敵地での宴会
思わぬ形で総帥が仲間になりかなりの戦力アップを
果たした俺達。
カムイも無事に帰還した。
後は本来の目的である幻獣の森でのスカウトだが
あの狼の敵を何とかしないと・・・
カムイの話しでは相当の実力の様だ。
そう考えていると総帥に殴り飛ばされて転がって
いた赤龍兄弟が目を覚まして口を開く。
「この野郎!いきなり殴りやがって」
「殺そうよ兄ちゃん!」
「おぉ、忘れていた!敵と思ったのだ!
すまんすまん!」
総帥に敵意を向ける兄弟達!
そんな二人にガランが声をかける。
「まぁ落ち着け!我等も貴様ら同様あの狼を追って
いる。決着はその後でよかろう」
そのガランの言葉に渋々了解をする二人。
「後で覚えてろよ!このクソオヤジが」
「殺すからな」
何とか二人をなだめながら森の奥へと歩を進めて
行く。
道中様々なモンスターが現れたが今の俺達の戦力に
敵う者等おらず順調に道を進んでいた。
そんな中デセオが口を開く。
「なぁもう暗いしそろそろ飯にしねぇ!」
確かにデセオの言う通り辺りは真っ暗になりつつ
ある。
今日は此処に野営する事にするか!
「良し!此処で休憩を取ろう!森の探索は早朝から
行う事にしよう」
全員俺が言うならと納得してくれた。
そして食事の準備に取り掛かろうとすると何処から
ともなく食欲をそそる香りがしてきた。
「キャンプって事で色々準備しといてやったぜ」
そう言うと次々に次元空間から出来たての食事を
取り出すデセオ。
そんな事まで出来るのかと感心していると次々に酒
も取り出している。
「おいおい、いくら何でも酒は!お前此処は敵地の
真ん中だぞ!」
「うるせぇ!俺は場所がどこであろうと呑むんだよ
せっかくのキャンプなんだ楽しくやろうぜ!」
そんなデセオの言葉に頭を抱えているとガハハと
豪快に笑いデセオの横に腰を下ろしデセオに酒を
注ぐ総帥!
「楽しむのもまた一興!まぁ貴様の度胸気に
入った」
「中々話の分かるおっさんじゃねぇか!呑め呑め」
そんな二人の言葉を皮切りに何故か敵地のど真ん中
での宴会が開始された。
まぁ嫌いじゃない雰囲気だしいっかぁ!
「明日は早いんだから無茶な呑み方はするなよ」
「うるせぇ!このデセオ様がご馳走してやってんだ
偉そうな事抜かすな!」
「お前にはまだ金貸してんだ!逆に偉そうに
言うな」
「金、金細かい男だぜ!そんな男が総帥の組織なん
ざろくなもんじゃねーな」
本当にムカつく野郎だ!
そんな俺達のやり取りに何処からともなく笑い声が
溢れる。
明日にはまた激しい戦いがきっとあるだろう!
暫しの休憩全力で楽しもう!
そうして夜は更けていった。
・・・・・・
皆んなに呑みすぎるなと言いながらも俺自身が少し
呑み過ぎた様だ!
喉の渇きで目を覚ます。
見張りはしといてやると言ったガラン、総帥
マダラ、デセオがまだ酒を呑んでいる姿が目に入る
他の皆んなは各々眠っている。
「おいおいまだ呑んでた・・・の」
バキィン!!!
俺が声を掛けようとした瞬間何者からかの攻撃が
デセオを襲う。
それを酒の空き瓶で回避するデセオ!
「人が気持ち良く呑んでる所に、空気を読めや
クソ野郎!!」
「それはそれはすいません」
その音や声を聞き皆んなが次々に起き出す。
暗闇の中姿を現したのは魔女 アンモナ。
「待ってたぜぇ!」
その姿を見ていち早く反応を示したのはカムイ。
そんなカムイを見て魔女アンモナは口を開く。
「そんなに焦らずともちゃんとお相手しますわ
我等が主ヴォルグ様より三名程見繕って来いと
命令がありましてね」
「何を見繕うだ?」
「餌をです!!」
そうして魔女アンモナが指を鳴らすと地面に
吸い込まれる様にカムイ、修哉、マダラが消えた。
それと同時にアンモナの姿も・・・