魔国
神宮寺を奪還すべく魔国に向かう。
ガランに乗り飛ぶ事約3時間。
魔国との国境に差し掛かる。
此処からは徒歩で行く事にする。
「少し待って下さい此処に城に向かう道があります」
「それは助かるね」
アキさんがリリスと魔国を抜け出した時に使った
経路がまだ残っていたらしい。
正面突破は些か不安だったので助かる。
アキさんが何か呪文を唱えると地面に穴が開き
階段が着いていた。
それをアキさんやリリスについて降りて行く。
そこからは暗いトンネルで一本道になっている。
そこを走っていると前から足音が聞こえてくる。
「この道は私達しか知らないはず」
そうアキさんが口を開くが確実に近づく足音。
そして足音の正体が顔を現す。
光魔法により薄く照らされた顔。
魔王 カイン・アクレピオス
「よう、久しぶりだな!アキもリリスも居るのは
少々驚いたがな」
身構える俺達だがカインには戦闘の意思がない。
それよりも着いて来いと背中を向ける。
「ふざけるな!!」
「ふ〜ざ〜けるな〜!!」
その背中にアキさんとリリスが攻撃を仕掛ける。
後ろを向いたままだが二人の攻撃を避け逆に
地面に叩きつけられる二人。
「相変わらず弱いな」
そう言って二人を蹴り此方に吹き飛ばす。
吹き飛ばされたアキさんを俺がリリスを修也が
受け止める。
「大人しく着いて来い!」
そう言いながら歩を進めるカイン。
信用して良いのか立ち止まっていると
「お前達の目的は神宮寺だろ?会わせてやる」
そうカインが言うので仕方なく後ろを着いて行く。
一本道を歩き階段を登り城の中庭の様な場所に出た。
カインに案内され豪華な扉を開け部屋に入る。
そこに居たのは
神宮寺 拓哉
「おぉ!生きてたんだなお前ら!」
思っていた様子とは違い元気そうな神宮寺。
拷問を受けたりしてるのかと思っていたが様子が違う
「まぁ分からない事だらけだろう?説明してやる」
カインがそう口を開き椅子に座る様に言ってきた。
そこからカインの説明が始まった。
今から行われるギルド、魔国による牙の残党狩り
これは表向き国民に安心感を与えるパフォーマンス
だとカインは言った。
実際にあの戦争で牙の生き残り等ほぼいない。
今の現状魔国やギルドにとって最大の脅威それは
ロア達の謎の集団
カイン曰くあの戦争もロア達に仕組まれ踊らされたと言う
「魔王ともあろう俺がロアに騙されたのさ」
そう言うと更に説明を続けた。
カインだけではなくギルドも牙もロアに踊らされ
戦争に至った。
今の現状はロアのシナリオ通りに進んでいると
カインは推測する。
これは食い止めなければならないが魔国はラグナが
生きてはいるが戦闘を行える状態ではなく俺達同様
各地の実力者をスカウトしている所だったと。
そこで神宮寺を見つけ城に来てもらいその時
カメラの存在に気付き俺達が来るのを待っていた。
因みにギルドも同じ様な状況らしい。
ただ救いはカムイは戦闘が行える迄に回復している
らしい。
「どうだ?俺達と手を組まないか?」
そうカインが俺達に言葉をかけてきた。
全員の目線が俺に集まる。
俺は一つの答えを出した。
「断る!!」
戦争が幾ら仕組まれた物とはいえ今更ギルドや
魔国と手を組むなどありえない。
俺達は自分達で勝利を掴む。
しかし俺がそう答えるのを予想していた様にカインが
口を開く。
「だそうだ神宮寺!」
「言っただろ!直ちゃん達はそう言うって」
そんなやり取りをしながらこちらに向き直り
話し出したのは神宮寺。
「俺は魔国につく気はない!俺が慕ったのは
この世で大川総帥ただ一人だ」
そこまで話し俺達を見ながら神宮寺は更に口を開く。
「二人目になってくれるか?」
「勿論だ!!」
神宮寺 拓哉はこうして「不規則な希望」に加入した
何故かカインは俺達に危害を加える事は無く俺達を
魔国の外に帰した。
去り際アキさんやリリスに一言声をかけた。
「強くなれ!!」
魔国の外に出てから神宮寺の様子がおかしく
感じたが気のせいか?
何か妙な違和感を感じながら俺達は目的を
達成し無事帰還する。
帰還して全員が顔を合わせ神宮寺を知らない者にも
紹介する。
その中で興味を持ってないデセオが口を開く。
「そのクソ野郎が誰でも良いけど、何で封印の呪術
を施されてんだ?」
え!?
神宮寺に呪術がかけられている?
「まぁこれかけた奴はすげぇ実力だな」
「解く方法は無いのか?」
そう言うデセオに食い気味に質問する。
「俺様に不可能は無いぜ!」
「頼む!解いてくれ」
「やーだね」
そう答えるデセオ。
ムカつくなこいつ。
「デセオ!!」
マダラがそう声をかけるが知らんぷりをするデセオ。
「お願いします!デセオさん」
「デセちゃんお願い!」
アキさんと奈美が頼むと真剣な表情になり
「お任せください!」
と言って神宮寺を
殴った!!
「グホォ!!」
そう言って膝を着いた神宮寺だったが真剣な顔に
戻りこちらを向き口を開く。
「カインが単身ロアの所に攻め込んだ!!」