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僕と魔法と黒猫と  作者: 幸乃兎莉
第一章
6/12

水の魔物

台風12号すごいですね……。投稿も遅くなり文字数も少ないのですがご容赦をお願いいたします( ノД`)シクシク…

 角の生えた魚のような魔物をよく見ると、後ろが透けて見える。まるで、水の塊が魚の姿を模しているだけのようにも見える。


 その魚の魔物が窓の外にいた。そして僕と見つめ合っている。恋が生まれる予感はしなかった。


 やばいやばいやばいってこれ! 死ぬ予感しかしない。これきっとダメなパターンの奴だ!


 魚の魔物は突然、校舎に向かって水を噴き出した。本当にただの水の塊が飛んできた。その水が教室の窓に当たり轟音を轟かせた。咄嗟に顔を逸らし目をつぶった。暫くしてから、目を開きながら教室の窓を見ると……


 窓ガラスが割れていた。窓ガラスだけじゃなく、その周囲の壁すらも壊れていた。……いやいや、おかしくない?! ただの水の塊で窓ガラスって割れったっけ? そんなに勢いもなかったぞ!? そうだな、仮にあの攻撃に名前を付けるなら水鉄砲だな。名前は弱そうだけど……ってそんな場合じゃない!!


 魚の魔物はふよふよと空中を泳ぐように、割れた窓から校舎内に侵入してきた。僕は咄嗟に机から自分のカバンを持って走り出した。


 教室の扉を勢いよく開いた。そして、廊下を全力で走る。僕が廊下にでて数秒後に、後ろ側からは轟音が轟く。パッと後ろを見てみると、教室の反対側が吹き飛んでいた。どんな威力だよ、マジで。


 暫くしてから、魚の魔物が吹き飛ばした反対側からゆっくりと出ていくのが見えた。


 あれ?帰ったのかな? と思いながらも、立ち止まる訳にはいかず、前を向いて走る。すると、突然窓が割れる音が聞こえた。


 咄嗟に見てみると、窓から槍が無数に飛んできていた。徐々に僕との間隔を埋めるように突き刺さってくる槍。咄嗟に飛び込むと、僕がいた場所に槍がドスドスドスッっと突き刺さった。


 しゃ、洒落になんねぇ……。一体僕が何したっていうんだよ!!


 僕は半泣きになりながら、必死に起き上がりまた駆け出した。


 後ろを振り返ると、突き刺さっていた槍はドロドロと解けて、水になっていた。


 槍が刺さった壁や床は穴が開いていて、威力の程が伺える。あんなの刺さったらひとたまりもないぞ……


「くそっ! どうする。どこに行けば安全なんだよ!まじで洒落になんねぇ!!」


 僕は独り言ちりながら、階段を駆け下りる。三階から二階へ、そして一階までたどり着いた。


 このまま学校から出て、家に向かおう為に中央玄関に向かって足を踏み出すが、ふとある事に思い至り立ち止まる。


 さっきの槍はもしかして、魚の魔物が雨を操って槍にしていたんじゃないか?


 もし、そうならあの槍を避けながら家に帰る事はできるか?いや、僕には出来ない。


 なら、向かう先は中央玄関ではない。水辺が近くになく、隠れる事が出来る場所で、ここから近い場所となると……そうだ、体育館だ。


 体育館の倉庫であれば、隠れる事も出来るし、色々な物が置いてある。対抗手段となり得る物があるかもしれない。よく考えたら、相手は魚だ。うまくやれば、僕一人で倒す事が出来るかもしれない。


 逃げてばかりいても仕方がない。かと言って、戦いを挑んだ所で返り討ちに合うかもしれない。だけど、助けを呼ぶにも、ここは異空間。助けてくれる人なんていない。武器が欲しいが、それは家にある本だけだ。家まで無事に辿り着けるとも思えない。完全に詰んだ状態であるが、何か打開できる方法が体育館にはあるはずだ!!と、思う……。


☆★☆★☆


 あれから何度か槍のような水。いや、水のような槍?や、水鉄砲と名付けた攻撃を避けながら、体育館に辿り着いた。


 すぐさま僕は体育倉庫に入った。もちろん隠れる為だ。倉庫にはバレーボールが入った籠や、掃除用具などがあった。そして、奥の方にあった跳び箱の後ろに僕は隠れた。


 この場にある物で、どうにかして対応できないかと思い、僕は手あたり次第探ってみた。


 まず目の前にある跳び箱……は使えない。いや、まてよ。防具として身に纏って、水鉄砲くらいなら身を守る事が、ってないな。それに槍が来たらひとたまりもないし、もとより避ける事すらできなくなるかもしれない。


 なら次にバレーの時に張るネットだ。これを網のようにあいつに被せて捕獲は出来るんじゃないか?だけど、水のような感じがしたし、もしかしたら捕獲しても、網の間からすり抜ける事が出来るかもしれない。だけど、試す価値はあるかもしれないな。これはとっておこう。


 他には縄跳びだ。ヌンチャクや鞭のようにして戦うとかしか思いつかないな。他にはバレーボールやバスケットボール、ドッチボールなどのボール系だ。これを魚の魔物に向けて投げる。単純だがこれなら遠くからも攻撃できるし、いい方法かも知れない。


 次に掃除用具だ。箒で殴りつけたり、雑巾を投げつける。もし魚の魔物が水で出来ているのであれば、その水分を奪う事で弱らせることもできるかもしらない。うん、これもいけそうだ。


 他は平均台とか握力測定機とかだ。使えそうで使えないな。


 でもよくよく考えたら、前に出会った魔物もシャルルか簡単に倒してたし、案外余裕で倒せるんじゃね? このマットとかもなんとかして投げつけて下敷きにして、上から踏みつぶせたらすぐに倒せたりするんじゃね? 何を怯えていたんだ僕は。これは勝てる!!


 僕は戦う覚悟を決めてた。とにかくまずは遠距離からの攻撃だ。縄跳びを何本か結び、それをバレーボールと一緒に雑巾を巻き付けて鉄球のような形にした。これを水の塊にぶつけて、水分を奪いながら攻撃をするつもりだ。


 初めは一番軽いバレーボールで作ってみたが、念の為にバスケットボールとドッチボールでも同じものを作っておいた。そして鉄球もどきと、念のために箒やネットをバレーボール入れの籠の中に入れ、最後にマットを上から被せたら準備完了だ。


 体育倉庫から体育館を覗くが、まだ魚の魔物は見えない。今のうちにバレーボール入れを外に出して戦闘準備に入ろう。大丈夫だ。勝てるはずだ。


「よいしょぉぉぉ!!」


 僕はバレーボールの籠を掛け声と共に押した。勢いよくバレーボールの籠は走り出した。と、同時に体育館に目をやると、魚の魔物はゆっくりと泳ぐようにこちらに向かって飛んでいるのが見えた。


 やばい。僕が作った鉄球もどきはバレーボールの籠の中にある。取り出す為にはマットを下ろさないと取れない。僕は急いでバレーボールの籠に追いつき止めようとするが、マットを乗せたバレーボールの籠は重く、僕の身体が引っ張られる。負けじと足を踏ん張ると……激しい音と共にバレーボールの籠が倒れ、僕もつられて倒れ込んでしまった。


 体育館の廊下に、ボールやら箒やらが散乱した。咄嗟に僕は一番近くにあったバスケットボールを手に取り立ち上がると、水の塊はすでに体育館の中に入っていた。


「くそっ! これでも食らえっ!!」


 僕は手に持ったバスケットボールを魚の魔物に向かって投げた。


 勢いよく投げたバスケットボールは一直線に魚の魔物にぶつかった。水を切ったような音を立てて、魚の魔物が砕け散り消え去った!……とかになればよかったのだが、なんと魚の魔物はバスケットボールをその体に呑み込んだ。


「う、嘘だろ、おい」


 魚の魔物はゆっくりと膨張し始めた。元々が直径百cm程のバスケットボールより若干大きい位だったのが、約倍程の大きさまで膨れ上がる。


 そして、僕に向かってバスケットボールと一緒に水鉄砲を撃ってきた。


「うぉっ! マジかよ!!」


 僕は向かってくる水鉄砲を横に倒れるように飛び込んで回避した。空を裂いた水鉄砲は体育館の壁にぶつかり、そのまま壁を破壊した。水鉄砲に呑み込まれていたバスケットボールは壁と水鉄砲の衝突に耐えきれず破裂していた。


「……洒落になってねーよ。勘弁してくれ……」


 僕は悪態をつきながら、丁度手元に転がっていた鉄球もどきバレーボールバージョンを手に取り立ち上がった。


「これが食らわなかったら打つ手なしだからな……」


 僕は縄跳びに括っているバレーボールをブンブンと振り回した後に、水の塊に向かってバレーボールを飛ばした。


「食らえ!!」


 事前に遠心力で加速したバレーボールは、一直線に魔物に向かって飛んでいった。そして、見事にクリーンヒットした。


 思っていた通り、魚の魔物は水で構成されているようで、幾分かの水分はバレーボールに巻き付けていた雑巾によって吸い取ったのか、僅かながら魚の魔物が小さくなっているように思えた。


(よっしゃ! これなら勝てるぞ!!)

来週は月曜日にきちんと投稿します!

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