アンチェイン デセオ
デセオとマダラという二人に強引に酒場に
連れ込まれる。
角の生えた小太りな店主が三人分のビールを
出してきた。
若干ビールを出す手が震えていた様な??
まぁ取り敢えず乾杯をし一口飲むともうジョッキを
空にしたマダラが話し出した。
「ところでお前は何でこんな所に来たんだ?」
俺は事の次第をマダラに話し
仲間を探している事も伝える。
もう三杯目になるジョッキを空にしてマダラが
口を開いた。
「なるほどな、それで此処にか!厳密に言うと
此処はお前が居た世界とは若干違う」
その後マダラはペンと紙を店主に借り詳しく
説明をしてくれた。
天界
↓
妖精界
↓
狭間界
↓
人間界
基本的にはこの様に世界は出来ているらしい。
上位の世界から下位の世界に行く事は出来るが
下位から上位へは基本的には移動は出来ないらしい
だから俺の様に人間界から妖精界に行くなど
本来あるべき事ではないらしい。
俺が昨日までいた妖精界にはホビット族
ドワーフ族妖精族という種族が住んでいたみたいだ
好戦的な種族がいない為天界を除けば
一番平和な世界という事だった。
そして今俺が居る狭間界。
住む種族は鬼人族、龍人族、悪魔族、死霊族と
血の気が多い種族が沢山居て争いが絶えないらしい
この地から人間界に降りたった者が
幻のモンスターとして扱われている事も
多くあるという。
「じゃあ人間界に戻るのは簡単なのか?」
「それがなぁ最近になって人間界への道が
封鎖されたのだ」
はぁ?
「お、おいおい、じゃあ俺は戻れないのか?」
焦りながら言う俺にマダラが落ち着けと
言いながら更に説明をしてくれた。
マダラ曰く人間界を含む全ての世界で何かが
起こっている可能性が高いと。
そしてその事象は神の力を超える程強大な何かで
あると。
何故なら元々この人間界への道は神が作ったと
言われている。
その道に何かの妨害が施されているらしい。
神の道に妨害を施すなど並の能力では無理だと
いう事だった。
「じゃあどうやってそこを突破するんだ?」
焦りながら質問する俺に対して
デセオが口を開いた。
「天才の俺が着いて行ってやるよ、有り難く思えよ
このカス野郎が!」
何を言ってるんだこのふざけた金髪は?
しかも若干酔っているのか口が悪い。
呆れている俺に対してマダラが話す。
「その反応も無理はないがデセオしか出来ないのは
事実だ」
それを聞き何杯目か分からないビールを飲み
威張った様子のデセオがトイレに向かう。
それを見ながら溜め息を吐きながらマダラが言う。
「あんなんだが彼奴は神を超える能力を持つ男だ」
「彼奴が神を超える?で、でも一度人間界に
降りたら戻れないんじゃ?」
俺が聞くとマダラが首を振りながら口を開く。
デセオだけには全ての常識が通用しないと。
そんなデセオの事を全員がこう呼ぶ。
「アンチェイン デセオ=クレアーティオ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
でも何で俺を手伝ってくれるのか?
それを聞くと内容は本当につまらない物だった。
神をも超える男デセオは多額の借金をマダラに
しているらしく返済が滞る度に人間界に行き
マダラの大好きな日本酒を持って帰り借金の返済に
充てていたらしい
それがあの妨害が張られてから面倒くさがり
行かなくなったらしく先程喧嘩に発展していた様だ
今回は人間界に帰りたい俺にその見届け人を
頼みたいとの事だった。
俺にとっては有り難い話だ。
でも神を超える男と喧嘩出来るこのおっさんも
化け物なんじゃ・・・
そういえば化け物でふと総帥の顔が頭に浮かんだ。
本当にあの最強の男が負けたのか?
そしてロアと歩美さん?
やっぱり早く帰らないと!!
「分かった」
そう言いデセオとちゃんと人間界に行く事を誓い
マダラと握手を交わす。
その後は席に戻ったデセオを含めた三人での
酒盛りは朝方まで続いた。
俺も酒の強さに多少は自信があったが
二人は化け物だった。
気持ち悪い・・・・