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僕と魔法と黒猫と  作者: 幸乃兎莉
第一章
8/12

シャルルの散歩

――シャルルSide――


「ぬぅ……どうしたものかのぉ……」


 シャルルはベットに腰をかけながらブラブラと足を揺らしながら思考していた。外では小鳥が囀りカーテンから光が漏れ部屋を照らしている。


 目が覚めてから机を見ると、ユウトが作っていた目玉焼きとご飯が置いてあった。黒いサラサラとした液体がはいった入れ物と、黒いネバネバした物が入った入れ物と、赤いネバネバした物がはいった入れ物、白いネバネバした物がはいった入れ物も隣に置いてあった。一通り試してみた結果、黒いネバネバした物が一番妾の口にあうようじゃった。


 そうこうしているうちに、時刻は9時になるかならないかと言ったところだ。つまり、時間を遡り悠斗が水の魔物に遭遇する数時間前という事になる。


「あやつ、あれほど肌身離さず持っておけと言ったのに、もう忘れていきおる。難儀な奴よのぉ……」


 朝食を食べ、時間を持て余していたシャルルは、部屋を手あたり次第探っていたのだが、机の上に他の教科書やノートと共に放置されている魔道書を見つけ、シャルルは短くため息をついた。


「仕方ないのぉ。後で届けてやるとするかのぉ」


 シャルルは部屋を探している時に見つけた菓子パンと魔導書を手に取りそう言った。


 ☆☆☆


「さて、外に出たはいいが……一体何処に向かえばいいんじゃろうな?」


 シャルルは悠斗の家の前で腕を組みながら思考をした。ある程度の距離まで近づけば取引をした関係で悠斗の位置が感知できるようになっていた。しかし、悠斗の家から学校までは距離があり、感知が出来る範囲の外である為、シャルルには悠斗の位置を掴む事が出来ない状況であった。感知できる距離を正確に表すのであれば、実質2kmから3km位である。この1kmの誤差は、障害物や魔素の濃さによるものである。ちなみに開けた何もない平地であれば5km位先にいても感知可能なのである。


「ま、慌てる事でもない。ゆるりと散歩しながら探すとするかのぉ」


 シャルルはそう言いながら、昨日悠斗と出会った場所に向かって歩き始めた。何故そこに向かったかと言われてもシャルルに明確な回答を答える事は出来なかっただろう。しかし、悠斗が居そうな場所も思いつかないシャルルは、単純に悠斗が居た事がある場所に向かっただけの事である。実際そこまで辿り着けば感知範囲に入り悠斗がいる学校の場所がわかるのだから、正しい選択であったと思う。


「ふむ……それにしても、じゃ。ただ散歩するだけではつまらんのぉ……お、そうじゃそうじゃ」


 シャルルのアホ毛がピンと立ち、何かに気が付いたかのようにキョロキョロと辺りを見渡した。そして、落ちていた真っすぐな木の枝を手に取った。シャルルは「ふふふっ」と一人笑みを零しながらまた歩き始めた。恐らく周りから見ればかなりの不審者であったに違いない。幸いにも近くには誰もいなかった為、不審者扱いをされる事はなかった。


 少し進んだ所にある十字路でシャルルは立ち止まった。


「さぁ、妾に行先を示したもぉ!!」


 そう言いながらシャルルは木の棒を空高くに放り投げた。木の棒は空高くに飛んだ後、重力に従い落下していく。乾いた音と共に地面に落ちた木の棒は、シャルルから見て右側に向けて横に倒れた。


「ふむふむ、右じゃな。よかろう、木の枝よ。お主の指示に従おうではないか」


 シャルルは何故か腕組みをし偉そうに頷いた。そして、木の枝を拾い、十字路を右に曲がって歩き始めた。しかし、その道は学校から遠ざかる道である事はシャルルは知る術もなく、その後も木の枝が指し示す方に向かって歩き続けた……


 ☆☆☆


「参ったのぉ……見覚えがない場所なのじゃ……」


 一時間程後、現在シャルルは迷子になっていた。それもそのはず、木の枝を示す方に向かって歩き続けていたら、学校とは反対の方角に突き進み、挙句の果てには隣町にまで来てしまっていたのだ。途中で見た事もない場所だと気付いた時には手遅れの状態であった。踵を返し元の道に戻ろうとしたが、すでに何十回と木の枝に行き先を任せていた為、どっちに曲がれば良いかも分からなくなっていた。


「まったく、妾とした事がとんだ失態を犯してしまったもんじゃのぉ。こうなれば致し方ない」


 シャルルはそういうと、ピョンピョンと飛びながら近くにある家の上に立ち辺りを見渡した。


「ふむ、あの大きな建物は見覚えがあるのぉ……あっちに向かって行くとするか」


 シャルルはそのまま屋根の上を飛び映りながら全力で移動し始めた。ちなみに、真昼間に屋根の上を飛び移る人を見かけたら不審者や泥棒と間違われ通報される所であるが、幸いにも迷子になっている事を自覚し、焦りを覚えいたシャルルは全力で移動した為、一般人の目には捉える事が出来なかった。これがもし、散歩がてらに屋根の上を移動していたら大事になっていた所である。ちなみに屋根を破壊する程ではなかった為、シャルルの走った後が大惨事になる。という事もなかったのである。


 ☆☆☆


「ふむ、なるほど。ちょうどあの大きな建物にユウトがいるんじゃな」


 シャルルが全力で移動を開始してから暫くして、ユウトの気配を感知した。ちなみにシャルルが屋根の上に居る為、多少感知できる距離が伸びているのだ。そして、同時にある事に気が付いた。


「この気配……魔物も近くにおるのか。まったく、世話の焼ける奴じゃのぉ」


 シャルルは軽くため息をつき、自ら行った遊びに少しの後悔を覚えた。ユウトの無事を祈り、少しでも早く辿り着く為に速度を上げた。


「これは……くっ、難儀な魔物が出たもんじゃのぉ」


 数分後、異空間に足を踏み入れたシャルルが発した第一声がこれだ。足を踏み入れた瞬間に異空間は雨が降りしきり、シャルルの体を濡らしていた。


「さて、っと……濡れたまま対峙するのは、ちと危険じゃのぉ。」


 シャルルはすでに学校の中に入っており、猫の姿になった後に身震いをして水気を飛ばした。猫の姿に戻った理由は比較的単純な事で、水気を飛ばす為であり、または体積が少なければその分乾くまでに時間がかからないであろうと思った上での行動だ。


 現在シャルルがいる場所は学校の中央玄関、ユウトの位置を補足すると同じ高さにいる事が分かった。つまりは一階にいるという事である。そして、魔物がユウトに向かってゆっくりと移動している事も感知した。


「流石にユウトも馬鹿じゃあるまいて、魔導書もなく戦おうとは思わんじゃろう……見つからず落ちなしく妾をまっていてくれていると助かるんじゃがのぉ」


 シャルルはそう言いながら、ユウトの気配を探しながら校内を散策し始めた。すると、大きな音が聞こええた方の気配を探ると……突然目を見開いて――


「あやつは、なにを……なにをやっとるんじゃ!!」と叫んび、弾かれたように走り出した。


 気配を感知した結果、導き出された答えは……。ユウトが無謀にも魔物に戦いを挑んでいる。という事だった。しかしユウトは今、魔導書もなくシャルルが近くにいる訳でもない。戦った結果、敗北するのは目に見えてわかる事であった。


「なんてせっかちな奴なんじゃ! あやつは何故、妾が来るのを待てないのじゃ!!」


 シャルルが学校の敷地内にいるとユウトは知らず、またシャルルもユウトに伝えていない為、ユウトが単独で魔物に挑む事は誰も批難する事は出来ないであろう。しかし、シャルルからすれば単独で挑む無謀を許せなかった。自分の助けを待てないユウトに対してかなり不満に満ちた言葉を発しながら、しかし体はすでにユウトの元に駆けつける為に走り出していた。


 ☆☆☆


 シャルルがユウトがいる体育館に辿り着くと、ユウトは魔物の攻撃によって壁に打ち付けられていた。そして、ユウトはズルズルと壁からずれ落ちた。


 魔物はユウトに止めを刺し為に追撃を入れようとした。しかし、咄嗟にシャルルがユウトを抱きかかえ攻撃を避けた。


「はぁ……こやつは何故、妾を待つことができなんだ……ユウトには言ってやりたい事がたくさんあるが、それもこれも全て後回しじゃ」


 シャルルはそう言いながら優しく悠斗を床に寝ころばせた。そして、シャルルは目を細め殺気を乗せた視線を魔物に向けた。


「妾の(あるじ)を傷つけたのじゃ……それ相応の死をもって償ってもらう故、覚悟するがよい!!」

近くで気配察知がすぐにできなかった理由は、猫型に変身してたからです!!

ユウトが逃げてくれていると信じて、まずは体制を整えた結果でございます……。


次回、月曜日更新!

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