#:20 ~とうとう、いよいよ。~
段々サブタイトル考えるのが面倒くさくなってきました(黙
「………で、………だからです。志望理由は、………」
あれこれ考えている内に、時間は俺を待つことなく過ぎていくようだ。目の前にいる若い男は、スーツに身を包み、俺に一生懸命話し掛けている。しかし、俺はこの男を知らない。…ああ、そうえいば今は正社員の最終面接だったな。すっかり忘れていた。それにしても俺は、こんな空っぽの状態で相手に質問を投げかけていたのか。流石、今まで苦労してただけあるな。でも、それなら…俺、今まで頑張ったんだから。ちょっと位ひいきしちゃってもいいよねー?神様。
「…もういいよ、お疲れ」
この男の話を聞いても、上の空な俺。もう、この男の話は聞かなくてもいいと脳が信号を発した。だから、話を中断させてやった。この男にはなんの罪もないのだが…。しかし、いくら俺が神崎のことしか頭にないからといって(おれは神崎中毒か)気になったワードはちゃんと聞く。こんな平凡な話しか出来ない、俺の気を引くことも出来ないというのなら、神崎の存在がなくとも採用はしていない。
「…聞こえなかったかな?終わり。次がいるんでね」
俺の言葉を聞いて尚も固まっている男。理解できていないのか?そんな頭でうちの会社に入ってこようなんて、俺の会社もなめられたもんだな。そうじゃなくて、理解は出来ているがねばっているつもり…というのならば、それはそれで性質が悪い。つもりなだけに、余計悪い。言葉を発するならまだしも、無言でこの空間に居座っていやがる。
…決めた。こんな男に時間を使うのももったいない。
「出て行け」
一言、男を睨んで冷たく吐き捨てた。男は怯み、「ありがとうございました」とも「失礼しました」とも言わなかった。全く、機転も利かぬ礼儀も知らぬ、最悪の男だ。もう一人の男もこの調子なら、これはひいきしなくとも神崎を採用に出来るな。と、勝手に神崎が俺を納得させられることを言うと推測した。
それはそうと、こんな使えない男を最終面接まで残らせ、俺と顔合わせまでさせるなんて…後で社員達には、俺からのお説教という素晴らしいプレゼントをしてやろう。
*
「……です。志望理由は、この御社に不足と思われる『技術性』を伸ばすため、社員としてサポートしていきたかったからです。そして、…………」
二人目の男。おー。こいつ、女受けしそうな顔してるな。絶対女の扱い慣れてやがるな。でもまぁ、話を聞く限りでは会社での地位を得るために女使ってのし上がるような狡いやつじゃなさそうだ。スタイルは普通。仕事に関しては真面目そうなやつだ。それに、この会社に行きたいという気持ちが伝わってくる。現に、この会社の弱点まで調べているからな。こいつは使えそうだ。……うーん、ヤバい。神崎、ちゃんと受かってくれんのか?こいつ以上の発言をしねぇと、俺は入れないぞ…というのは嘘で、多分神崎の時は評価が甘くなるだろう。許してくれよ、中村と社員達。俺は社長失格かもな。いや、けど普段の行動を考えると…別にいいよな?少しくらいひいきしたって。そう、少しくらい…
「では、……さん。あなたはこの会社に入ったら、どこまでの地位になろうとお考えかな?」
恐らく珍しい質問だ。先程のやつは、そこまでの質問には辿り着かなかったが…さぁ、こいつはどんな面白いことを言うのか…楽しみだ。
「そうですね…次期社長ですかね」
なんだコイツ。スケールでけぇな。俺のあとを継ぐのか。流石、ヤル気のある面白いやつだな。
「でも、私があなたを絶対に次期社長に任命しないと言ったら?」
「それなら、一生平社員のままでしっかりサポートしていきたいです。」
おー。どうやらこいつは、特別地位にこだわっているわけではないようだ。珍しいやつだな。…このまま、合格にしてやりたいところだが…
「OK。もういいですよ。お疲れ様でした」
先程の能無しにはくれてやらなかった笑顔を、この男に向ける。男は、「ありがとうございました!」と元気いっぱいに言った。恐らく、かなり緊張していたために声のボリュームを間違えたのだろう。そしてそのまま、失礼しましたと言って出て行った。
こんなに疲れたことはなかった。たった20分で、作業もしていない。話を聞き、頭では考えているが…これはきっと、気疲れというやつだと思う。
…なんだ、次もいるのか。ああ、次が俺の目的の…。
疲れていて、もはや審査どころではなかったが気を取り直す。
そして、合図をかける。
「それでは、最後ですね。…神崎、奈緒さん。お入りください。」
俺の緊張度はMAX。そんな中、彼女は可愛らしい声で「失礼します」と言った。
散々な焦らしプr(ryすみません(爆)
次ですので、対面w
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