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最高の能力が欲しい  作者: 大路
56/120

死神一族の長 ロア

 魔王 カインside


 俺は今魔国の遥か東にある湿原地帯に来ている。

 周りは沼だらけで何もない。

 知性の欠片もないモンスターがいる位だ。




 ジャバンッ!?



 いきなり沼から出てきた人物に足を掴まれ物陰から

 飛び出しできた人物に剣で切りかかられる!



 キン!!



 甲高い刃物がぶつかる音が鳴り響く!

 俺は切りかかってきた剣を持っていたナイフで

 受け止める。


「俺だカインだ!ロアは居るか?」


 俺がそう言うと足を掴んでいた人物は手を離し

 もう一人は剣を収めた。

 そう俺は今世界一の殺し屋死神一族の長 ロアを

 訪ねて来ている。


「久しぶりだなサン、ムーン」


 俺がそう言うと真っ白な仮面を被った二人は無言で

 頷いた。

 ちなみに沼から出てきた大柄な方がサン

 剣で切りかかってきた方がムーン


 二人はロアの子供らしいが詳細は分からない。

 ちなみに名前はロアが適当に決めたコードネーム

 みたいな物らしい。


 そんな二人は無言で俺をロアの屋敷に案内して

 くれる。


「久しぶりだなカイン」


 屋敷の応接室に通されるとそう声をかけてきた。

 このピエロの仮面を被った男?が

 死神一族の長ロアだ。


「あぁ元気にしてたか?」

「相変わらずだ。それよりこれだ」


 俺が適当に挨拶をするとロアは一つの紙を

 俺に渡してきた。


 その紙には「黒牙潜入報告書」と書かれていた。

 俺はその紙を受け取り目を通す。


 報告書

 黒牙並びに牙は戦争を仕掛ける準備をしている。

 王国、魔国が手を組む事に気付いている。

 黒牙の新戦力

 桐生 直樹

 片桐 修也との対決を制し現在ナンバー4


「牙はギルドの動きに気づいているぞ。

 魔国が到着するまでに戦争を仕掛ける気だ」


 さすがは世界的犯罪組織だ。

 どこでこの情報網を掴んだ?

 そんな事を考えていると魔族同士だけが使える

 テレパシーによる通信が部下から入る。


「カイン様報告があります!!

 牙が近く王国に攻め込む可能性が高いと情報が入り

 これに伴い魔国には計画を前倒しにして合流して

 欲しいと王国より打診がありました!

 使者として今1番隊隊長 神童 仁が来ています」


「その情報は信憑性が高い!!

 ギルドの指示に従い合流に迎え!!

 俺は後で行く!」


「はっ分かりました!!」


 返事をした部下との通信を切りロアに話しかける。


「今回の戦争に力を貸してくれないか?」



 多分断られるだろう。



 このロアとは随分長い付き合いなのでこの様な

 依頼は受けてくれないのは何となく知っている。





「貸してやろう。」






 何!?





 嬉しい誤算だが予想を裏切られ驚いてしまった。


「何だよ?頼んどいて嬉しくなさそうじゃないか?」


「いや余りに予想外でな。頼みを聞いてくれたのは

 素直に嬉しいよ」


 ロアの言葉に素直に感想を返す。

 そんな俺を見てフフッと笑いながらロアが口を開く



「本来なら断る所だが興味深い奴が居てな」


「興味深い奴?」


「桐生 直樹だ!」


 確か黒牙の新しい幹部か。

 ロアを動かす桐生 直樹とは一体?


「俺が仕事を受ける理由には2パターンの

 場合がある、1つは報酬、2つ目は興味をそそられ

 るかどうかだ」


 そんな風にロアが俺に話してくる。

 ロア曰く今回は後者の理由が大きいらしい。

 更にロアは話を続けた。


「桐生 直樹には俺の能力である変装を見破られて

 いた様なんだ」


「な、何だと?」



 驚愕の事実だった。


 今までロアの変装に気付いた人物など

 牙、ギルドの中にも居なかった。

 それを黒牙の幹部如きが?


 そんな俺を見てロアが説明してくれた。

 ロアが黒牙にナンバー3として潜入している時の

 幹部会で桐生 直樹と出会った。


 他の幹部にはナンバー3としての人物に写っている

 筈のロアだったが桐生 直樹にはピエロの姿の

 ロアが見えていた様子だったらしい。


「何かの間違いじゃないのか?」


 俺がそう聞くがロアは首を横に振った。


「あれは確かに見えていた。初対面だったから

 何とかなったが本来なら任務失敗になる所だ」


 そう言って更にロアは話しだした。


「俺のプライドの為にも戦争に参加させてもらう」


 俺にとっては嬉しい誤算だがその桐生 直樹は注意

 しないといけない様だ。


 まぁ今回の戦争で消せば良い!!


「じゃあ用意して行くか!今回で世界を牛耳るのは

 この魔王カイン・アクレピオスだと証明しにな」


 俺がそう言うとロアは頷きサン、ムーンに準備を

 する様に伝え椅子から立ち上がり俺に言った。


「お前と同じ現場に出るのはお前の父親を殺して

 以来だなぁ」


 その言葉に笑いながら俺も立ち上がり戦場に行く

 準備をする。

 確かにあれからの付き合いか!

 長かったがいよいよ報われる!





 世界一の殺し屋死神一族の長 ロア参戦決定!!






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