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五章

  開始の合図となる昼を知らせる鐘が鳴った。

俺は朝礼後に、四時間目終了後のクラス会議を尾崎とクラスの皆に提案し、受け入れられた。

今日はミーナ、優、小池を除いた全員の出席が叶った。

これにより、面倒は大きく軽減された。

クラス会議を知ってか知らずか、チャイムが鳴ると、国語教師の西川はすぐに教室を出ていった。

恐らく弁当を予約し忘れたのだろう、女子生徒三人組みが小走りで、後ろの引き戸から教室を出ようとした。

俺は走って後ろの引き戸の前に立ちはだかった。

「待てよ、まだここにいてくれ。ほらクラス会議だよ。どうしても腹が痛いっていうなら止めないけどさ」

卑怯な言い方に屈して、彼女達は黙って従った。

誰一人として、教室から外に出したくなかったので、朝礼の時に、四時間目前に絶対にトイレを済ましておくようにお願いしていた。

追い返した女子達が、違うグループの女子達に何か耳打ちしている。

女子の代表として、早苗がガンを飛ばしてくるので、俺は甘んじてそれを受け入れた。

早苗もやはり女の子で、俺がひるまずに視線で応戦すると、彼女の方から目をそらした。

ミーナがいないせいか、早苗は今朝から機嫌が良くない。

いつもと違い、ふてくされることなく、ただ落ち込む早苗を見ると、胸が痛んだ。

内なる情がうっとおしい。

前の引き戸からも三人組みの男子が出ていこうとしたが、そこはララがその弾力性のあるお腹で弾き飛ばした。

委員長兼、三人組のリーダー格である小泉はおおげさに、ドアと反対の教室の端まで吹き飛んだ。

彼はその演技がかったリアクションが売りなのだ。

この三人組はウケをとることへの欲求が人一倍強い。

「あいつら、ウケ狙ってんの見え見えなボケするじゃん、正直イタくない?」

嫉妬なのか、ライバル心なのかはわからないが、甲斐は小泉達を快く思っていなかった。

小泉はそこからロベルト・カルロスを意識した小刻みな助走をつけた。

彼の得意技だ。

小泉はそのままの勢いでララに突進するかと思ったが、ララの前で急ブレーキをかけた。

おもむろにララの張り詰めたワイシャツをめくり上げ、意外に綺麗な穴の深いへそに中指をねじこみ呪文を唱えた。

「開けデブ」

教室中の生徒が声高らかに笑った。

正直イタイ委員長は、満足げな顔でクラスを見渡した。

普段ならララならここで照れくさそうに道を空けて、キモさをアピールするか、可愛い表情を作って便乗してウケをとろうとするだろう。

しかし、いつものララとは違った。

ララは小泉を今度は両手で思いっきり押したおした。

小泉は背中を近くの机の角に強打した。

責任感からか、ララも気を張っているようだった。

笑い声が悲鳴に変わった。

小泉は腰を抑えながら口をぱくぱくさせてまたクラスを一渡り見渡した。

この状況でどんなフォローを求めていのだろう。

小泉は誰とも目が合わない。

皆、ララに注目を寄せている。

ララがここに存在していることすら、皆にとっては驚嘆の対象だろうが、加えてこの暴挙だ。

小泉が関心を勝ち取れるはずがない。

やりすぎの感もあったが、ララなりに仕事をしてくれた。

次は俺の番だ。

俺は早足で教壇に登った。

教壇に立つと注目が俺に乗り換えてきた。

二回咳払いをしてから架空のマイクを天高く突き上げた。

普段はクールで、いざ前にたてば喋れる奴。

今までだって、そのスタンスを貫いてきたはずだ。

きっと、皆もそんな俺を受け入れてくれる。

優に縁を切られてからといって、皆の俺に対する反応が変わることはなかった。

俺が築きあげてきた足場は案外丈夫だったようだが、優がいなきゃ意味はない。

「えー皆様方、ちょっとお耳を拝借。請謁ながら、僕の方から重大な発表をさせていただきます。」

教室がざわめく、亮太達が、いいねーまってましたーと喝采を送る。

「皆さん、ここのところ受験勉強でさぞ疲れていることだと思いますが・・・どうでしょうか? 少なくとも僕は疲弊しきっています」

真っ赤な嘘だ。

俺は受験勉強などしていない。

国立に、大学のブランドに興味を失った。

俺の未来など、投資できるだけの可能性を持たない。

俺は教壇の上を歩きまわった。

かかとを先に降ろし、最後につま先をつける。

イチローもマイケルジョーダンもこの歩き方をしていると何かの新書に載っていた。

この歩き方、さすがにトップアスリートたちが愛用しているだけあり、自然と背筋が伸びる。堂々と振舞うにはもってこいの作法だった。

皆に目配せした。歴史上の演説のカリスマ達をなぞる。

「実は、そんな皆さんに提案があるんです」

後ろのドアから見覚えのある理系の女子生徒が入ってこようとしたが、田仲が先に教室の中に入り鍵を閉めた。

2文の生徒が1文に侵入し、他の組の生徒を締め出している。

そんな異常事態に関心を持っていかれないよう、声を張り上げた。

「僕らのように毎日をできるだけ早く消化したいと思ったり、繰り返しの日々に飽きだしている人間には・・・きっと・・・きっと必要なものがあるはずなんです!」

この演説もアドリブで進行していると信じているララと田仲は、心配そうに俺を見てくる。

背徳心と共に一瞥すると、多少なりともその気持ちを感じ取ったのか、二人は怪訝そうにした。

それはなんですか? と亮太が叫ぶ。

俺はみのもんたばりにじらしてみた。

田仲が教室に入ろうとする女子生徒に文句を言われている。

女子生徒は一度は教壇に立つ俺に目を据えたが、すぐに据える先を田仲の眼差しにもどし、音は聞こえなかったがおそらく舌打ちしてから、引き戸を蹴りつけた。

その音は聞き取れた。

田仲はびびっていたはずだが、どうにか引き戸の門番を務めている。

俺は空気のマイクの尻をあげた。

コードレスだからどんなアクションにも対応できる。

「それは・・・刺激ですー」

すーの後半は息だけでのばした。

最初から全開のボリュームを搾り出す必要はない。

疲れてしまうし、抑揚がつけられない。

これはとある歌舞伎町ホストクラブのドキュメンタリー番組で、仕入れた知識だ。

ドンぺリコールのコツを教えるときに、カリスマホストが新米ホストにむかって言っていたことだ。

彼らは人を惹きつけるのが仕事だから、今の俺には見習うべき点がたくさんある。

「皆さん!」

ここは大きめのボリュームで言った。

「刺激をほしくはありませんか!? 見ることの叶わない来年のワールドカップも吹っ飛ぶくらいの」

少し前まで、俺はサッカーのダイジェスト番組テレビ局の種類関係なく、すべて欠かさずに見ていた。

俺たちの話題の中でもっとも多い割合を占めていたのは欧州のサッカー事情だった。

早弁をしながら、キーパーから順にフォワードまでの11個のポジションを四人で埋めていくのが楽しかった。

たまに自分の番まで待ちきれなくなった甲斐が、俊樹や佐藤の順番を飛ばしてしまうこともあったが、今となれば懐かしい思い出だ。

男子から声があがった、今度はbullyじゃなかった。

ここからは更に気合をいれないといけない。

音楽の時間に習った発声方法を使う。

あくびをするときのように喉を開いて腹の底から声を出す。

ボリュームやトーンの調整は喉の開き具合で行う。

ようは腹式呼吸だ。

次なる盛り上がりを予感させるよう、静かに、厳かに、立ち振舞う。

「それこそもう宇宙規模の刺激、スターウォーズなんてどうかな?」

言っている意味なんてわかっているはずもないが、異常な雰囲気に皆は沸き立ち、席を立つ。予想通り、イベントを予感させる語感に弱い女子達は、目をきらつかせて俺を見つめてきた。座っていた早苗も他の女子達につられて立ち上がった。

しつこく腰をなでる小泉がようやくフォローを諦めて立ち上がり、自分の机にばつの悪そうな顔をして小走りで向かった。

席についてからもさっきの自分を言い訳するように、しきりに隣の男子に話しかけていた。

委員長の席は最前列だから、会話が筒抜けだった。

「なんなんだよなー、あのデブわけわかんねーべ」

彼の興味は俺が独占しているため、適当にあしらわれていた。

小泉がしつこく反応を求めると「今いいとこなんだから、静かにしろよ」と叱られ、小泉はようやく可哀想な自分を受け入れた。

教壇からは教室中が見渡せる。

優の空席もしっかりと、視野に収められていた。

教室が熱気と興奮を帯びだした。

他のクラスの奴らが、前と後ろの引き戸の摩擦ガラスごしに俺を見てくる。

ララが分厚い手をそこにかぶせた。

実際にはガラスの摩擦は荒く、中で何が起きているかわかるはずもないので、野次馬の視界を遮る必要はなかった。

この学校ではクラス内のイベントを妨害することほど、野暮なことはないので、喧騒ぐらいで教師を呼ばれる心配はない。

クラスごとに鎖国体制を引く我が校において、このように教室を締め切ることは、そう珍しい事でもないのだ。

俺は優の席と対極にある自分の空席を見つめた。

ずいぶん遠い。

「で、スターウォーズには欠かせない悪役に、ある一人の生徒が立候補してくれました。いや、主役というべきかな」

急にペースを落とす。

「そんな目立ちたがり屋の彼の名は」

ここらまた走り出す。

「小池弘文君!」

緩急の差も利用。

使えるものはつかっとく、詰めすぎくらいでちょうどいい。

皆は小池の名前を聞くとお互いの顔を見合わせた。

小池が絡み、しかもワールドカップが吹っ飛ぶくらいの刺激とくれば、脳細胞使いすぎの彼らの脳みそも活性化するというものだ。

ノイローゼの半数程が小池ならば、と乗り気になってきたのがわかった。

いじり倒してやろう、というぐらいの気概だろうか。

残りの半数程はガキな遊びに興味がないか、人を汚したがらない心根の優しい奴ら。

そして、俺の協力者である二人。

見るまでもなく、呆気にとられているのだろう。

俺はちなみに、と鎖をいれてから続けた。

「ベーダーの音声付の仮面は四千円もしました。手痛い出費です。でも、我らが友の小池君のためなら、金は惜しみません」

無駄な説明を入れば、せっかくの高いテンションが一度途切れてしまう。

そうすれば、彼らの関心に逃げる隙をあたえることになる。

だから、仮面は買ったと言った。

ララがなにか言いたげな様子だ。

想定される答えが多すぎて、何を言いたげなのかは測りかねる。

教室がどっと沸く。

完成度は重要で、本当なら自分で出費してでも全身にまとえるコスチュームがよかったのだが、値札の数字の数を横向きに数えてみると、すぐに諦めた。

男子数人が奇声をあげる。

またまた、亮太達だ。

いつのまにか男子内で小池コールが始まっていた。

俺の席の左側で俊樹が人一倍の発声をすると、右側の佐藤は顔を覆いこむように、机の上で腕を固めた。

何らかのトラウマに引っかかったのかもしれなかった。

亮太達が早く初めてー、と叫ぶ。

冷静に考えれば恐ろしい状況。

ララを見ると、こちらをボケっとした面で見つめる。

いじめというワードがしっくりこないのだろう。

クラスの女子は警戒心を抱きだした。

訝った顔で俺を見る。

男子は目をきらきらさせて俺を見る。

俺は掃除ロッカーまで走った。

勢いに乗るためだ。

いじめはノリだよ、と以前甲斐が言っていていたことを思い出す。

甲斐にしては珍しく正論だ。

おれはロッカーの窪みに手をはめた。

「オープンです」

埃っぽいロッカーの中から、生渇きのモップと一緒に、校則違反の灰色のカーディガンを羽織ったダースベーダーが転がり落ちてきた。

ベーダー卿の仮面の耳と鼻の部分が削げ落ちている。

鼻は呼吸するために、耳は恐怖するために、それぞれ俺が切り取った。

ララみたいなマニアはグッツを大切にするだろうから、もし今がまともな状況だったなら、きっと怒っただろうな。

おとといの夜にララに借りた仮面はすごく繊細に仕上がっている。

表面だけじゃない、その下にあるボタンを押せば音声が流れる。

いとこが文化祭のだしもので使いたがっているからしばらくの間貸してほしい、と頼むとララは快諾した。

ドアの前で固っていたララは力なくなった様子で、ドアに預けた体をズズッと落とした。

小柄なベーダー卿はそうとう衰弱していた。

手足を縛り、朝からずっとここに入れっぱなしにしていたせいだろう。

声を出せないように仮面の下の口にはガムテープを巻いた。

これらの作業は、俺と亮太で協力して行った。

一瞬皆の声が止まった。ダースベーダーが縛られているシーンはたぶんないだろうし、なにより人が縛られてロッカーに監禁されているのだ、戸惑うのはしかたがないことだ。

これが「いじり」の領域を超えていることは明瞭であり「いじめ」の解禁式にほかならなかった。

ノイローゼの彼ならば、死神がこしらえた船にも乗ってくるだろうよ。

なにより、今は歯止めをきかせる奴もいない。

ここが大一番だった。

皆が俺の行為をいきすぎだと判断し拒絶したら作戦は失敗だ。

俺の計算は正しかった。

小池コールが始まった。

連中はこの犯罪まがいの行為は受け入れたのだ。

受験ノイローゼにかかっている彼らが、「いじめ」という学生内で、最もポピュラーでガツンと来る刺激をみすみす見逃すはずが無かった。

そもそも、彼らにはいじめを行う素養がある。

すでに「俺」で実証ずみだ。

彼らの野性が解き放たれた。

再び、俺は架空のマイクを握り大声で叫んだ。

空気を掴み続ける指が疲労から痙攣する。

「はじまりーはじまりー」

池袋ウエストゲートパークの窪塚を意識した。

邪魔な生乾きのポップを足で端によせると、ベーダー卿を一番後ろの机のないスペースに引っ張っていった。

耳だけでひっぱっていこうと思ったが、びきっという千切れそうな音がしたので首根っこに持ち替えた。

ロボットのように無心になるよう努めた。

持っていく過程で、彼の顔が小柄なために仮面がはずれかけたが、すぐに抑えつけたのでなんとか皆に見られずにすんだ。

だが、肝心の自分が刹那的に見てしまった。

しょせん人間の俺はそのせいで、皆より一足先にめまいを感じた。

胃から酸っぱいものが込み上げてきたが、喉の手前の方で飲み込んだ。

俺はベーダー卿を空きスペースに投げ飛ばした。

恐ろしい。

この作戦を決行する前に目的のためなら手段を選ばない、そう固く誓ったはずなのに。

恐ろしい。

だが、生半可な覚悟ではない・・・俺はやるんだ。

手が使えないなか頭から落ちるのを嫌がり、背中で不時着陸した。

ベーダー卿の体がタイルの床で少しバウンドした気がする。

クラスの誰かが「いたそー」と叫ぶ。

「こほこほ」と「ぜーぜー」の音を足した咳をした。

「ごーほこーほ」

口に張られた(音が漏れているところから察するに)はがれかけた粘着テープを通して聞こえてくる痛そうな咳の音は、皮肉にもダースベーダーの呼吸音にそっくりだった。

皆はその音に喜んだ。

「なんだよボイスチェンジャーいらずじゃん。意外に乗り気かい?」

あの頃と変わらない。

普段は気の良い奴らなのだろうが、腹の底にはしっかりと修羅の部分を溜め込んでいる。

何気なく舌を動かすと、上唇が乾燥しているのがわかった。

もう冬だから。

緊張もあいまってか、随分かさかさで、それに少し痛む。

改めてなめてやったら、ずいぶんしみた。

「ダースベーダーきたー」

「本もんだ」

皆、馬鹿みたいに喜ぶ。

彼らの偏差値からは想像できないだろう。

こいつらの内の何人かは、去年の模試の偏差値とそれに応じた順位が掲載されている小冊子の上位に、堂々と名を連ねていた。

亮太の取り巻きである慶介が、首をフォースで圧迫させられた真似をする。

重ねた両手で自分の喉をおさえる。

「が、がは、オビワン」

そんなシーンがあったかどうかは知らないが、おかげで盛り上がりは絶頂を迎えた。

少数だが、なんだかんだで笑っている女子もいる。

野次馬精神、怖いもの見たさ、人の不幸見たさ、今の彼女達には我慢できないだろう。

俺を咎める気配がない。

早苗は俺の方をちらちら見てくる。

俺の機嫌を伺っているようだった。

友情をこんな形で利用したくはないが、女子達を味方につけるにはそのリーダー核であるこいつが重要だ。

己に対する憤りを抑えて、早苗に目配せすると、彼女は怯えたように小さく頷き、S気まんまんの目線をベーダー卿一点に集中させる。

装いも甚だしく。

俺はベーダー卿の胸に下がるボイスユニット部のボタンのうちの一つを、適当に選んで押した。

すると「Don`t make me destoroy you」という音声が流れた。

ボイスチェンジャーにはこの他にも四つの音声と、おなじみの呼吸音が録音されている。

その他にも優れた機能が揃っていて、例えば、マスクの内側についている小型マイクは吹き込まれた音声をベーダー卿のものに変換することができる。

だが、この機能はマイクと口の位置関係が重要らしく、中身が自主的にマスクを被っているわけではないので活用することができなかった。

他の四つのボタンも押してみたが、盛り上がった観衆の声にかき消されてしまった。

最初のうちは、転がるベーダー卿を見ていると、いてもたってもいられなくなったが、次第に気持ちが落ち着いてくると、信じられないほどに心が冷めた。

心が腐っていくようだった。

俺は床に転がるベーダーを蹴りとばした。

するとどうしたことか、急に寂しくなった。

だからもう一度蹴り飛ばした。

bullyが俺に続く。

さらに皆も続いてベーダーを蹴り飛ばす。

俊樹は後ろの方で声援を送り、盛り上げる係に徹していた。

佐藤は机に突っ伏している。

亮達までは蹴り飛ばすのを手加減していたようだが、他の皆は容赦ない力で自分達のストレスをぶつけている。

早苗の取り巻きの女子達も参加する。

「えっ、なにこれ蹴らなきゃまずい雰囲気じゃない」

「もうこれやるしかないよね?」

えいっと、か弱い声を出してつま先で脇を蹴りつける。

肝心の早苗は口でははしゃいでいるが、手も足も出していない。

そのことを気にしてか、うつむき加減で、申し訳なさげにする。

いつも俺につっかかってくる明るく生意気な、でも憎めない早苗は影を潜めている。

彼女に向かって微笑みを含みながら頷いた。

十分だ、と言いたかった。

早苗には悪いが、ミーナがいなくてよかったと思う。

「えー、か弱い声だしてる割に、蹴る力強いなー」

「あはっ、私ストレス溜まってたっぽい」

「おっかねー」

「でも、勇ましいのもあり」

男子が女子を賞賛する。

この時点で俺が目指した男女混合のいじめが成立した。

俺は輪の中を潜りかきわけて、やっとの思いで抜け出した。

誰も俺が抜け出すのを止めなかった。

このいじめは俺がいなくても続行される。

このいじめは俺のものから俺達のものへと変わったのだ。

成し遂げたのか・・・成し遂げたんだな。

後ろの方の席の椅子は、高台から見物しようとする野次馬達に持っていかれてしまい、俺は仕方なく真ん中まで下り机の上にじかに座った。

俺が重心をずらすと、その方向に机も傾く。

机が不安定なのは俺の席だけじゃないらしい。

ここからなら見晴らしがいい。

椅子の上に立って輪の中を覗く邪魔なやつらも、ここなら傍観の妨げにはならない。

本当に疲れた。

あとは静観しよう。

輪から外れてみると、その輪が予想以上に大規模なものだとわかった。

人から人へと輪は拡大していく。凶気が感染していくようだった。

この教室の中で輪に参加していない人数の方が少ない。

門番を務める田仲とララ。

リアルに興味を持たない三人のオタク君達と、大人で定評のあるクラス内カップルの神林と友里。

気弱そうな女子3人に、有利な情勢のオセロのように席の左右の最前列の角を務めている根暗男子二人だけだ。

これから先、俺は絶対に前後どちらの扉にも顔をむけないと決めていた。

ララや田仲と顔があってしまうと、あいつらが文句を言いに来るかもしれない。

それでもめれば皆の注意がこっちの騒動に寄ってくるかもしれない。

ここで水を指すような真似をされては困るのだ。

ララと田仲にはこのまま「わけもわからず立ちすくむ」の状況を続けてもらう。

俺から数えて10人目ぐらいの奴は今までの形式を無視して、頭を蹴り上げた。

他の生徒が足でベーダーの背をおさえつけているため、ベーダーの首だけが斜め後ろに跳ねた。

その拍子にベーダー卿の仮面がはじけとんだ。

中身が正体を現した。

集まるのが遅れてなかなか輪に入れずにいた奥の男子達が、飛んだ仮面を球場でホームランボールをとろうとする輩のように、我先に追いかけていく。

蹴られた衝撃で仰向けに倒れていた中身が、腹を皆に見せる姿勢になった。

一瞬、教室の時間が止まった。

帯びていた熱がまたたくまに冷めていく。

争いの末に仮面を手に入れたのは小泉だった。

その仮面をいかして一発おもしろいことでもすれば、さっきの名誉挽回になると考えたのだろう、小泉は棒立ちする群集を押しのけて中身の顔を踏み仮面をかざした。

「うおー」

耳を劈く大きな声だ。

「敵将討ち取ったり!」

言い終えてようやく気づいたみたいだ。

ベーダーを囲む人間の馬鹿騒ぎする声が聞こえない。

うつむいたり、震えたり、中には座り込んで頭を抱える奴もいる。

小泉は怯える群衆の視線をたどった。

そして、誰かの顔を踏みつけた足を、ゆっくりと持ち上げた。

足裏から顔が見えてきた。

小泉も制止した。

誰?

一瞬、俺にもわからなくなるほど優の顔は醜かった。

顔の腫れや唇の切れ目のこととかそんなのは関係ない、何度も蹴りつけられたのだから、顔が変形するのはしかたがない。

だが、この表情はなんだ。

大型犬に威嚇された子犬のように歯を食いしばり、目の角度を少しきつくして、目頭には涙をためている。

プライドや闘争本能のためじゃない、自分を守るろうとするために、必死に微力な威嚇をしている。

これじゃ別人だ。

最近、俺は優の新しい顔をたくさん見ている。

冷めたはずの心がふつふつと煮えくりかえる。

表現しがたい感情が渦巻く。

優を足蹴にした連中にたいして、黙って震えている連中に対して、優に対して。

そして、この状況をつくりあげた張本人に対して、この感情のベクトルは向いている。

今すぐ友に駆け寄りたい、でも、それをすれば全ては台無しになる。

どうすればいいのか、わからない。

どうもしたくない。

もう、どうでもいい。

停滞した思考の中、目的を達成しなくては、という意志だけが呪縛となり、鉛のように重い体に動けと命じていた。



 クラスの皆があげた叫び声が耳をつんざいた。

叫び声は絶頂を迎える。

そして、次の反応は応答のない質疑。

そのまた次の反応は挙動不審だった。

先に進むには俺の行動が必要だ。

俺はこめかみに流れていた汗を拭ってから、「こいうことです」と言い。

「さあ、続きを」とさっきのみんなに負けないように叫んだ。

皆が俺に振り向いた。

「どうした? なんで続けないんだよ」

胸の奥にわだかまった熱は、再び冷めていく。

「斎藤君、どうしよう、優ちゃんだよ」

静止画のような群衆に何度も肩をぶつけながら、千鳥足で早苗が俺の方へ寄ってきた。

自分の体を支える気力もないようだった。

俺は早苗の肩に手を乗せると、群衆に向かって語りかけた。

「今更手を止めることはないよ。ごめんなさい、斎藤君にはめられました。それで皆の暴挙が許されると思うか」

「て、てめーはめたのか!」

小泉がベーダーの仮面をこちらに投げつけてきた。

狙いが外れたのだろう、早苗の方へ飛んでいったそれを、先ほどまで彼女の肩に置いていた手で払い落した。

それを拾い上げ、群衆に見えやすいよう掲げると、仮面を一回転させた。

「小泉、よく考えてくれ。優の耳にも、目にもプラスチックの仮面はなかった。こいつは全部知ってるんだよ。それでも、こらから先、友達を続けていけると思う・・・」

俺がしゃべり終わる前に、小泉が俺のワイシャツの胸倉を掴んだ。

先月から冬服の学ランを身につけるているのだが、基本的に教室の室温は高く設定されるので、俺を含め、学ランを纏っている男子生徒はほとんどいない。

体内で響く鈍い音を聞いてから床に突っ伏した。

頭の後ろで甲高い叫び声が聞こえた。

多分、早苗のものだろう。

運動部に所属しているだけあり体格の良い小泉は、俺を殴りつけていた。

予想していた分、心の受け身をとれたが、効いた。

口いっぱいに血の味が広がる。

俺は震える膝を支えに立ち上がると、荒い呼吸をする小泉のワイシャツの胸倉を掴み、顔を寄せ、ささやいた。

「優がこうなった今、クラスをまとめるのはお前しかいない。これからはお前がリーダーだ。選べよ。残りの学園生活を懺悔にあてるか、笑って過ごすか。優は俺を許さなかった。お前はどうかな?」

小泉は更に呼吸を荒らげていたが、同時に考え込むようにうつむいた。

その間、悲鳴と罵声だけがこのクラスの音となった。

「そうだ、そうだよ・・・やるしかない」

小泉の表情は決意のそれだった。

群衆の方から女子が泣き喚く。

「あんたまで、何言ってんのよ!」

腕に顔をうずめた男子が涙声で唸る。

「そんなん、できるわけねーよ」

「しかたねーんだよ!」

俺が声を発しようとした直前に小泉が言った。

衝撃的な展開に気を取られて皆に忘れられていた優は、顔や腹を中心的に体全体をいたわるように触りながら、痛くてしょうがないという様子で、うずくまったり、転がったりしている。床近くでの優の様子の一部始終が俺の位置から見えるのは、優を囲んでいた群衆が徐々に離散していったからだった。

「じゃ、じゃあお前らはこのまま俺達が許されると思ってんのかよ? 無理じゃねーかな、どう考えても。こいつだって、ゆるされてねーじゃんか、こんなにぼこぼこにして、ここで選択を誤れば、俺達は残りの2年間を俺たちは後悔し続けなきゃならなくなる」

小泉の指は俺を指していた。

それをかわすようにその場から、優の元へと移動した。

自動的に、人垣は切り開かれ道ができた。

優の口に張り付けられていたガムテープは完全に剥がれていて、優が何かを口走ろうとしたので、噛まれないように気をつけながら彼の口に手を押しつけた。

「見てみろよ」

両手首と両足首を拘束していたガムテープも引きちぎられていた。

激しい抵抗の形跡だった。

余った方の腕を優の胴体に回し、体を持ち上げた。

優は抵抗しただろうが、それと感じられるほどの力は感じられなかった。

体に触れられるだけで痛いのだろう、あるいは怖いのだろう。優はうめき声と、自由な左手で俺を振り払おうとした。

抵抗されたままでの進行は難しいので、その左手の手首をひねり掴み、彼自身の背の後ろに回した。

後ろに回した手を俺に寄せれば寄せるほど、ひねった手首の回転度を上げれば上げるほど、優のうめき声は激しくなる。

やがて、拘束の程度を調整し、優を静かにすることに成功した。

こんなことすらやってのける自分が信じられない。

もう、心がスカスカだ。

「俺達のせいで、優はこんに惨めになっちまったよ。覚悟を決めるしかないんじゃないのかな? 罪悪感を持ちながら受験勉強に励むのは大変だろな。勉強の合間に優を蹴りあげたことを悔いる・・・地獄だ」

皆、よくもお前がしゃあしゃあと言えるなといった面持ちで、俺を見つめる。

視界の端で立ちすくむ俊樹の半身が映ったが、見えてないものとして処理した。

「自分達で選択してほしい。でも、それは単に個人としてのものじゃない、これはクラスとしての、1文としての選択だ。俺達はどうするべきなのかを決めてくれ」

「簡単だよ。まずはてめーをボコした後、優にわび入れりゃいい。殺してやんよ」

本当に殺しかねない剣幕で、bullyの特攻隊長である慶介が茶色い前髪をかきあげながら俺に詰め寄ってきた。

ずっと、沈黙していたbullyの三人は、いつのまにか、教室の引き戸の近くに陣取っていた。

逃げ道を断ち、確保したかったのだろう。

亮太の意志でないことは確かだ。

門番だったはずの田仲は頬をおさえながら、座りこんでいる。

また殴られるのか、と思うと体が硬直した。

だが、その前に亮太が彼の肩を掴み、代わりに俺の方へ寄ってきた。

終始下を向いていた亮太がこちらに向かってゆっくりと歩み寄ってきた。

優が激しく抵抗を示したので、再び拘束の調整にあくせくした。

「ジョーカーを切ろうか」

亮太は俺の耳元まで顔を寄せ、そう呟いた。

その声があまりに不吉で思わず振り向くと、そこには感情の爆発した笑顔があった。

甲斐のものなんて比にならない冷笑だった。

狼狽した。

優のうめき声が亮太を激しく拒絶していた。

今朝、優の拘束を行う時、後ろめたさからなかなか作業の進まない俺とは違い、亮太は極めて迅速に優を縛り上げていた。

最初に優を無抵抗な状態にするための暴力も、亮太が進んで引き受けた。

その登場に驚いた優を当然の成り行きのように殴りつけた亮太は怖かった。

その行動は絶対にまともじゃないはずなのに、妙な説得力を持っていた。

「俺の出番は後だね。切り札は最後までとっておくもんだろ」

優を殴った時点で逃げ道はなにはずだったので、その意図はわからなかった。

俺の意志を試しているのか、あるいは俺と優の皮肉を楽しんでいるのか。

亮太が声を張った。

彼がクラス全体に対して発言するのは久しぶりのことだった。

「皆、俺の意見を聞いてくれ。斎藤にはめられたのはしゃくだけど、俺も優一をいじめるしかないと思う。苦渋の選択かもしれないが、ものは考えようだ。俺たちは最初から優をいじめたかったのだと思えばいい。もともと、いじめなんてのは突発的で理不尽なものだろ? 被害者がクラスの心優しきリーダーでも不思議じゃない。俺たちは優一をいじめて受験のストレスを発散する。それでいいじゃないか」

何ほざいてんだ、と喰ってかかった男子生徒、金沢にbullyの義人が物凄いスピードで駆け寄り力ずくで抑え込んだ。

亮太が首を横に振ると、義人は金澤を解放した。

まるでマフィアのやりとりだった。

「かつて、斎藤をいじめた時」

そこで一拍置くと、亮太は俺を見つめた。

「すべては俺のせいということで片付いた。確かにあのいじめは俺が先導したものだ。報いは受けて当然だと思う。皆はそしらぬ顔で過ごしてきたよな。それも、斉藤が皆を許したのだからしかたない」

亮太は優へ近づくと、後ろ髪を乱暴に掴み持ちあげた。

早苗をなぐさめていた集団から悲痛な叫びがあがった。

優の口元にやった手に大量の唾液を感じる。

「あのときとは決定的に違うことがわかるか? それは責任の所在だ。斉藤はもちろん、実際に手をあげたお前らも裁かれることになる。なあ小泉、お前にいたっては「いじめよう」発言だもんな。逃げ道なんかどこにもない」

亮太は小泉のもとまで行き、ポンポンと肩を叩いた。

俺の視界からは小柄な亮太の体に大柄な小泉の体がすっぽり埋まってしまった。

なんらかのやりとりが行われたようで、小泉はちりぢりのクラスを見渡すようにその場で半周した。

「優を・・・いじめよう。俺は亮太の意見に賛成するよ」

何言ってんのよ、と早苗を介抱していた女子集団の一人が唸った。

亮太は顔の前で、手のひらをひらひらと揺らした。

彼女をいなす様なジェスチャーだ。

「このクラスのモラルを定義づけるのは俺たちだ。俺たちが罪じゃないと判断すれば、罪悪感なんてものはなくなる。ここで俺たちが間違いを犯したなんて認めてみろ、それは1文の崩壊を招くことになるんだ。そして、1文の崩壊は1文に所属する個人の崩壊でもある。さっき、斎藤が言った意味をよく考えろ。皆はクラスとしての、そして皆自身の選択をせまられているんだ」

体の側面に風を感じた。

佐藤が駆け足で俺の横を通り過ぎていた。

俺が拘束する優の元にひざまずき、俺は関係ないよ、と弁明する佐藤がはじけ飛んだ。

放たれた亮太の片足が着地するところだけが見えた。

二人の体格はそう変わらないのに、子犬が大人に蹴飛ばされたように錯覚した。

「俺たちはクラスだ。関係ない奴なんていない。このクラスからいじめを取り除いたのは誰だ? 斎藤のいじめがなくなり、俺が失脚することになったのは誰の意思だ? 優はこのクラスに失望してるんじゃないのか? こうして俺たちが話し合ってる間にも、どうして自分を助けてくれないのか、と嘆いているんじゃないのか? そうじゃないというなら、優一の口から斎藤の手を離してもらおうか?  どんな言葉が飛び出すかな? いや、仮に言葉では偽ろうとも、優一の本音はどこにあるのかな」

そうだ。その気なら、俺を殴り飛ばしてでも優を助ければいい。

bullyだって、残りの30人で囲めば容易につぶせるはずだ。

皆、心のどこかで優の解放を恐れているのだ。

「そうだよ、仕方無いよ。優ちゃんは運が悪いんだよね・・・だから、いじめにあうんだよ」

そう言いながらも、早苗は涙を垂れ流し、体がひくつかせている。

「早苗! なに言ってんのよ・・・そんなこと嫌!」

早苗を介抱していた女子生徒は早苗を押し飛ばし、引き戸の方へ走った。

だが、そこにはbullyの義人が立ちふさがり、その前で、彼女は力尽きるようにしゃがみこんだ。

「もういいよ・・・いじめよう。俺も優に許されるとは思えない。仮に優が気にするなと言っても、俺たちの罪は消えないんだろ? こうやって、悩んでいる間にも俺たちの選択肢は絞られているんだ。てか、もうタイムリミットだろ」

野球部の葛城が諭すように言った。

反論は聞こえない。

「もう昼休みが終わる。教師も来るだろうから、優一はとりあえず俺達bullyが預かるよ」

そう言うと亮太は俺のもとから優をかっさらい、おなじように口を封じながら、田仲のうずくまる引き戸のほうから出て行った。

掌に残った友の唾液をズボンで拭った。

まだ、クラス外に顔が割れていい段階じゃないのは亮太もわかっていたようで、俺が言うまでもなくベーダーの仮面を拾い上げ、優に被せていた。

引き戸が開かれた時、亮太は俺とbullyの二人に手招きした。

亮太の巧みな演説に呆然としていたが、もともと計画では俺の退場は亮太達と同時だったのだ。

優が連れ去られるのを誰も引き留めない。

1文の声と共にモラルも死んでいた。

優はいじめられる。1文の皆がその事実を受け止めるのに苦労している。

もうその段階に至っていた。



 頭痛と目眩の中、俺は騒ぎから遠い引き戸に向かい歩き出した。

亮太の方へ歩み寄るのが嫌だった。

前に突っ立っているララを乱暴に押しどけると、鍵を開け、固く閉じた引き戸を開いた。

裏で待機していると思った野次馬の姿はなかった。

俺は静かに廊下へ出ようとした。

すると「なに?どこ行くの昇りー」とララが俺の肩を掴み「斉藤君、まって」と回復した田仲がこっちに駆けてきた。

「なに? なんなのこれ? めっきりわかんないよ! 昇りーどういうことなの?」

潤んだ瞳で、のどを鳴らしながら言う。

「こういうこと」

田仲が唾を飛ばしてくる。

「真剣に答えろよ。斉藤君、君の行動わけわかんないから」

「俺にもわからないんだ。なんでこんなことになっちまったんだろうな」

「何言って・・・」

「うるさいよ」

田仲の胸の部分を両手で突き飛ばした。

田仲は教壇の段差に足をとられ派手転んだ。

それだけ見届けると、俺は教室を後にした。

すでに廊下には亮太達の姿はなかった。

教室を出る直前に時計を見た。

ミーナとの待ち合わせの時間はとうに過ぎていた。

そんなはずもないのに、新宿の改札で絶叫するミーナの姿が目に浮かぶ。

あれほどのことをやってのけたというのに、まだ壊れきっていないのか、脳裏に浮かぶその光景が痛い。

痛むのがまだわずかに残った心だとういうのなら、一刻も早く失ってしまいたかった。

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