最後の勇者
カムイを先頭にデセオの元に向かった。
血に塗れた地面には瀕死のズィーガー!
そんなズィーガーにカムイが声を掛ける。
「おい涼人!お前どうしてこんな事に?」
「はぁはぁ、か、カムイか?」
息も絶え絶えなズィーガーが口を開き
話し出そうとした瞬間・・・
「グァァァーー!!」
神崎の身体から光の粒子が溢れ出しそれは飛散し
消えていく!
その光が収まると倒れているのは超越龍ズィーガー
ではなく勇者 神崎 涼人だった。
そしてゆっくり神崎は口を開く!
「か、カムイ、ごめん」
「謝罪なんかいらねぇよ!お前どうしたんだよ」
「僕はどうしても力が欲しかった・・・」
涙を流しながら話すカムイと神崎。
「クソ野郎!話したきゃ話せ!時間は目一杯
伸ばしてやるよ!」
そうデセオは言い魔法を調節した!
神崎は自分自身の野望である理想郷を作りたかった
彼が望む理想郷それはギルドの世界統一!
自分自身の正義を疑わなかった彼は神龍カムイと
ならそれが実現出来ると思っていた。
しかし戦争では総帥どころか俺にも敗れる。
カムイもガランに負け自分達の力の無さに絶望する
そんな絶望の中魔王カインに戦争の本当の黒幕の
話を聞いた!
ロア達の更に上が居ることを・・・
その存在を復活させる為に戦争は行われ俺達は
奴等の掌の上で踊らさせられていただけだと。
カインは神崎に奴等を討つと話したらしい!
それを聞いて神崎は無謀だと思った。
そんな奴らには勝てないと・・・
そんな葛藤をする日々を送る中で神崎は自暴自棄に
なっていく。
療養中のカムイを余所に
自分の無力さを呪い自殺を考える日々。
そんな神崎の元に一人の人物が現れる。
ロアだった!
ロアは神崎に力を与えてやると言ってきた。
俄かには信じられる話しではなく神崎の心は
揺れに揺れた!
しかし更にロアが言った一言に神崎は惹かれた。
「我々の王はギフトを作れる」
ギフトを作れる?
新たな力が手に入る!
力が欲しい!
ロアは頷き一緒に理想郷を作ろうと言った。
そして今から新しい世界の「神」に会わせると。
しかしロアを信用していない神崎は駄目なら
ロアに一矢報いて死のうと思っていた。
そんな神崎がロアに紹介されて出会ったのは
あどけない表情をした一人の少年だった。
その隣にはシャックスというオッドアイの
人物がいた。
二人から発せられる威圧感は圧倒的だった。
先に口を開いたのはシャックスだった。
「お前には可能性があるよ!駄目元で良い!
やってみろよ?」
何故かその一言で俺の中の渦巻く黒い感情が
爆発した。
そして俺は誓った。
この人達に着いて行くと!!
それを確認すると少年は神崎に手を翳した!
すると神崎に新たなギフトが宿った!
そのギフトは「死霊使い」このギフトは死者の能力
を吸収し使用するといったもの。
しかし条件があった。
➀ 近く多くの者が亡くなった場所で使用する事
➁ 一度吸収すると死ぬ前にしか元に戻れない
確かに凄い能力ではあるが神崎が元々持つ
「超越者」よりも劣る気がした。
そんな様子を見てロアが口を開いた。
「その能力はお前の能力と戦えば負けるぞ」
「そ、それじゃあ意味が無い!!」
「だから俺があの戦争で用意してやっただろ?」
最強の男の死霊 大川 景豪を!!
そういう事か・・・
あの最強の男を吸収出来れば・・・
そんな能力を手に入れた俺に一つの指令が出された
それは王国ギルドの壊滅!!
一瞬戸惑ったがシャックスの目を見ると
やらなければという使命感に変わった。
そして王国ギルドを壊滅する為
神崎、ロア、シャックスは攻撃を開始する。
戦争のダメージが残るギルドは簡単に壊滅。
しかしカムイだけがそこに立ちはだかる!
だが多勢に無勢のカムイが押され今に至る。
そこまでを語り神崎は更に口を開く。
「今となっては何故あんな事をしてしまったのか
分からない!カムイ本当にごめん!!」
それを聞いてマダラが口を開いた。
「シャックスの黒のカリスマにやられたんだよ」
黒のカリスマ野望が強い者を虜にする能力。
神崎は恐らくシャックスの洗脳状態に
あったって事か・・・
しかし何故総帥の死霊は現れなかったんだ?
それを神崎に聞いてみる!
「それは分からない!ロア達にとっても誤算の
出来事だった筈だ!君達が来た事もね」
「そろそろ時間だぞ!クソ野郎」
デセオがそう言葉をかける。
最後に勇者 神崎 涼人は口を開いた!
「今なら分かる!彼奴らに世界を渡しては駄目だ!
君達ならきっと勝てる!この世界を救ってくれ!
それとカムイ!本当にありがとう・・・」
それを最後の言葉に勇者は死んだ。
辺りにはカムイの悲痛な叫び声が響いた。