○○○年 十月 八日
ここからは主人公の心境に変化が起こっていくお話と、別の物語についてのエピソードに触れるお話になります。数話で終了の予定です。
久し振りに冒険者らしい活動をした私は、改めて剣を手に亜人などと戦うことの必要性を痛感していた。
戦士ギルドが各国に広がるのは必然だと言える。──危険な亜人や魔物による被害は増える一方だ。
各地にあるギルドから情報が集められ、それを元に様々な執行をする者達──実際のところ、このギルドの権力者がどういった人達なのか、私達は知らされていないのだが……噂では拠点を持たず、各地を旅しながら活動をしているらしいが──集めた情報から、危険な地域に対し積極的に優秀な人材を派遣するよう取り計らったりするのだと言われている。
「まあ、噂だけどね」
ギルドの本拠地言われている場所は、ガレイレア大陸の南にある古い歴史を持つ国、リシュイースに存在すると言われている──だとすると、リシュイースに一番古くからある、戦士ギルドの始まりとなった「イオルスクス戦士ギルド」が総本山ということになるのだろうか。
しかし聞いた話では、イオルスクスは戦士ギルドを立ち上げた貴族の騎士(七英雄の仲間ともされ、十英雄の一人として語られている人物)が治めていた領土であり、肥沃な土地に安定した気候など、多くの農民が住む場所としては理想的な場所であるが──冒険者が求める立地では無いらしい。
戦士ギルドの大きさも、この街のギルドと比較してみても、さほどの違いは無い物だと聞いている。
各大都市の戦士ギルド長が集まって開かれるギルド会議には、その謎めいた重鎮も参加するという話だが、どんな人物なのかは噂の域を出ない情報しか聞いたことが無い。
今では多くの国を跨いで活動範囲を広げている戦士ギルドだ。一握りの人物が取り仕切っている訳では無いだろう、そうも聞いた。
戦士ギルドの上層部は、ある意味で──もっとも謎の多い人々の集まりと言えるだろう。
好奇心で探るには、あまりに広大な土地の中から──数人から数十人人物を捜し出すような羽目になるだろう。さすがの私も、そこまで根気よく彼らの正体を探ろうとは思わないが──メネレアの兄が監査官なので、上層部の人達はどういった人物なのかと聞いてみた。
「え? ギルドの重鎮と言われる人達ですか? う──ん、兄に聞いても『わからない』と言われましたよ。それなりの立場にある人が派遣されて来て会ったことがあるらしいですけれど、その人も自分のことを『上の方から言われて来た使い走り』だと言っていたそうですよ」
だがそれなら、重要事項を決定する人物がやはりいるのだろう指示する人間とされる人間がいるのは確かなのだから。
「私の上司は、ここルゲールト戦士ギルド長、ウォレスカー・メディオスだし、それ以上の上層部のことなんて、分かりっこないけどね」
多くのギルドを纏める役を引き受けている人達が、真っ当な人物であると期待することしかできないが──今までだって、様々な問題を解決してきたギルドだ。きっと優秀な人材達で構成されているのだろう……




