鬼人族
昨日1日世話になったホビット族の皆んなにお礼を
言い地球に繋がると言われるルートを目指す。
今は案内人として付けて貰ったホビット族の
ギリムという若者と一緒だ。
目的地までは約30分!
たわいもない会話をしながら歩く。
辺りには目を奪われる様な美しい花々。
大自然に囲まれた森を進んでいるとギリムが口を
開いた。
「着きましたよ、あれです!」
そう言ってギリムが指さしたのは昨日丘の上から
見たあの大きな滝だった。
「この滝の裏に地球に繋がるルートがあると
聞いています。くれぐれも気を付けて下さいね」
そう言ってくれるギリムにお礼を言い滝に入る。
冷たい水にうたれながら滝の裏に行くと一つの
穴が出来ていた。
一度自身の顔を叩き気合いを入れて穴に飛び込む!
・・・・・・・・・・・・・・・・・
真っ暗な闇が晴れ俺の目に飛び込んできたのは
建物が数件だけ小さな村だった。
先程までの美しい景色から一転治安の悪そうな
雰囲気。
いつでも戦闘が行える様に警戒しながら村に
入ろうとした瞬間
ドゴーン!!
大きな音と共に人が吹き飛んで来た。
「だから言ってんだろ!死ねよ!」
「お前はいつもそうだろうが!!」
吹き飛んで来たのは綺麗な金髪をして青い目をした
かなり美形の男性。
その相手は噂に聞いていた屈強な身体に
鬼の顔をした鬼人族であろう男性。
そんな二人を見ていると金髪の男性が俺に気付き
近づいてくる。
「こいつだよ!こいつが払ってくれんだよ!!」
は??
俺の肩に手を回し訳の分からない事を言う金髪。
「本当だろうな?」
そう言いながら怖い顔で近づいてくる鬼人の男性。
どういう状況だよこれ?
そう思っていると金髪が耳打ちをしてくる。
「悪いけど金貸してくれ」
何言ってんだこいつは?
近づいてくる鬼人の男性。
俺も金髪に耳打ちして聞く。
「いくらだ?」
「10万」
面倒事は厄介だし仕方ないとポケットに手を入れて
財布を出そうとする
あっ!!
うっかりしていたが戦争中だったから財布なんて
持ってなかったんだ・・・
目の前で無言で手を出してくる鬼人の男性。
俺は金髪に耳打ちする。
「ごめん財布持ってねぇや」
金髪は俺を見ながら口を開いた。
「だから貧乏人は嫌いなんだよ!死ねよ!てかお前
誰なんだよ!そして死ねよ!」
何なんだこいつは?
金貸してって言って来て貸さなかったらこの言い草
口も悪いしだんだん腹立ってきたな!
「やっぱり嘘じゃねぇか」
怒る鬼人に対してまた金髪が口を開いた。
「知るかバーカ!死ねよ」
あの金髪の開き直りは何なんだ?
ていうかあの金髪むちゃくちゃだな・・・
「はぁっ、分かったお前を信じた俺が悪かった」
溜め息を吐きながら言う鬼人。
それに対して金髪が肩を組みながら言葉をかける。
「まぁそういう事だから暇だし呑もうぜ!
その代わり俺が明日行ってきてやるから」
「本当か?また気が変わったとか
言い出さないだろうな?」
何の話かは分からないが念を押す鬼人。
それに対して金髪が軽く頷き二人は酒場の看板の
店に入って行った。
店からまた金髪が顔を出し俺を手招きで呼んでいる
「さっきは悪かったな!
俺の名はデセオ・クレアーティオ
まぁお詫びとして奢ってやるから一緒に呑もうぜ」
「俺が払うんだよ!!まぁそういう事だから
少し奢らせてくれ。俺は鬼人族のマダラだ」
そう二人に言われ強引に酒場に連れて行かれた。