○○○年 九月 二十七日
以前登場したエルフの用事については、別に大した事柄ではなかったようです。
(ある薬草の入手についてローエンデインに頼ろうとしていたらしい)
私が受付に立っていると以前、行商人を探していたエルフの女がまたやって来た。今回は三人の仲間──二人は人間の男女で、もう一人はエルフの男だった(イケメンだけど、私の好みじゃない)。
彼らは階級章を見せてくるので、それを滞在名簿に書いて行く。
エルフの女の名前は「リュストミラーゼ・エヴェル・カリツァ」という名前だった。
彼女らは全員が鋼階級であった。今回は行商人を探しに来たのではなく、普通に依頼を受けに来たようだ。
彼らは森巨人を討伐しに行くつもりらしい。私はエルフ──リュストミラーゼを呼び止めて「ローエンデインさんの件は、もういいのですか」と尋ねた。
彼女は振り返り「覚えていてくれたの」と口にすると、こくりと頷いて言った。
「ええ、あの後しばらくしてから会えたわ。ありがとう」
美しく微笑むと彼女は、弓や背嚢を背負い直してギルドを出て行った。先に行っていた仲間たちもギルドの外で待っていたようだ。
その後、彼らは夕暮れ前に帰って来て、森巨人の耳や爪を受付に提出したらしい。私はその時は受付には居なかったのだけれど、彼らはなかなか優秀なパーティみたいね。
しばらくはこの街で活動して行くみたい。私たち受付嬢にとっても、優秀なパーティは大歓迎よ。この国にある古い諺にもあるわ。
「使えない専門家より、使える素人」がありがたいってね。
森巨人をトロルとしましたが、この世界では森と洞窟などに住む巨人を、こちら側の言葉で「トロル」と表記しました(ややこしいですね(笑))
この世界のギルド(地域によって呼称が異なると考えてください)では主に森巨人(もしくはコルム・ニルグ)、窟巨人と呼ばれる事が多い。冒険者達は「ニルグ」で森、窟両方の巨人を指す場合が多いらしい──(笑)




