その三
中途半端に余った部分なので短いです。この後もう1部投稿しますのでご注意ください。
*2019/03/21 改稿
わたしはこの数分間の間に覚えきれないほどの情報を伝えられていた。世界には人生、妖生、神生の三つの種族、「三生」(さんしょう)が存在し、彼女、輝狐さんが現在人間、「人生」を守る神であること、三生の守り神が継承性であり彼女自身が元は妖生の妖狐であったこと、そして今度の後継として自分を指名したこと。そして何より、守り神を継いで妖生となることだけが、事故死から自らを救う唯一の手段であること。
「いきなりそんなこと言われても...」
「申し訳ありませんが、悩む時間はあまりありません。難しいとは思いますが、後1分ほどでご判断ください。」
これだけ長話をしておきながら1分で決めろとは、ひどい話だ。そう思いながらも、徐々に意識は与えられた選択肢へと向いていく。
死ねば、大好きなお母さんの下へ行ける。でも、お母さんにもらったこの命を、粗末に扱ってはいけないという気持ちもある。
「......ます...守り神、受け継ぎます!」
挫けそうになりながらも決心したわたしに、輝狐は優しく笑いかけてくれた。
「ありがとうございます、正しい選択をされたと思いますよ。」
彼女の言葉を聞くや否やわたしの視界は暗転し、同時に車が何かに衝突するような、耳障りな音が響いてきたのだった。