○○○年 七月 一日
もう七月、早いわね。
今日もいい天気……え? お見合いはどうなったかって?
父ぅぇ……お父さんは、顔を真っ赤にして怒っていたわ、それだけよ。
お父さんは、剣はからっきし、できることと言えば、持っている金を使っての金融業。金勘定と、商売の先行きの見通しだけは目聡いの。
戦士ギルドに行く前に、私はいつも軽い運動をしてから向かう、日課というやつね。
身体を鈍らせたくないの、弱い自分なんて考えられないわ。
「強くあれ」と祖父がよく言っていた。英雄と呼ばれていたが、用がなくなれば、あっと言う間に左遷よ、何が起きるか分からない。
だから、ねえ。
いつでも自分を守れるだけの強さを持ちなさい。祖父は稽古の終わりに、大抵こういうことを宣うの、年だから? いいえ違うわ。
良くないことはいつだって不意に訪れる、それに立ち向かうには、心も体も強くなければ立ち向かえない。それを祖父は他の人よりも、よく知っていたからよ。
若者よ戦士として強く、人として謙虚であれ。
これは大昔の英雄の言葉。
(冒険者よ)あなたもそれを、学びなさい。




