小瓶の錠剤
もの凄い爆発音と共に世界中のギルドの中心である
ギルド王都支部の建物は一人の男によって
破壊された
「はぁはぁ」
肩で息をする総帥。
一度俺の方を向き言葉を放つ。
「直樹だったな?戦場では人が
死ぬのは仕方ない事だ
仲間が死ねば悲しいし悔しい!
だが冷静さを欠くと死に直結する!
常にクールにする事が大事だ!!」
そう先程まで額に青筋を立て「激怒」と言い放ち
ギルドの建物を半壊させた化け物は言ってきた。
一番冷静さを欠いていた様な気がするが・・・
「そして何より死んでいった奴等に対しての最大の
弔いは勝つ事だ!!」
そう言うと前を向き直す総帥。
土煙の中から三人の影が現れる。
「噂以上にむちゃくちゃだな」
そう言いながら歩いてくるロア。
勇者とカインはダメージを負っている様だがロアに
ダメージは見られない。
彼奴は何か別の不気味さを感じる。
「カイン、神崎!彼奴は俺が殺してやる」
そう言うとロアは手を前にかざす。
すると激しい戦いでボロボロになった地面に大きな
チャックが出現し総帥を呑み込もうとする。
総帥はジャンプし回避しようとするが中から現れた
手に引きずり込まれてしまう。
「クソッ」
総帥がそう言葉を発しながらチャックの中に消える
開いたチャックは閉じられた。
「良し後は任せるぞ」
そう言うと新たなチャックを出現させその中に
入って行くロア。
「じゃあ俺達でさっさと彼奴を始末するか」
そう言いながら俺を睨みつけるカインと勇者。
総帥がロアに捕まった今俺はこの二人を相手に
しないと行けない。
普通に戦って勝てる相手ではない。
特にカインの魔法は気を付けないと一瞬でやられて
しまう。
そんな事を考えていると勇者がカーテナで
斬りかかってくる。
何とか避け反撃しようとするが横からカインに
殴りつけられる。
更にそこに勇者の追撃を喰らう。
やはりこの二人を相手にするのは厳しい・・・
「光栄に思え!!大川用に作った俺の最大魔法で
終わりにしてやる!」
「ヴェルトラウム」
本能的にあれはヤバいと感じたがそう思った時には
もう遅かった・・・
回避不可能の闇が辺りを包む。
全く光さえ無い空間に一人居る様な感じだ。
そして闇が俺を押し潰す様に圧をかけてくる!!
声も出せず身体が潰されるのを感じる。
痛い、痛い、痛い
腕が変な方向を向き目は飛び出す寸前、
呼吸も出来ない・・・
魔法を作成してしまう様な化け物相手に勝負を
挑んだ事に後悔をする。
俺はまだここに来れるレベルじゃなかったんだ・・
「だから言っただろ!これ使えよ」
頭に変な声が響く。
何処かで聞いた事がある様な?
目の前に魔武器召喚で得た小瓶が浮かんでいる?
そう言えばこの小瓶の存在を忘れていた。
「どっか抜けてんだよお前は」
いつも修也に言われる様な台詞が頭に響く。
その瞬間小瓶が割れ一粒の錠剤が
口に飛び込んできた
何だ?
先程までの苦しさや痛みが消えている・・・
怪我も治っている。
守る様に色とりどりの光が俺を覆い押し潰す様に
圧迫してきていた闇を押し返していた。
「5分しかその能力は持たねぇ!まぁそれまでに
決めてこい!」
また頭に響く謎の声。
「チッ!ヤバい来やがった、俺が出来るのは
ここまで見たいだ!」
「頑張れよこの世界のイレギュラー!!」
その言葉が消えた直後一気に闇が押し返され光が
射し込んで来た!