VSタイラントベア
ドゴーン‼︎
大きな衝撃と共に自分が殴られた事を認識する俺。
「出やがったなタイラントベア」
グラァァーーー!!
大きな声と共に姿を現したのはこの森の覇者と
呼ばれる赤と黒の入り混じった毛で覆われた
三メートル超えの熊。
この辺りでは危険モンスターとして出没地域は
知っていた。
レベル30位では勝てると言われている。
俺は今それ以上のレベル。
今までの俺とは違う。
そんな自信に満ち溢れていた。
先程の一撃でダメージはあるものの俺はピンピン
している。
レベルが上がる前であればあの一撃で死んでいた。
「くらえ!ファイアーボール」
・・・・・・・・・・・・・
ドゴーン‼︎
タイラントベアの強烈な横薙ぎのパンチを
また喰らう。
「イテテ・・・魔法は使えないのか」
ヤバい・・・
焦りながらタイラントベアに殴り掛かるだが
軽くかわされて反撃を喰らう。
「やばい攻撃が当たらない」
実戦経験の少ない俺に森の覇者は容赦なく攻撃を
仕掛ける。
ジワリジワリとHPが削られて行くのを感じる
ヤバい何とかしないという殺される・・・
そうだ!!
俺は自身の足に力を込め勢い良く地面を蹴り空中に
飛んだ。
森全体を見渡せる様な高さ。
俺を見失い辺りを見渡す森の覇者を地面に捉え
力一杯頭にエルボーを叩き込む
「フシュー」
と小さい呻き声を上げコアを残し消えていく
タイラントベア。
「ふーやばかった」
そう呟く俺の身体はゴブリンを倒した時の様に
グングン軽くなる。
俺は何かを確認する様に力一杯ジャンプをする。
ビューン???
「えっ」
あまりの高さに情けない声が漏れる。
またかなり身体能力が向上している。
そんな事を思ううちに目線の端に気になるものを
捉えた。
地面に降り立ちもう一度ジャンプする。
「何なんだあの空にある建物は?」
もしかしたら未開のダンジョン??
地面に着地し色々考えながら帰路に着く。
当然帰りにモンスターに遭遇する事は無かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雲の上の神殿
「ちょっとアキ様変な奴がいるよ〜」
間延びした幼い女の子の声に答える
スレンダーで美形の女性。
「何だあいつは?こっちを見ておる」
「でも〜落ちて行ってるよ〜」
肉体強化としてもとてつもないジャンプ力だ・・・
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ギルドラーナ支部マスター室
「翔太‼︎」
「どうしたんですか?公平さん。」
大柄な公平と呼ばれる男がラーナ支部の
ギルドマスターである。
レベルは恐らく50は超えていると噂だ。
「それが隣町でランカー狩りがあったと今通知が
来たんだ」
「ランカー狩りですか?」
「ああ。お前を含む高レベルの者は狙われるかも
知れないから気をつけろよ」
「分かりました。逆に倒して経験値頂いて
やりますよ」
「翔太あんまり舐めてかかると痛い目にあうから
気をつけろよ」
「ハイハイ」
そう軽い返事をして部屋から出て行く翔太。
「はぁ、あいつクラスのレベルはそうそう
いないだろうがあの性格が心配だ」
「マスターは心配しすぎだ。俺位になるとそうそう
レベルも上がらないし逆にチャンスだぜ」
そんな事を呟きながらギルドを後にする翔太。
家に到着して水晶に手を翳す直樹。
桐生直樹
レベル71
どうやら俺の能力はこのレベルの上がりやすさなの
かもしれない。
「ハハハハッ!最強の力じゃねーかこれ」
これで仕事にも就けるし食うに困らない収入も
得れると心配事が消えた俺は上機嫌で今までにない
高揚感に浸っていた。