小太郎 神宮寺 正志
小太郎side
突如地面に引きずり込まれた僕達三人。
気付けば洞窟の様な場所に居た。
「神宮寺さん大丈夫ですか?」
「痛てぇ!ああ大丈夫だよ」
「俺様の心配もしろよ」
僕の言葉に悪態を吐く正志!
そうな正志を無視して辺りの様子を伺う!
「おい!無視すんなよ!!」
正志がそう声を上げた瞬間
「グラァァーー!!」
鼓膜を破らんばかりの獣の鳴き声が洞窟内に
響き渡る!
「な、何だよ」
「やばい!来るぞ!」
焦る正志に神宮寺さんが注意を促す!
暗い洞窟内に姿を現したのは見た目はかなり
グロテスクな巨大な鳥!
ありとあらゆる箇所が腐敗し悪臭を放っている。
翼も半分はただれ落ちていてこれでは空は
飛べないだろう。
そんな半分死にかけの様な巨大な鳥が雄叫びを上げ
襲い掛かってくる。
「小太郎ちゃん!ちょっと下がってろ!」
「は、はい」
神宮寺さんがそう言うので後ろに下がると
神宮寺さんは自身に雷を纏い出す!
「雷帝降臨だよ〜ん!」
そんな緊張感の無い言葉と共に鳥のゾンビに
凄いスピードで近づき電撃を浴びせる!
辺りを肉の焼ける不快な臭いが漂う。
声を上げる事も無く崩れ落ちる鳥のゾンビ。
ふざけた様でも神宮寺さんの強さは一級品だ。
「さっすが元青牙代表!!」
正志が神宮寺さんに声を掛けるが神宮寺さんは
真剣な表情で前方をジッと見つめている。
やっぱり神宮寺さんも気付いたか。
先程神宮寺さんの電撃で辺りが一瞬明るくなった時
僕も気付いた。
洞窟の奥にこちらを見据える化け物がいる事に
「花咲石!!」
「主!任せろ!光来花!」
花咲石が僕の考えを読み取り光を放つ植物を召喚。
暗い洞窟を光が照らして行く!
そして真っ直ぐに続く洞窟の奥に一人の女性・・・
その女性の周りには無数の蛇が纏わり付いている。
其奴は不敵な笑みを浮かべながら僕達に話し掛ける
「私の可愛いペットをやっちゃうなんて中々生きの
良い獲物ね!私の名はレプティル!よろしくね」
「あれはヤバイね・・・」
「かなり強い」
僕と神宮寺さんが警戒をする中、正志の馬鹿は
声を上げレプティルに特攻する!
「おい女!調子に乗んなよコラーー!!」
「あの馬鹿ッ!」
正志が重量変化を用いてレプティルにタックルを
強烈なタックルを放つ!
それをくらい吹き飛ぶレプティル!
「ハハッ!女が調子に乗るからだ!」
「危ない!」
「えっ、うわ!!」
高笑いをする正志に蛇の大群が襲い掛かる。
それをギリギリの所で神宮寺さんが電撃で防御する
「マサちゃんふざけてたら死ぬよ!」
「す、すいません」
神宮寺さんに怒られ落ち込む正志!
そんな二人の前に無傷のレプティルが姿を現し
攻撃を仕掛ける!
素早い攻撃を何とか受け流す神宮寺さん!
僕も花咲石を使い食人植物を召喚し攻撃する。
しかし蛇達がそれを邪魔してくる。
ついに捌ききれずレプティルの攻撃が神宮寺さんを
捉える。
動きが鈍った神宮寺さんに蛇の大群が群がる!
かなり歯が鋭い様で肉を食い千切らていく。
近くに居た正志が必死に救出しようとするが
レプティルに蹴り飛ばされ壁に叩きつけられる!
「花咲石!!」
「爆炎樹!」
花咲石が一本の樹を召喚する。
その樹は突如辺りに実を落とし出す!
実が落ちた瞬間実は大爆発を起こしていく!
爆風で吹き飛ぶレプティルや神宮寺さん!
吹き飛んだ事により纏わり付いていた蛇も離れる!
傷だらけになりながら神宮寺さんは口を開く!
「サンキュー!小太郎ちゃん!」
「いえいえ大丈夫ですか?」
「何とかね〜」
そんな言葉を交わしながら急いで正志の元に向かう
しかし吹き飛んだレプティルが蛇を使い攻撃を
仕掛けてくる。
それを食人植物を使い僕が相手をしレプティルには
電気を纏った神宮寺さんが対峙する。
神宮寺さんとレプティルの攻防は目にも止まらぬ
スピードで繰り広げられる!
互いの拳はぶつかり合い蹴りをギリギリの所で
避ける二人!
蛇達を倒しながら隙を伺う!
神宮寺さんの拳を避けたレプティルに向かい
植物を召喚し拘束を試みる!
植物の攻撃は避けられたが隙の出来たレプティルを
神宮寺さんが捉え一気に電気を流す!
「チッ!中々鬱陶しいわね」
「あんたもな!!」
そう言うと電圧を最大限まで引き上げる神宮寺さん
顔を顰めながら電撃に耐えるレプティル!
「小太郎ちゃん!決めろ!」
「了解!刃花!!」
神宮寺さんの電撃で動けないレプティルに今度は
僕が仕掛ける!
召喚したのはそこいらの武器より斬れ味の鋭い
巨大な花!
その花を手に持ちレプティルの首を目掛け
斬りかかる!
ザン!!
レプティルの首は花の刃に斬り落とされゴトッと
音を立て地面に転がる。
同時に勝利を確信し神宮寺さんが電撃を弱めると
頭を失った身体も地面に倒れ込んだ!
「フゥッ、中々やばかったね小太郎ちゃん」
「本当です・・・な、何?」
そんな言葉を交わしている最中にバリバリと
音を立てレプティルの身体から蛇の顔が生えていく
そして身体は肥大化し姿を現したのは
巨大な8つ首の蛇!
ヤマタノオロチ・・・
文献でしか見た事がない・・
そんな伝説の化け物が目の前に現れた。
そいつはゆっくりと口を開く。
「やってくれたわね!この姿は久しぶりよ」
そう言うと同時に攻撃を仕掛けてくる。
巨大な割に鋭い動きの攻撃だ。
しかしそれを掻い潜りながら電撃の攻撃を仕掛ける
神宮寺さん!
見事に一つの頭に拳を叩き込む!
しかし金属音の様なものを残しダメージは一切無い
それどころか他の頭によって拘束されてしまう。
ギリギリと締められていく神宮寺さん!
「グアッーー」
「神宮寺さん!!」
悲痛な声を上げる神宮寺さんを救出するべく
花咲石と協力し様々な植物を召喚し攻撃を
仕掛けるがどれもレプティルには通じない!
そして遂に僕も一つの頭に拘束されてしまう!
締め付けてくるレプティルに必死に贖う僕達!
しかし骨が軋む音を上げ始める。
そんな僕達で遊ぶかの様にジワジワと締め付けて
くるレプティル。
やばい限界だ・・・
「この野郎!!」
声の方を向くといつの間にか意識を取り戻した
正志がレプティルにタックルをしていた。
正志の渾身のタックルを受けてもビクともしない
レプティル。
「う、うわっーー!!」
遂には正志も一つの頭に捕まる。
やばい限界が近い・・・
骨も何本も折られた・・・
神宮寺さんも目から血を流しながらも耐えては
いるが限界が近い・・・
そんな僕達に引導を渡そうとレプティルの力が更に
強まり始める。
三人の声が洞窟内に木霊する!
ドゴーン!!
「グアッ!!」
何故かレプティルの拘束が弱まる。
な、何だ?
地面に落ちる僕達三人!
かなりの怪我を負っている神宮寺さんが声を上げる
「な、何で!そ、総帥ーー!!」
総帥??
えっ!
僕達を救ってくれたのは死んだ筈の
大川総帥だった!
そんな驚く僕達に総帥は口を開いた!
「単刀直入に言う!久しぶりだな」