覚醒⁇
自宅の鍵を開け自室に戻り押入れから
ギルドにあった水晶の小型版を取り出す。
「もしかしてレベルが上がったのか?」
この世界では戦闘を行う事で得た経験値等で
レベルが上がる仕組みになっている。
大幅にレベルが上がると傷が治ったり
身体が軽くなる事が稀にあるらしい。
だが先程のゴブリンの様な雑魚モンスターでは
経験値は低く大幅なレベルアップなどある訳がない
押入れから取り出した小型水晶はレベルだけが
図れるギルドの水晶の劣化版でこの世界の住人が
一人一つ持っている物だ。
今までモンスターとの戦闘を避け続けていた
俺にはレベルが上がる事が無かった為押入れに
しまってあったのだ。
「まさかな」
そう呟き恐る恐る水晶に手をかざす。
桐生直樹
レベル37
.................................................
「えーー!!」
驚きの声を上げながら水晶の故障かを疑う。
試しに家の裏の空き地でジャンプをしてみる。
!?
家を飛び越す位のとてつもないジャンプ。
「はは・・・俺とんでもなく身体能力が上がってる。
でも何で急に?」
色々と考えたが答えは出ず自宅に帰り食事を済ませ
風呂に入り眠りに就く。
身体が興奮状態で中々眠りに就けなかったが
無理矢理眠る。
・・・・・チュンチュン・・・・・・・・・・・
朝目を覚まし着替えを済まし昨日の事が夢ではない
かと半信半疑ながら空き地でジャンプをする。
・・・・・・・・・・
軽く飛んだのに家の屋根を見下ろす位置。
「やっぱり夢じゃない」
確信し目的地に向かい走り出す。
今まで感じた事がない様なスピード感の中目的地に
五分で到着。
通称ゴブリンの巣
その名の通りゴブリンが沢山湧いてくると
噂の場所だ。
「キシャー」
「ギャー!!」
鳴き声を上げながら俺の顔を見て一目散に逃げ出す
ここ最近味わった事のない優越感だ!!
人間よりモンスターの方が強さに敏感なのか
レベルの差があまりにもある場合モンスターは
逃げ出す。
この様なモンスターを倒しても経験値はあまり
得る事が出来ない。
昨日の様な死闘?を制した場合多くの経験値が入る
まぁゴブリン何かは倒しても大した
経験値は得られないが・・・
だからある程度までレベルが上がった者はより
強いモンスターを求めたり高レベルの人間を狙う
者まで現れる。
その為あまり自分のレベルを公表する者は
少ない。
今のゴブリンの反応を見て確信する。
やはり自分のレベルがかなり上がっていると
以前盗み聞きした翔太のレベルが35だった。
自分のレベルがそれ以上には上がっている。
そう考えながら脇道を奥に進む。
ゴブリン以上の獲物を求めて!!