことか分かっていない様子だった。

そして、小さな声で「え?」と聞き返してきた。


「だから…手。出してもいい?ってこと…ねぇ、いい?」


彼女は、顔を赤くするよりも固まってしまっていた。そんな彼女に、ゆっくりと顔を近づける。

そっと口付けを落とすと、彼女は俺を見つめた。


「………ちゅーだけなら…いい、です。」


「ちゅー」って…。俺は思わず笑みを溢す。彼女が、綺麗で可愛かったから。

そして俺は、彼女を勢いよくベッドに押し倒した。


「『ちゅー』だけで済まなかったら、ごめんね?」


手と手を絡ませ、今度は強引に「ちゅー」をする。

ああ、そんな可愛らしいものではなかった。


俺は彼女と、初めて「キス」と呼べるものをした。



「社長、おはようございまーす!」

「おはよう」


昨晩は、結局キスだけでは済まなかった。彼女はあのまま俺の家に泊まっていったが、朝目覚めるとそこに彼女の姿はなかった。彼女の携帯に電話をかけてみるが、応答はない。不審に思いつつも、仕事を休むわけにはいかない為、彼女のことを一旦隅に置いて会社に出勤した。


社長室についたら、オフィスまで行って彼女に会いに行こう。

そんな、呑気なことまで考えていた。



俺が罠に気づくまで、後少し――――――。



社長室に入室する。机に向かっていくと、机の上に何かが乗っていることに気が付く。

…紙?封筒?そんな類のものが見えた。

そして、その予想は見事にあたり、そして考えているよりもかなり最悪なものだった。


「退職願…?一体、誰からの…」


中を見て、思わず退職願を落とす。

そこには一言、「ごめんなさい」と書かれていた。そして、名前は…彼女だった。


「…退職願の書き方、なってねーっつの…」


ショックすぎて、そんな言葉しか出てこない。否、むしろ、「それしか出てこない」ではなく、「そう言葉に出したかった」のだ。退職願だ、と自分に言い聞かせた。


しかし、本当は気づいていた。






「退職願」という名の、自分への別れの手紙だと…

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