○○○年 七月 三日
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今回もちょっと真面目な話(世界観の話)かなぁ。登場する人物名は他の物語で登場します。(投稿するかは未定)
今年の夏はすぐにやって来た、もう少し遅くても「遅刻して!」なんて誰も怒らないと思うの。
こう暑いと冒険者たちも──どこか涼しい場所へ、飛んで行ってしまうんじゃない? 気ままに世界を旅して回るなんて、最高の自由じゃないかしら。
そうね、私も冒険者になるのもいいわね。危険かもしれないけれど、頼れる仲間がいれば、そういう生き方も悪くない。
……やめましょう、私に、そんな風に人と真っ直ぐに関わるなんて、できっこないわ。
今日は冒険者の来る数がやはり少なかった。あいつら、絶対に避暑地へ飛んで行ってるのよ。だってほら、頭から羽が生えているじゃない。
そんな風に考えてたら、頭に羽の生えてなさそうな冒険者が受付にやって来た。呈示された──戦士ギルドでは訪れたギルドに滞在登録を求めているの、何が起きるか分からないからね、いざというとき彼らは「戦力」になるのだから──階級章は金。
若く見えるのに凄いわ……けど、それよりも驚いたのが、階級章の下の所に宝石が付いていること。
徽章付き……それは、ギルドが認めた英雄候補と言うべき実力者の証。
私は初めて見るけれど、実在していたのね。
あまりのことに固まってしまっていると、受付の前で男が軽く咳払いをして、こちらの動揺を打ち消した。慌てて階級章に書かれた彼の名前を、滞在名簿に書き込む。
ウェシュナート・ザウ。
それが彼の名だった。
彼は封書を差し出した。封書の紅い封蝋に押された捺印は、戦士ギルドの……確かこれは、二つほど離れた街にあるギルドの捺印だ。
「アウムエイシアの戦士ギルド長から、ルゲールトの戦士ギルド長へ渡すよう言われて持って来た。俺は今日、この街で一泊したらベルデンの方に向かう予定なので、明日には消すよう書いておいてくれ」
と、滞在名簿を指差すと、颯爽とギルドを後にする。
言われた通り滞在名簿に一日だけの滞在であることを追記すると、同僚のメネレアに声をかけて、今来た冒険者のことを話すと。
「ええ!? 何で声をかけてくれなかったの! 見て見たかったのに! 徽章持ちの冒険者!」
と大興奮する。年下だけど、いつも落ち着いて仕事をしている彼女が初めて見せた──可愛らしい一面だった。
冒険者の前で、徽章持ちが来たから顔を見に来なさいよ、とは言えないでしょう、と断ると、彼女は赤面し「そ、それはそうよね……」と声の調子が消え入りそうになる。
ああ、同僚よ。ごめんなさい。
そんな弱々しくなったあなたを見ていると、保護欲が沸いてきて胸がきゅんきゅんするの。




