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三生の守り神  作者: LUCA
第1章 妖生
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その六

*2019/4/5 改稿

「そんなことが...」

話を終える頃には、わたし達は家へとたどり着いていた。

「知らずに辛いことを聞いてしまい、申し訳ありません。」

「ううん、もうそろそろ立ち直らないといけない頃ですから。部屋はいくつかあまってますから、好きな所を使ってください。」

悲しみを必死で隠そうとするわたしを、輝狐もまた、悲しげに見つめていた。

「瑠花さんの部屋も見せていただいていいでしょうか?」

そんな雰囲気を解消しようとしたのだろうか、輝狐は陽気な声で訊いてきた。そしてわたしが答えるよりも早く、寝室へと歩み入っていった。

「いいですけど...輝狐さんが見て面白いようなものは何もないですよ?」

後から部屋に入ってそう声をかける。実際、わたしの部屋には質素な勉強机に小説の詰まった本棚、そしてシングルベッドの他に生活感を感じさせるようなものはない。わたしは家族と共にいられる、リビングルームでばかり過ごしていたためである。

「いえ、せっかくですからこの姿のまま、瑠花さんと同じ部屋で寝泊まりしても良いでしょうか?」

狐の変化を解かずに、輝狐は我が物顔でベッドの上へと飛び乗った。

「変化とともに衣類や靴は隣次元りんじげんにしまっていて、足は汚くないのでご心配なく。」

「こんなつまらない部屋でよければ、いつでもどうぞ。」

彼女の気遣いを感じ、瑠花は微笑みながら承諾したのだった。

********************

「そろそろ起きないと遅刻しますよ!」

1週間ぶりの早起きに手間取りながらも、わたしは登校の準備をしていた。

「今行きます!!」

昨夜輝狐に説得されてしまい、悲しみを忘れるためにも、再び学校に行くことを決めたのだった。とはいえ、やはり1週間の空白は大きなプレッシャーとなっていた。

「大丈夫かな...?」

数日前とは違い、鮮やかな色の瞳が見返してくる。

「何も心配はありませんよ。私もついて行きますから。」

きつね色のハムスターに変化した輝狐が、通学カバンのポケットから顔を出して励ます。

「そうですよね...これ以上休み続けたら、余計辛くなるばかり。」

勇気付けられ、自分に言い聞かせるようにそう呟くと、わたしはいえの外へと歩みを進めた。

とりあえず今日の更新はここまでです。次回から少しずつ物語が進行していくと思いますので、またよろしくお願いします。

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