○○○年 八月 三十一日
私がギルドの二階での書類整理や物資の点検をしていた一昨日の午後に、一階では何やらあったらしい。例の少年のパーティが、コボルドの君主を討伐して持ち帰った装備品が珍しい物だったらしく、鑑定士のコアムが大興奮したとか。
詳しいことは同僚たちにも分からないらしいの、なんでもギルド長が情報を漏らすことを禁じたらしい。
いずれにしてもコボルドの君主を倒せる強さを持ち、幸運までも持ち合わせているなんて……
いいえ、もうやめましょう。一人の冒険者にあまり思い入れをするのは良くないわ。
けどね……おそらくギルドで働いている者は皆、この少年に期待を寄せていると思うの。
何一つ代わり映えのしない日常に、突如として現れた若い冒険者が──今までなかったような結果を出して、どんどん成長していく──そんな物語の様な展開があるかと思うと、彼ら冒険者を陰ながら支えている私たちも、報われたような気持ちになるわ。
こんな小さな街の戦士ギルドで、多くのぼんくら冒険者を見てきた私たち……そんな中に、一石を投じる若い冒険者の登場に、胸踊らないわけがない。
他の冒険者たちも彼に刺激を受けて、少しは気合いを入れて欲しいものだ。
無理をしろとは言わない。
多少の無茶をできるようになりなさい。
無茶をできなくなると、後は老化していくだけよ。
──英雄ですらね。




