牙の思惑
黒牙代表 相馬 悟side
急に総帥が赤牙代表のマルクを連れて来訪された。
「相馬元気にしとったか?」
相変わらず大きく威圧感のある声だ。
「お陰様で元気にしております。して今日は
どの様なご用件で?」
どかっとソファーに座られ俺とマルクにも
座る様に指示される。
コンコン
「入れ」
「失礼します」
俺とマルクが座ると同時位に秘書の歩美が
お茶を淹れて入ってきた。
「相変わらずの美貌だな」
「ありがとうございます」
そんなたわい無いやり取りが終わり歩美が
出て行くと総帥が真剣な顔をし単刀直入に言うと
話し始めた。
「近々ギルドと大規模な戦争になる」
えっ!!
驚きながらも総帥に質問する。
「しかしギルドは総帥の力を恐れ大規模な戦闘は
避けていたはずじゃ?」
そう今まで我々「牙」が自由に行動してこれたのも
7年前ギルド王都支部に襲撃をかけた際
ギルド最高戦力の勇者と総帥の対決で総帥の力が
世に知れ渡った事が要因。
それ以来ギルドとの小競り合いこそあれど
大規模な戦闘は無い。
お互いの力が拮抗してるからこそだ。
しかも勇者のギフトと総帥の能力はかなり
勇者に分が悪いはず。
それが急に何故??
そんな事を考えていると総帥が口を開いた。
「考えられるのは我々の行動に限界が来た
玉砕覚悟の行動か?それとも儂の能力を超える力を
手に入れたかのどちらかだ」
考えられない事だが現実に確かな情報として
報告がきてるみたいだ・・・
「そこで各地の牙の戦力を視察している所だ。
それで「黒牙」の方はどうだ?」
「はい。戦力はかなり上がっています。
最近入った桐生 直樹は片桐 修也を倒し
幹部に入りました」
「修也に勝ったのか?」
「ほう、それは楽しみな奴だな。
そいつはギフト持ちか?」
マルクに頷き総帥に答える。
「まだ完璧に解析は出来ていませんが
「イレギュラー」というギフトを所持しています」
「イレギュラー?想像もつかん能力だな」
「成長を促進する様な要素が強いみたいですが」
「さっぱり分からんな・・・」
「まぁ興味深い存在だな。一度会っておこう」
その様に総帥が仰るので歩美を呼び
桐生 直樹を連れて来いと命令する。
はいと短く返事をし直樹を迎えに行く歩美。
それにしても戦争か・・・
予想外だな・・・