#:14 〜え、え?〜
高ちゃんに、「恋の病」と診断(?)されてから、俺の神崎に対する態度がおかしくなってしまった。ギクシャクしてしまう。え、何で?って、そんなもん俺にもわかんねーよ。
現在、放課後です。教室に、神崎と二人っきり。
な ぜ だ ! ?
「守………」
「あ〜〜〜〜〜っ、近寄るな!」
「は?…何で?」
「…俺、今…風邪引いてるんだよなぁ〜。はくしょっ!!ホラな、クシャミも止まらないんだよ。お嬢様のお前にうつすわけにはいかないし」
丁度なタイミングで出たクシャミに、少し感謝した。変なクシャミだったけど。
神崎は、少し不満そうな顔で首を傾げた。
「ふ〜ん?ホントに?まぁいいけどさ。その心がけはよろしいけど、あたしには絶対うつさないでよね!」
ええ、うつしませんとも。しかし、俺の心配はしてくれないんですか?
俺も不満を持ったが、なんとか押さえ込めた。うん、だって俺、身分下の方だもんな。今のところ。さっさと神崎と正式な婚約でもしてしまえば、きっと立場は逆転するはず!!そう願いつつ。けど、今の俺は神崎を避けまくってしまい、婚約どころではないのだ。
避けたくないけど…体が、無意識に。
「ねぇ。てか、あたしのこと避けてるでしょ??」
ギクーン(効果音)
勘付かれちゃった。
「いや、避けてねぇよ?ぜぇーんぜん!!なんでそうなるんだよ!」
「………避けてるじゃん。」
「避けてねぇっつの!」
「避けてる!」
「避けてねぇ!」
「してる!」
「してない!って、なんでいきなり言葉が簡単に…」
「とにかくっ!お願いだから、避けるとかはやめてよ!傷つくじゃん…」
「あ…ごめん。」
急に汐らしくなる神崎に、申し訳なさそうに言ってみる。
「うん、やめてね。」
汐らしくなったかと思えば、急に笑顔を向けてくる。どっちなんだよ…
そして、俺に背を向けて、自分の席へ向かおうとする。俺はその姿を、ただボーっとみつめていた。すると、神崎が机の脚に足を引っ掛け、バランスを崩して倒れそうになった。
「バカっ、あぶな…」
咄嗟に、神崎の腕をつかんだ。それと同時に、神崎は俺のほうに振り返る。そして、その瞬間びっくりした俺も、よろけてしまう。
「きゃっ…」
そんな、神崎の短い悲鳴が聞こえた直後に。
事件は、起こっていた。
「…………」
「…………」
微かに鼻に触れる、神崎の綺麗な髪。
顔全体にかかる、生暖かい空気。
そして、唇に触れる柔らかい感触。
うん、間違いない。
事故チュウだ。
※事故チュウ…事故で、キスをしてしまうこと。