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最高の能力が欲しい  作者: 大路
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ホビット族

 身体を包む柔らかい風に起こされ目を覚ます。



「痛ッ!一体ここは何処なんだ?皆んなは?」



 身体を起こそうとすると全身に痛みが走る。

 目の前に映る光景は美しい圧倒的な大自然。


 どうやら少し小高い丘の上に居る様で辺りを

 見渡す事が出来る。

 しかし大きな滝が見えたりする位で建物は

 見当たらない。


 取り敢えず痛む身体にムチを打って立ち上がり

 歩いてこの辺りに人がいないか探す事にする。


 数分程歩いた所で人の声が聞こえた!



「こっちに居たぞ!!」



 俺を見つけ近づいて来る小さな人間?が五人。



「桐生 直樹様で宜しいですかな?」



 そう質問してくるのは五人の中で一番年上であろう

 白い髭を蓄えた老人。

 質問に対して頷くと白髭の老人が口を開いた。



「私はホビット族 族長ヤリと申します」

「どうして俺の名前を知っているんですか?」



 ヤリと名乗る老人に気になっていた事を質問する。


「話せば長くなるので我々の村にご案内しますよ」


 敵意が無さそうなのでそのまま案内され

 村に向かう。

 特に何がある訳ではないが自然と上手く

 共存している小さな村だった。

 ホビット族は全体的に小さく約100㎝程しかない。



「さあ何もないですがどうぞ」



 案内されヤリの自宅にお邪魔する。

 ヤリの奥さんであろう人がお茶を入れてくれた。

 このお茶はこの辺りでしか取れない薬草が

 混ぜられており怪我などに効能があるらしい。



 味はかなり苦くて不味い・・・



 だが心なしか痛みが和らいだ気がする。

 そして話しが本題に移りヤリが話し出した。



「我々ホビット族の暮らすこの村は直樹様が居た

 地球とは少し違う場所にあるのです」


「えっ!?じゃあ俺は今地球外に居るのか?」



 焦る俺に対してヤリは丁寧に状況を説明してくれた



「そんな事があるんだな・・・」



 俄かに信じられる内容ではないヤリの説明は以下の

 通りだった。


 このホビット族の暮らす村は地球より神の住む

 天界に近い場所に位置し姿は見た事がないが度々

 神からのお告げを受けるらしい。


 そのお告げの内容を遥か昔から守り今日に至るまで

 大きな争いも無く幸せに暮らしてきたのだと。


 しかし一時を境に全くお告げが無くなったらしく

 ヤリ達村人は神を怒らせたのでは?と恐怖を感じて

 いたそうだ。


 だが久々に神のお告げがあったと言う。

 その内容は



「近隣の森で傷を負った桐生 直樹という人間を

 介抱する事、また当分お告げは出来ないが

 その人物は天界も含めた全ての希望であると」



 俺が天界も含めた全ての希望??



 全く意味が分からないがそのお陰で今は手厚く

 扱って貰っている。


「ヤリ!俺の仲間達の行方は分からないか?」


 仲間達が心配で出た俺の言葉に返ってきた言葉は

 分からないだった。



「そうか・・・じゃ、じゃあ此処から地球に

 帰るにはどうすれば良い??」



 早く仲間達を探したい一心でヤリに質問する。



「ここから東に行った場所に地球に繋がるルートは

 あるのはあるのですが・・・」


 歯切れの悪い言い方をするヤリ。

 内容を聞くとどうやらそのルートを抜けると

 鬼人族という鬼が住まう集落に出るらしい。


 その鬼達は気性が荒く違う場所から来た者達の

 侵入を拒み殺されるという言い伝えが昔から

 ホビット族の中にあり誰もそこを使った事がない

 らしい。


 またそのルートは一方通行になっておりこちらに

 戻って来るルートは無いという事だった。



 でもずっと此処に居る訳には行かない!!



 今すぐ行こうとするがヤリにせめて今日一晩は

 身体を休めて行ってくれと懇願された。

 神のお告げがあった俺の世話を全うしたいとの事

 だった。


 俺もその申し出を受け入れた。


 その夜はヤリ達村人が広場に集まり怪我の治りや

 疲れに効くと言われる料理を振る舞ってくれた。


 見た目は不思議な物ばかりだったがどれも絶品で

 身体の痛みも回復して行くのが分かる。


 しかも夜のこの村から見える星空は今までに

 見た事が無いくらい美しかった。


 皆んなの心配事さえなければ最高だっただろう。

 もしまた来れるなら皆んなで来たい!!



 早く仲間に会いたい!!



 そんな焦る俺を見てヤリ達が口を開く。



「神のご加護のある直樹様のお仲間ならきっと

 大丈夫ですよ」


「そうだな」



 優しい彼等の言葉に笑顔で返す。



 そうだ強いあいつらが簡単にやられる筈がない!



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