奈美VS魔武器
昨日俺は釈然としないまま魔武器召喚を一応成功
という形に終わり後は奈美だけだ。
今修也が魔方陣を書き終わろうとしている。
「奈美ちゃん用意は出来たよ」
修也が声をかけそれを聞き奈美が魔方陣の前に立つ
「どうしてもの時は諦めるのも勇気だぞ!」
俺がそう言うとこっちを見てニコッと笑い
指先の血を魔方陣に垂らした。
修也も同じく魔方陣に血を垂らす。
もう慣れてはきたが俺達の目の前から奈美は消えた。
・・・・・・・・・・・・・
奈美side
話に聞いてた通り今は真っ暗な空間にいる。
直樹は良く覚えてないらしいけど小太郎君が言って
た通り真ん中に宝箱がぽつんと置かれていた。
私は迷う事なく宝箱を開けた。
ガチャ
宝箱が空いた瞬間羽根を生やした小さな可愛い
妖精が飛んでいた。
「貴女が私の主人になる人かしら?」
妖精がそう聞いてくるので答える。
「お願い私の力になって欲しいの」
私がそう言うと妖精は何やら私をジロジロと
観察して口を開いた。
「顔は私の主人に相応しいわね。
スタイルも悪くない!
しいて言えばもう少し胸が欲しいかしら」
えっ?
この妖精今しれっと失礼な事言ってない?
確かにあんまり大きくはないけど・・・
「まぁ成長待ちみたいな所ね。よし合格ね」
はぁ?
満を持しての大トリだった私がこんなにあっさりで
良いの?
「えっとて事は私が貴方の主人で良いの?」
「もちろん良いわよ!ちなみに私はナンシー
よろしくね」
「私は奈美よろしく」
余りにもあっさりで喜んで良いのかすら分からない
でも良かったんだよね??
そう言えば小太郎君の話では花咲石の場合はこの後
指輪に変わったって言ってたけどナンシーに
変化はない
妖精の姿のまま飛び回っている・・・
「ナンシーは何の魔武器なの?」
疑問に思ったので質問してみる。
「奈美の好きなものばかりなら何でもなれるよ」
何でもなれる?
どういう意味だ?
分からないのでナンシーに聞くと説明してくれた。
ナンシー曰く私が使い易い形に何の武器にも
なれるらしい。
試しに杖になってもらったりレイピアになって
もらったりしてみた。
本当に何にでもなれる・・・
ナンシー実はめっちゃ凄いんじゃ?
「ナンシー凄いね」
私がそう言うと小さい身体を目一杯仰け反らせ
胸を張りナンシーが口を開く。
「奈美当たり前じゃない!そこらの魔武器と一緒に
しないでよね!私を手に入れたからには
奈美は最強よ!!」
そう頼もしく言ってくれるナンシー。
やっと嬉しさがこみあげてくる。
「ナンシー私も頑張るから本当によろしくね」
私が改めてそう言うとナンシーは笑いながら
当たり前じゃないと言って飛び回っていた。
よし皆んなも心配してるしそろそろ帰ろう。
そう私が考えるとどんどん視界が暗くなり気付くと
庭に居た。
「奈美大丈夫か?」
直樹が真っ先に駆け寄ってくれた。
「大丈夫!無事成功したよ」
そう私が言うと皆一斉に安堵の表情を浮かべていた
「で、魔武器はどこだ?」
エペタムが聞いて来たので見当たらないナンシーを
呼んでみる。
「ナンシー!!」
もぞもぞと私の服から出てくるナンシー。
「私がナンシーよ!よろしくね皆さ・・あーー!!
ガランじゃないの?」
「何故貴様が此処に居る!!」
うん?
ガラちゃんの知り合い?
珍しくガラちゃんが焦っている様に見える。
「ガラちゃんとナンシーは知り合いなの?」
そう聞くとガラちゃんが答えた。
「昔の知り合いだ!それにしても奈美はナンシーを
召喚するとはな」
額に手を当てて返事をするガラちゃん。
「ガラン!もっとちゃんと説明しなさいよ」
そうナンシーがガラちゃんに言う。
「貴様が説明しろ!!」
そう言い返すガラちゃん。
二人は仲が悪いのか?
ガラちゃんが一方的に嫌ってる様にも見えるが
「はぁっ」
そうため息を吐きガラちゃんが説明をしてくれた。
遥か昔ガラちゃんの元に攻めて来た妖精族の中で
最も強いと言われた戦士がいた。
ガラちゃんと激しい戦闘になったがガラちゃんが
勝利を収めた。
しかしその時にガラちゃんの前足に
剣が突き刺されたらしい。
ガラちゃんが何をしようとその剣は妖精族の戦士が
最後にかけた呪いなのか抜ける事がなかった。
困り果てたガラちゃんは一気に剣に神龍である
自分のパワーを流し込み剣を吹き飛ばそうとした。
その時剣は抜けたが神龍の力を帯びた剣は擬人化し
今のナンシーの形になったらしい。
ナンシーの生みの親はガラちゃんなの??
ナンシーを放っておく事が出来なかった
ガラちゃんはナンシーと生活を共にする。
しかしナンシーは自由奔放でガラちゃんの言う事を
聞かずトラブルばかりを起こしていた。
酷い時は今の勇者の相方である神龍カムイに攻撃を
仕掛けそれをガラちゃんの所為にし
カムイとガラちゃんは死ぬ一歩手前まで戦う羽目に
なったらしい。
余りのトラブルメーカーぶりに嫌気がさした
ガラちゃんはナンシーを封印しようとした。
しかし自分が封印されそうなのに気付いたナンシー
は逃げ回り今に至るという。
「奈美こいつを封印して良いか?」
ガラちゃんが真剣に聞いてくる。
「ナンシーの主人になったからには私がちゃんと
面倒見るからガラちゃんお願い封印しないで」
「奈美・・・
私もあれから大人になったのよ!
もう大丈夫よ」
「はぁっ。分かった分かった」
そう言ってガラちゃんを説得する事に成功した
私とナンシー。
まるで捨て犬を飼いたいと親に言った時の様だった
けど私に相棒が出来た。
ナンシーよろしくね。